5.ずっと一緒にいたかった


※注意
・引き続き好ましくない表現あり。
・ここでのクラッシュとフラッシュの声というのは心を通じての会話。


クラッシュとフラッシュの願いは叶うことはありませんでした。それをわかっていても2人は願いたかったのです。
クラッシュの心は少しずつですが回復していきました。フラッシュもそれに気付きます。
2人の心はいつだって通じ合っているのです。だからクラッシュがフラッシュを殺したくないことや、許していることもフラッシュはわかっていました。
フラッシュは知っていました。他のナンバーズが必ず自分たちを連れ戻しに来ることを。
恐れたのです。クイックは必ず自分の核から今までの記憶を消去することだろうと。そうなると誰が兄を助けられるのかと。
自分しかいないのに、他のやつではダメなのに。だからフラッシュは見つからないように、二度と2人の仲を引き裂かれることのないように、力尽きるまでタイムストッパーを発動し続けたのです。
この時、ストッパーの発動に全神経を集中させたためフラッシュは心での会話ができなくなってしまいました。
クラッシュはフラッシュの行動を止めたかったのです。しかし、クラッシュはその場から動けずにいましたし、フラッシュには何も聞こえません。
やっと心が通じたと思ったときにはフラッシュは力尽きてしまったのです。
力尽き、動かなくなったフラッシュがそこにいました。
クラッシュにはまだフラッシュの声が聞こえていますフラッシュはまだ生きていました。
クラッシュが安心したとき、フラッシュが言いました。

俺のタイムストッパーのせいであいつがくる。
忘れていたよ、この行動自体があいつに居場所を教えてしまうことを。
逃げてくれ、今あいつに捕まるな!!

ガシャッ

ビチャ

それは一瞬の出来事だった。
弟が俺様につげたあと、弟の頭がつぶれた。俺様の顔に弟のオイルがかかる。
あいつがつぶした。
涙が、流れた。

「心を失っても涙は流れるものなんだな。知ってるか?核さえ残っていれば体はいくらでも修復できるし、データの書きかえもできるんだぜ。だから、このハゲからお前の記憶だけ消すこともできるんだ。もうこいつはお前だけのモノじゃないんだ。こいつは俺の、オモチャだ」

聞こえない。何も聞こえない。夢の中にいる気分だ。でも目の前に広がる光景は現実に起こっているわけで、これは現実だと言ってくる。
これが夢ならよかったのに、長い悪夢だったらどれほどよかったことか。どこで狂ってしまったのだろう。
自分の存在があるから、こうなってしまったのか。なら自分がいなくなれば全て終わるのではないか。
もう自分を殺してくれる奴もいないんだ。それなら自分でやるしかないじゃないか。

俺様は全身全霊の力で全てを壊す。そうすればお前は約束を果たしてくれるだろ?

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