短いシリーズ

初めての共同作業・3

「クソ・・・油断しすぎたか」
デジタルからアナログへの移行は俺個人の決定。成功すればお咎めもないだろう。
だが、失敗すれば任務自体の失敗に繋がり、それどころか自身を危険にさらすことにもなる。
今は後者、まさに今、自身の危機を感じている。

アナログのバックアップを探しに来た。予想通りの場所にあった。そしてそれは典型的な頑丈な金庫に保管されていた。
アナログであろうと俺の陣からは逃げられない。
資料の全てをインプットし、燃やした。これで俺の役目は終わり。
そして来た道を戻ろうとした矢先にこれだ。

大量のガードロボ。しかも情報になかった型のものだ。おそらくは新型。
この施設のデータがデジタル、アナログ共に使い物にならなくなったときに稼働する仕組みになっていたらしい。つまりはこの施設のデータにはこいつらのデータも入っているということか。
こんな時に冷静に状況を分析できるなんてさすが俺。いや、さすが博士の創造物だな。
しかしこれでは分が悪すぎる。
さっきからクラッシュに通信を試みているが、電波障害が起きているらしく一向に繋がらない。
こんなことならあの時ちゃんと通信入れとくんだった、と後悔した。

さてどうするか。
戦闘において俺の陣は使い物にならない。この数ではタイムストッパーを使って逃げることもできない。
・・・もっとも、既に退路は断たれているのだが。

「面倒だな・・・」
ハッキング能力と接近戦だけに集中した俺の戦闘力は雑魚にしてみれば脅威ではあるが、兄たちには敵わない。
それにこいつらの能力がわからない以上、こちらの手の内を明かすわけにはいかない。もしこいつらに通信機能があって、外部と連携してリアルタイムに情報が漏れていたら、博士にとってここのデータ以上に不利なことになるのだ。
それだけは免れなくては。しかしこのままではこちらが危うい。

いくら得意とする接近戦でも囲まれればおしまい。こういうとき広範囲攻撃を持つやつが羨ましい。
こいつらの急所さえ分かれば接近戦に出ることはできるが、どんなにサーチしても急所が見当たらない。そういう造りになっているのだろう。
厄介だ。だが、こいつらの情報を持ち帰れば博士にとってとても有利なものになる。なんとしてもこのデータを持ち帰らなければ。

ドゴォン

突然の轟音。奴らの真上に天井が落ちてきた。
見上げれば崩れた天井から覗く橙の機体。
「クラッシュか!」
俺が声を上げればクラッシュは静かに言った。
「フラッシュ、どいて」
その言葉に素早くその場から上の方へと移動する。
言葉に込められた感情に少しばかり違和感を覚える。
そして俺がいた場所にいくつかのクラッシュボムが埋め込まれた。

爆風に巻き込まれた無数の機体は無残にも砕け散った。
これほどまでの威力。その破壊力に息を呑む。
巻き込まれれば、ひとたまりもない。
まるで振動が核にまで伝わっているような感覚に陥る。

『あいつは凄いぞ』
クイックの言葉が頭を巡る。

これが、クラッシュ・・・。

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