短いシリーズ
初めての共同作業・1
―初めて見た幼い兄の戦う姿に、俺は心を奪われた―
「共同作業、ですか?」
博士に呼び出された俺は初めて聞く単語に首を傾げた。
「あー、もうそんな時期なのか?」
さっきまではいなかったはずのクイックがいつの間にか現れて言った。無駄なところも速い。
「ゴキブリめ」
「なんか言ったかハゲ」
ボソリと呟いたつもりだったが聞こえていたようで、俺の神経を逆撫でするような言葉を言ってきやがった。
「なんも言ってねーよV字野郎」
「あーもうやめんか!」
博士の制止が入り、俺たちは言い争うのをやめた。
博士が言うには共同作業とは一つ上の兄と共に行う任務のことらしい。それが俺にとっての初任務。
一つ上の兄、つまり俺の場合は「アイツ」か。
「なぁ」
「んー?おお、どうした、おとうと」
俺の呼びかけに答える橙色の機体。出会った頃と同じように舌ったらずな口調で答えるこの機体は、俺にとっての「兄」。
体格やら言葉使いはどう見ても俺の方が「兄」なのだが、これは紛れもない事実。
「共同作業、だとさ」
「おー!」
まるで子供が新しい玩具を見つけた時のようにはしゃぐ兄を見て、少しばかり不安が過ぎる。
こんなんで本当に大丈夫なのか?
「どんな感じなんだ?」
「んー、おれさまはたのしかった」
一応参考までに聞いておこうと思ったが、その答えは期待外れだった。
「それじゃ答えになってねぇよ・・・」
呆れながら答えると、
「えへっ」
と舌を出しながら笑った。
こんな体も頭も幼い兄が任務などできるのだろうか?
不覚にもそれが可愛いと思ってしまった俺も俺なのだが。
『あいつは凄いぞ』
先程参考までにクイックに聞いてみたが、自分の目で確かめろと、それ以上のことは言わなかった。
馬鹿にしているわけではないが、どう見ても子供なだけに俺の不安は大きくなっていった。
そして迎えた当日。そこで俺は自分の目を疑うことになる。
そしてその日から、俺の中で「クラッシュ」という存在は更に大きなものへとなる。
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―初めて見た幼い兄の戦う姿に、俺は心を奪われた―
「共同作業、ですか?」
博士に呼び出された俺は初めて聞く単語に首を傾げた。
「あー、もうそんな時期なのか?」
さっきまではいなかったはずのクイックがいつの間にか現れて言った。無駄なところも速い。
「ゴキブリめ」
「なんか言ったかハゲ」
ボソリと呟いたつもりだったが聞こえていたようで、俺の神経を逆撫でするような言葉を言ってきやがった。
「なんも言ってねーよV字野郎」
「あーもうやめんか!」
博士の制止が入り、俺たちは言い争うのをやめた。
博士が言うには共同作業とは一つ上の兄と共に行う任務のことらしい。それが俺にとっての初任務。
一つ上の兄、つまり俺の場合は「アイツ」か。
「なぁ」
「んー?おお、どうした、おとうと」
俺の呼びかけに答える橙色の機体。出会った頃と同じように舌ったらずな口調で答えるこの機体は、俺にとっての「兄」。
体格やら言葉使いはどう見ても俺の方が「兄」なのだが、これは紛れもない事実。
「共同作業、だとさ」
「おー!」
まるで子供が新しい玩具を見つけた時のようにはしゃぐ兄を見て、少しばかり不安が過ぎる。
こんなんで本当に大丈夫なのか?
「どんな感じなんだ?」
「んー、おれさまはたのしかった」
一応参考までに聞いておこうと思ったが、その答えは期待外れだった。
「それじゃ答えになってねぇよ・・・」
呆れながら答えると、
「えへっ」
と舌を出しながら笑った。
こんな体も頭も幼い兄が任務などできるのだろうか?
不覚にもそれが可愛いと思ってしまった俺も俺なのだが。
『あいつは凄いぞ』
先程参考までにクイックに聞いてみたが、自分の目で確かめろと、それ以上のことは言わなかった。
馬鹿にしているわけではないが、どう見ても子供なだけに俺の不安は大きくなっていった。
そして迎えた当日。そこで俺は自分の目を疑うことになる。
そしてその日から、俺の中で「クラッシュ」という存在は更に大きなものへとなる。
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