光壊以外の話

「オリジナルに手ぇ出すなって何回言ったらわかるんだ蛇野郎―!!」

毎度のことながらホログラムの飛び蹴りには関心させられる。
直に喰らったスネークはそのまま壁に叩き付けられ気絶したようだ。

蛇は平気だがスネーク嫌いのホログラムと、スネークは平気だが蛇嫌いのオレ。
ホログラムに実体があるのはオレの強い思念のおかげだと言う。それほど想っているということだ。
ホログラムも同じように想ってくれている。だからいつも助けてくれる。
今更だけど、ちょっと照れくさい・・・思わず笑ってしまう。

「なーに笑ってんだよオリジナル。大丈夫か?何もされてないか?」

「大丈夫だ。お前が助けてくれたから」

「お前を守るのもオレ様の役目だからな」

胸を張ってそう答えるホログラムは本当にヒーローみたいでかっこいいと思う。
・・・臆病なオレとは違う。

「?・・・まーた面倒臭い事考えてんなぁ」

そう言ってオレの前に腰を下ろした。やはり勘付かれてしまうものなのか。

「お前はさ、余計な事考えずにただオレ様に抱かれてればいいんだよ」

デコピンされた。地味に痛い。

「そういう恥ずかしいことをサラッと言うな!」

「でも・・・嫌いじゃないだろ?」

「う・・・」

図星。嫌いどころか好きだ。ホログラムの腕の中は心地良い。
何もかも忘れて安心できる唯一の場所。絶対に失いたくない場所。

「だからさ、大人しく抱かれてろって」

「ん・・・」

優しく抱きしめられた。オレはきつく抱きしめ返す。何処にも行かないように。
ホログラムもそれに応えるようにきつく抱きしめ返してくれた。

「愛してるぜ、オリジナル・・・」

「オレも・・・」

絶対に離れない。離さない。

「・・・お熱いねぇ。俺も交ぜてもらいたいぜ」

いつの間にか起き上がったスネーク。ニヤニヤしながら此方を見ている。
見られていることに対してオレは赤面するが、ホログラムは

「帰れ」

と言うだけだった。しかもスネークの方を見ずに。
それほど嫌いなのか。なのにオレのためだったら飛び蹴りできる。
なんだか嬉しいような、照れくさいような、不思議な気分だ。

「帰れって・・・此処は俺んちでもあるんだぜ?」

「此処はオレの部屋だ」

「ジェミニくんまでそういう事言うのかよー」

「「いいから帰れ」」

「綺麗にハモっちゃってさぁ・・・いいよじゃあトードのとこ言って来るから」

ブツブツ文句を垂れながら出て行くスネークを見て、オレ達はどちらともなく笑った。
トードに同情しつつ、オレ達は二人だけの時間を満喫した。





おまけ


「トードー!」

「ひぃ!いきなり窓に張り付かないでほしいケロ!」

「なんだ今日は蛙スーツか?」

「さっきまで仕事だったケロ」

「よし、脱げ」

「言われなくても・・・よいしょ、部屋の中くらいならこっちの姿でいるって」

「じゃあ癒せ」

「は?」

「ジェミニくんとホロくんに邪魔者扱いされた。俺は傷付いた。だから癒せ」

「ちょ、私仕事で疲れて・・・」

「知るか、さぁ癒せ」

「い、いやぁぁぁ!!」

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