光壊以外の話

今日はホワイトデー。まぁ誰にも渡してないあたしにとっては関係のない日。
でもブライトがファラオに渡したからお返しがあると思うのよね。
ブライトは期待なんてしてないって言ってるけどそうはいかないよね。
なんとしてもお返しはもらわないと。
せっかくブライトが心込めて作ったチョコなんだし、あの引っ込み思案なブライトが頑張って渡したのにお返し無いとかありえないでしょう?
だから今あたしはブライトを連れてファラオの部屋に向かっている。
「ねぇ、ダスト・・・ボク別にお返しなんていいんだよぉ?」
「ダーメ、それじゃあたしの気が治まらないの!」
「だって・・・多分ファラオはボクのことなんて・・・」
あーもう!どこまでもマイナス思考なんだから!
でも不思議と嫌な気分にはならないのよね。α波でも分泌させるオーラでも出してるのかな?ブライトは普通に可愛いもんね。
その時丁度部屋からファラオが出てきた。
「ナイスタイミング♪ファラオー!」
「ああダスト、丁度いい所に来た。ブライトがどこにいるか知らぬか?」
「え?・・・あれ?ブライト!?」
さっきまで後ろに引っ付いてたブライトが消えた!辺りを見回すと廊下の隅で小さくなっているブライトが・・・
「ちょっと何してんの!ほらファラオが呼んでるよ!」
「きゃあ!」
無理矢理起こしてファラオの前に突き出してやった。小さな悲鳴が聞こえたけど無視!
「じゃあたしはこれで・・・」
「ダスト行かないでぇ・・・」
・・・ちょっと、そんな瞳を潤ませて見つめないでよ。普通にドキドキするじゃない。
「・・・あたし居て大丈夫なの?」
「すぐ終わる・・・」
仕方ない、可愛いブライトの頼みだから見守っていてあげよう。少し距離をおいて二人を観察することに・・・。

「ブライト、この間はありがとう」
「あ、ううん・・・味変じゃなかった?」
「いや、むしろ美味だったぞ」
あ、顔真っ赤になっちゃった。可愛いわねえ。
「お返しなんだが・・・これを・・・」
「リボン?」
「ああ、我の包帯を我の血で染めてリボンにしてみた」
!!?
それなんて呪いよ!?ってか何考えてんのあいつ!ホント一人称我の奴って何考えてんのかわかんない!!
「・・・ありがとう」
ブライトも何素直にお礼言ってんの!確実にそれ呪いでしょう!!?ああそんな満面の笑顔なんか見せちゃってさぁ!
「あ、でもボク、リボンなんてつけるところない・・・」
「うむ・・・ではこうしよう。ちょっと貸してくれ」
「あ、はい」
今度は何する気よ。リボンを鋏で小さく切ってる?てかその鋏どこから・・・?
「ブライト、左手を・・・」
「うん・・・?」
「・・・これなら仕事の邪魔にもならないだろう?」
「・・・!!」
・・・・・・。・・・うえぇぇぇ!!!!!!??????
ちょっ!左手の薬指ぃ!?
「え?ファラオ・・・?」
「どうした?」
「あっあんたねぇ・・・それ分っててやってんの!?」
「・・・?」
天然!?わっかんない!一人称我ってホントにわかんない!!
あぁっ!ブライトが固まってるし!
「ブライト?どうし
「ボクトードの所行ってくるぅぅぅ!!!」
どうしていつもトードの所なのよー!?
「ブライト待ってぇ!」
「ダスト、我なにかしたのか?」
「ホントに一人称我って!!ブライトはノミの心臓なんだから!寿命縮まったらどうすんのよぉ!!!」
「え?え???」
あれ本気で天然!?とにかく今はブライトを追い掛けないと!
「きゃあぁぁ!」
ブライトの悲鳴!?今度は何よぉ!
トードの部屋のほうに急ぐとそこには地面にへたれこんでるブライトが、
「どうし・・・あー・・・」
なんとなく予想はついてたことだけどさ、部屋の中見たらトードの上に跨ってるスネークが・・・
「・・・何してんの?」
とりあえず今の状況を分かりやすく説明していただきたい。
「いやぁトードがバレンタインにチョコくれただろ?それのお返しに・・・」
「これのどこがお返しなのぉ!?」
淡々と答えるスネークと必死に抵抗しながら叫ぶトード。
「今日こそ絶頂をプレゼントしてやるよ♪」
「あ・・・ちょっと、スネーク・・・!」
・・・やってらんないわ・・・。
「ブライト、あたしの部屋行こう?」
「うん・・・」
「なんだよう、見られながらならトードも絶
「見たくないわよ!あとちゃんと鍵は閉める!!」
ドアを思いっきり閉めてあたしはブライトを連れて自室に向かった。

「ブライト大丈夫?」
「うん・・・」
あんまり大丈夫そうじゃないけど・・・。無理もないか、今日はいろいろあったからね。
「ねぇダスト、ファラオは一体何考えてんだろね・・・」
左手の薬指につけられたリボンを見つめながらブライトはあたしに聞こえる程度の小さな声で呟くように言った。
「あたしに分かる訳ないじゃない・・・でもさ、少しは脈アリってことなんじゃない?」
あたしは思ったことしか口に出せないから素直に自分の意見を言ってあげた。
「・・・ボクの心臓もつかな?」
ロボットなんだから心臓なんてないんだけどね。でもこのままだと本当にブライトの身体が心配だわ。
「でも・・・好きなんでしょ?」
「うん・・・」
「ならそれでいいじゃない。少しずつ・・・ね?」
「・・・ありがとう」
そう言って困ったように微笑むブライトは本当に綺麗だなと思った。
この子を汚すようなことを仕出かしたら許さないからねファラオ。

そんなホワイトデー。
他の連中はどんな風に過ごしたのかしらね。
まぁあたしにはどうでもいいこと。

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