光壊以外の話
暗い。この闇はオレ様の眠っている証。
オリジナルや他の奴らと違ってオレ様は夢を見ない。
記憶の再生さえ行われない、ただ闇が広がるだけ。
精神世界とも言えるこの暗闇の中で、孤独を感じないと言えば嘘になる。
だが、それでいい。オレ様が独りでいることはオリジナルが孤独ではないということだから。
双子座の意味をもつ「ジェミニ」。それがオリジナルの名前。
その名に相応しく同じ容姿を持つオレ様、「ホログラム」を生み出すことができる。
双子というよりは鏡の様な存在と言った方がいいかもしれない。
オレ様とオリジナルは対となる存在。
だからオレ様が孤独でいることはオリジナルが孤独ではないという証拠。
オレ様にとってなによりも大切な存在であるオリジナルが孤独でないのなら、それはとても喜ばしいことだ。
だからオレ様の孤独なんて、どうでもいいことなんだ。
それでも・・・それでも、たまに不安になることもある。
オリジナルが孤独でなくなるということは、オレ様の存在理由も無くなるということだ。
それ故にオレ様が眠るときに闇に溶け込んでいくような感覚に陥る。
存在が消える。それはオリジナルの心の闇が消えるということだから、喜ばしいことには変わりない。
だが、オリジナルがそのままオレ様の存在を忘れてしまうのではないか、という不安に襲われる。
ただのホログラムでしかなかったオレ様がこうして自我を持ち、実体を持つことができる。
いつでもオリジナルのそばにいられる。不安な時は抱きしめてやることだってできる。
ただそれでよかったはずなのに、このままで、オレ様はずっと存在できることを望んでしまった。
一度温もりを知ってしまったこの体と心は、もう元には戻れない。
いつもは冷たい空間であるはずのココ。闇が支配するのはいつも通りだが、今は微かな温もりを感じる。近くにオリジナルがいるんだろうか。
オリジナルがそばにいるときは今のような温もりを感じることがある。安心感とでも言うのだろうか。
心地良い温もりの中で目を覚ます。
「あ、おはようホロくん♪」
・・・視界に飛び込んできたのはオレ様がこの世で最も嫌う相手。
これは夢だ。または寝ぼけているだけなんだ。
目を覚ませオレ様!
・・・もう一度目を開く。
「ホロくんおはよう♪」
視界に映るのは先程と変わらない。むしろ近づいている。確実に。
「う、うぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」
目が覚めた。それはもう完全に。
「おおおオレ様の半径10km以内に近づくんじゃねぇ!!」
「それって同じ基地内じゃ無理じゃね?」
至近距離で受けた大声に聴覚センサーを押さえながら奴は言う。
もしかしたらエラーが出たかもしれないが、オレ様には関係ないし、今はそんなことどうでもいい!
「じゃあオレ様の視界に入るな!!」
「あ、ならホロくんが寝てる時ならいいよね?ホロくんが起きたら退散するからさ」
「揚げ足をとるようなことを!!」
ヘラヘラと笑いながら言う奴に怒りが込み上げる。
オレ様はこいつのこういう所も嫌いだ。っていうか全てが嫌いだ!!
「寝てるホロくんって本当にお人形みたいだね」
「は?」
「抱きついたりしても起きないし」
「な・・・!?」
今なんて言った?抱きついた!?
じ、じゃあオレ様が感じた温もりはこいつの体温・・・!?
「でも抱きついてちょっとしたらホロくんってば照れくさそうに笑ってたんだよ。良い夢見た?」
一気に顔に熱が集中するのがわかった。
オレ様は夢を見ない。故に寝顔というものが変化することもない。
それならば、何故。
「ホロくん?顔赤いよ、大丈夫?」
「だ、黙れぇぇぇぇぇ!!」
その場にいたくなくて部屋を飛び出した。
「ホ、ホログラム?」
行き着いた先はもちろんオリジナル。
突然抱きついてきたオレ様に戸惑っているようだが、今は気にしてられない。
「オレ様はオリジナルがいればいいんだからな!?」
「いきなりなんだよ」
困ったように笑うオリジナルの声が聞こえたけれど、他の奴らのオレ様を見る視線が痛いこともわかったけれど、今はただこうしてオリジナルと共にいたい。
確かにあの温もりが心地良かったのは事実。
だが!!
オレ様を闇から引きずり出すのが、オリジナルじゃなくてこいつだなんて、死んでも嫌だ!!
