好きになるということ

「オレは蛇は嫌いだけど、別にお前が嫌いとかじゃないからな!」

突然そう言ってきたのはジェミニ。俺の兄機。
身長は小さいくせに態度はでかいしプライドは高い。自室は鏡だらけという所謂ナルシストというやつだ。おまけにホログラムなんていう自分の姿を映し出す装置なんかも持っている。双子座という名前に相応しいといえばそれまでだが。

そして、俺のことをよく見てくるくせに、俺がそっちを向けば顔を逸らすし、話かけようと近づけば逃げるようにどこかへ行くような奴。
蛇が嫌いと聞いていたから俺も嫌われているんだろうとたいして気にも留めていなかったが。自分でも好かれるような性格だとは思っていないしな。ねちっこくて嫌味なことばかり言うし、正々堂々戦わず卑怯な手を使う……まぁ、我ながらいい性格だとは言えないな。
 だから理由がどうであれ嫌われることに関してはどうでもよかった。別に好かれようとも思っているわけでもなかったし。

しかし、ジェミニは蛇は嫌いだが俺のことは嫌いではないと言った。嫌われているわけではないのだとしたら、今までの言動は一体なんだったのだろうか。

「だったら、なんで避けたりしてたの?」
「それは……!!」

モゴモゴと口篭る様子や、顔が赤くなっていく様子を見て、悟った。
こいつは俺に対して少なからず好意を抱いているようだ。

明確な理由は明かさずに、それでも俺を嫌っているわけではないと必死に説明してきた。

なんだ、所謂ツンデレか。物好きな奴というかなんというか、変わった奴だな。



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