短いシリーズ
初めての共同作業・2
俺たちに課せられた任務は、ある施設の資料奪取と施設の破壊。
博士にとって不利な情報が眠っているらしい。
『資料の奪取が不可能ならば、施設を徹底的に破壊せよ』
それが俺にとっては初めての任務内容。
共同作業はお互いが最も得意とする状態の任務が課せられる。
俺は破壊活動はあまり得意ではないが接近戦はわりと得意な方だ。
そして最も得意とするのは情報収集。電子戦。
内臓されたコンピュータで内部情報を引き出す。タイムストッパーは俺の陣を作るための装置でもある。
陣の中は俺の支配する空間だ。
ただし、それは障害が少ない場合。今回のように重要な機関の場合、警備用ガードロボの数が異様に多い。
これでは陣を作って電子戦に勝利したとしても施設から脱出が難しくなる。
だから脱出ルートを作り、俺の守備に回る役が必要となる。その役目を担うのがクラッシュの役目。
弟のサポート、それが共同作業で兄に課せられる任務でもあると言われた。
「外部からハッキングできれば楽なんだがな」
「だけどこっちのほうが、やりがいある」
「確かにな」
今まではシミュレーション用ソフトを使って訓練していた。だが、今回は実戦。それも電子戦だけではないのだ。
戦闘用としての性なのか、任務内容を聞いたときからずっと体が疼いている。
「てき、ひきつけてくる。あと、たのんだ」
そんな俺を尻目にクラッシュは淡々と告げる。さっぱりした性格がここにきて出ているのだろうか。
「通信だけはできるようにしといてくれよ。こっちは初めてなんだからな」
「わかってる」
すでに戦闘モードなのか、いつもとは少し違う感じがした。
先取りしていた情報の通り、施設の中心にマザーコンピュータがあった。
聴覚センサーからケーブルを引き、ハッキングをかける。
「さぁて、お手並み拝見といきますか」
順調に作業を進めていると違和感を覚えた。
「・・・?」
静かだ。あまりにも。破壊活動をしているのなら、こんなに静かなわけがない。
だが、この張り詰めたような空気はなんだ。大気が震えているような、この異様な空気は。
一体なんだ。
「っ!?」
集中しなければならない状況で一瞬、気を緩めたことが原因だった。
セキュリティに気付かなかったのだ。電子戦で気を抜くということはそのまま敗北に繋がる場合があるということを散々言われてきたはずなのに。
データを守るためのセキュリティが発動した。末端からウイルスの侵入を警告する音がうるさく響いている。
「チッ」
ケーブルを引きちぎり、内部のコンピュータを強制シャットダウンさせる。これでウイルスの侵入は免れた。だが、これでデータの回収が不可能となった。
無理に回収しろとは言われていないが、これでは腑に落ちない。
データだけなら施設を破壊すれば失われるはずだ。バックアップが不可能であるという情報もある。
デジタルでのバックアップが不可能なら、アナログでのバックアップデータがあるはずだ。
アナログ資料の大抵はある場所に保管されてるものだ。そこまでの通路が確保されているなら、あとはそこまで一気に駆け抜ければいい。接近戦なら俺だけでいける。
報告するべきか迷ったが、それくらいのことならば必要ないと判断し目的地に足を進めた。
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俺たちに課せられた任務は、ある施設の資料奪取と施設の破壊。
博士にとって不利な情報が眠っているらしい。
『資料の奪取が不可能ならば、施設を徹底的に破壊せよ』
それが俺にとっては初めての任務内容。
共同作業はお互いが最も得意とする状態の任務が課せられる。
俺は破壊活動はあまり得意ではないが接近戦はわりと得意な方だ。
そして最も得意とするのは情報収集。電子戦。
内臓されたコンピュータで内部情報を引き出す。タイムストッパーは俺の陣を作るための装置でもある。
陣の中は俺の支配する空間だ。
ただし、それは障害が少ない場合。今回のように重要な機関の場合、警備用ガードロボの数が異様に多い。
これでは陣を作って電子戦に勝利したとしても施設から脱出が難しくなる。
だから脱出ルートを作り、俺の守備に回る役が必要となる。その役目を担うのがクラッシュの役目。
弟のサポート、それが共同作業で兄に課せられる任務でもあると言われた。
「外部からハッキングできれば楽なんだがな」
「だけどこっちのほうが、やりがいある」
「確かにな」
今まではシミュレーション用ソフトを使って訓練していた。だが、今回は実戦。それも電子戦だけではないのだ。
戦闘用としての性なのか、任務内容を聞いたときからずっと体が疼いている。
「てき、ひきつけてくる。あと、たのんだ」
そんな俺を尻目にクラッシュは淡々と告げる。さっぱりした性格がここにきて出ているのだろうか。
「通信だけはできるようにしといてくれよ。こっちは初めてなんだからな」
「わかってる」
すでに戦闘モードなのか、いつもとは少し違う感じがした。
先取りしていた情報の通り、施設の中心にマザーコンピュータがあった。
聴覚センサーからケーブルを引き、ハッキングをかける。
「さぁて、お手並み拝見といきますか」
順調に作業を進めていると違和感を覚えた。
「・・・?」
静かだ。あまりにも。破壊活動をしているのなら、こんなに静かなわけがない。
だが、この張り詰めたような空気はなんだ。大気が震えているような、この異様な空気は。
一体なんだ。
「っ!?」
集中しなければならない状況で一瞬、気を緩めたことが原因だった。
セキュリティに気付かなかったのだ。電子戦で気を抜くということはそのまま敗北に繋がる場合があるということを散々言われてきたはずなのに。
データを守るためのセキュリティが発動した。末端からウイルスの侵入を警告する音がうるさく響いている。
「チッ」
ケーブルを引きちぎり、内部のコンピュータを強制シャットダウンさせる。これでウイルスの侵入は免れた。だが、これでデータの回収が不可能となった。
無理に回収しろとは言われていないが、これでは腑に落ちない。
データだけなら施設を破壊すれば失われるはずだ。バックアップが不可能であるという情報もある。
デジタルでのバックアップが不可能なら、アナログでのバックアップデータがあるはずだ。
アナログ資料の大抵はある場所に保管されてるものだ。そこまでの通路が確保されているなら、あとはそこまで一気に駆け抜ければいい。接近戦なら俺だけでいける。
報告するべきか迷ったが、それくらいのことならば必要ないと判断し目的地に足を進めた。
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