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オリジナルや他の奴らと違ってオレ様は夢を見ない。
記憶の再生さえ行われない、ただ闇が広がるだけ。
精神世界とも言えるこの暗闇の中で、孤独を感じないと言えば嘘になる。
だが、それでいい。オレ様が独りでいることはオリジナルが孤独ではないということだから。
双子座の意味をもつ「ジェミニ」。それがオリジナルの名前。
その名に相応しく同じ容姿を持つオレ様、「ホログラム」を生み出すことができる。
双子というよりは鏡の様な存在と言った方がいいかもしれない。
オレ様とオリジナルは対となる存在。
だからオレ様が孤独でいることはオリジナルが孤独ではないという証拠。
オレ様にとってなによりも大切な存在であるオリジナルが孤独でないのなら、それはとても喜ばしいことだ。
だからオレ様の孤独なんて、どうでもいいことなんだ。
それでも・・・それでも、たまに不安になることもある。
オリジナルが孤独でなくなるということは、オレ様の存在理由も無くなるということだ。
それ故にオレ様が眠るときに闇に溶け込んでいくような感覚に陥る。
存在が消える。それはオリジナルの心の闇が消えるということだから、喜ばしいことには変わりない。
だが、オリジナルがそのままオレ様の存在を忘れてしまうのではないか、という不安に襲われる。
ただのホログラムでしかなかったオレ様がこうして自我を持ち、実体を持つことができる。
いつでもオリジナルのそばにいられる。不安な時は抱きしめてやることだってできる。
ただそれでよかったはずなのに、このままで、オレ様はずっと存在できることを望んでしまった。
一度温もりを知ってしまったこの体と心は、もう元には戻れない。
いつもは冷たい空間であるはずのココ。闇が支配するのはいつも通りだが、今は微かな温もりを感じる。近くにオリジナルがいるんだろうか。
オリジナルがそばにいるときは今のような温もりを感じることがある。安心感とでも言うのだろうか。
心地良い温もりの中で目を覚ます。
「あ、おはようホロくん♪」
・・・視界に飛び込んできたのはオレ様がこの世で最も嫌う相手。
これは夢だ。または寝ぼけているだけなんだ。
目を覚ませオレ様!
・・・もう一度目を開く。
「ホロくんおはよう♪」
視界に映るのは先程と変わらない。むしろ近づいている。確実に。
「う、うぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!」
目が覚めた。それはもう完全に。
「おおおオレ様の半径10km以内に近づくんじゃねぇ!!」
「それって同じ基地内じゃ無理じゃね?」
至近距離で受けた大声に聴覚センサーを押さえながら奴は言う。
もしかしたらエラーが出たかもしれないが、オレ様には関係ないし、今はそんなことどうでもいい!
「じゃあオレ様の視界に入るな!!」
「あ、ならホロくんが寝てる時ならいいよね?ホロくんが起きたら退散するからさ」
「揚げ足をとるようなことを!!」
ヘラヘラと笑いながら言う奴に怒りが込み上げる。
オレ様はこいつのこういう所も嫌いだ。っていうか全てが嫌いだ!!
「寝てるホロくんって本当にお人形みたいだね」
「は?」
「抱きついたりしても起きないし」
「な・・・!?」
今なんて言った?抱きついた!?
じ、じゃあオレ様が感じた温もりはこいつの体温・・・!?
「でも抱きついてちょっとしたらホロくんってば照れくさそうに笑ってたんだよ。良い夢見た?」
一気に顔に熱が集中するのがわかった。
オレ様は夢を見ない。故に寝顔というものが変化することもない。
それならば、何故。
「ホロくん?顔赤いよ、大丈夫?」
「だ、黙れぇぇぇぇぇ!!」
その場にいたくなくて部屋を飛び出した。
「ホ、ホログラム?」
行き着いた先はもちろんオリジナル。
突然抱きついてきたオレ様に戸惑っているようだが、今は気にしてられない。
「オレ様はオリジナルがいればいいんだからな!?」
「いきなりなんだよ」
困ったように笑うオリジナルの声が聞こえたけれど、他の奴らのオレ様を見る視線が痛いこともわかったけれど、今はただこうしてオリジナルと共にいたい。
確かにあの温もりが心地良かったのは事実。
だが!!
オレ様を闇から引きずり出すのが、オリジナルじゃなくてこいつだなんて、死んでも嫌だ!!
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