光壊以外の話

オレの世界はオレの目に映る全てだ。
そう考えると、まるで世界の中心がオレだと言っているように聞こえるかもしれない。だけど、多分それぞれの世界の中心は自分なのだと思う。
だが、オレはオレの世界の中心がオレだとは思いたくない。オレはオレの存在がとても汚らしいものだと思っている。
理由など、思い出そうとしてもできないくらい昔のことすぎて、しかし今でもオレは汚れた存在であると自負している。

そんな汚れたオレから生まれた『命』。
―ホログラム―
オレのホログラム発生装置から出てくるホログラムはオレの強い意志によって人格と実体を持った。
汚れたオレから生まれた唯一の汚れなき者、それがホログラム。
そうだ、オレの世界はホログラムを中心として回っている。
失ってはならないものだ。

「オリジナル?」
いつものように同じ思考に支配されていた。
暗く絶望の淵に立たされた時、その声だけがオレを救い出してくれる。
「また小難しいこと考えてんのか?」
いつもこうやってオレのことを気に掛けてくれる。それが嬉しくもあり、悲しくもある。
そんなこと、気付かせてはいけない。
「ホログラムがいてよかったなぁ・・・って」
そう言うと途端に不機嫌な顔になる。
オレがホログラムの存在に感謝すると、いつも決まって不機嫌になるのだ。
その理由は未だにわからないけれど。
「オリジナル」
不意にかけられた声に顔を上げる。と、
「お前は、本当に、いつも、何でも、自分で、全部、溜め込みすぎ、だ!!」
「い、痛いぞホログラム・・・」
言葉をひとつ紡ぐごとに額にダメージを受ける。指先から与えられるダメージは地味に痛いのだ。
「いつも言ってるだろ?溜め込むなって。お前にはオレ様がいるんだから」

「護ってやるよ、どんな時でも、どんな奴からも。蛇野郎からだってな!」
「・・・そうだな」

「オレにはお前がいるから安心だな」
「そういうこと。だからオレ様を頼れよ?」
ホログラムがいる限りオレは大丈夫だと、そう思えるから。

オレの世界はココにある。

だから、絶対壊させるものか。

オレにとって世界というものは、オレが守るべき存在のことだ。

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