絆
2.5壊と光を見守る兄~金属編~
ある日クラッシュが暴走した。
基地は壊滅状態。俺達は核を残し粉々にされた。数日後には博士が全て直してくれた。
俺達は再生した。
誰一人としてクラッシュを責めようと思わなかった。皆クラッシュが破壊衝動に苦しんでいるのを知っていたから。
だから何も言わなかった。何も言わず普段通りに接していた。
だがそれさえもクラッシュを苦しめる結果になるなんて誰も思っていなかった。
ただ一人を除いて。
クラッシュの1つ下の弟、フラッシュ。あいつだけは違った。思えばいつもあいつだけは俺達と違う行動をしていた。俺達がクラッシュを責めなかった事に対しあいつだけは違った。
あいつはクラッシュを責め立てた。俺達が止めるのも聞かず、ただただクラッシュを責め立て続けていた。
そんなことが続いたある日事件は起きた。クラッシュが自害しようとしたらしい。らしい というのは俺達はまったく気付かなかったからだ。それに気付き、さらにそれを阻止したのはフラッシュだった。
あの日何が起こったのか、2人の間に何があったのか、それは分からない。ただ、あの日からフラッシュがクラッシュを責めることはなくなったし、クラッシュも元のように笑うようになった。
だから真相は分からなくてもいいと思っている。これで全て元通りだと思ったからだ。弟達も同じ考えのようで誰もあの日について尋ねる奴はいなかった。
でも・・・長男としてはやはり事の真相を知りたくてたまらなかった。長男として弟達の全てを知っておく必要があると思ったからだ。
それが長男として生まれた俺の役目だと信じていたから。
あの日から2人の様子がどこか違うということには気付いた。クラッシュは普段俺達と笑いあっているのに対し、フラッシュが笑わなくなった。いつもなら一緒になって大笑いしていたのに。
そしてクラッシュも突然自室にこもる事が増えた。皆は例の破壊衝動のせいだろうと特に何も言わなかった。俺もそう思っていたから何も言わなかった。
しかし、次の瞬間フラッシュがいなくなっていた。辺りを見回してみるとクラッシュの部屋に向かうフラッシュの姿が見えた。
俺は「小さきマスクの戦士たち」の集まりがあると嘘をつきその場を後にした。そしてフラッシュの後をつけた。
兄として、長男として2人の関係をどうしても知りたかったからだ。
「タイチョー?」
「ぷぎっ!!?」
後ろから声が聞こえ振り返ると誰もいなく、気のせいかと思っていたらいきなり上から現れた影にビックリし思わず変な声を上げてしまった。しかも思わずリアメタル化してしまったじゃないか・・・。
フラッシュは・・・気付いてないらしくそのままクラッシュの部屋に入って行った。
俺はいきなり現れた影に話かける。
「ゆ・・・U字くん・・・?」
「そんなに驚くとは・・・私ビックリですよ」
「俺の方がビックリしたよ!」
影の正体はU字くん。3ボスのマグネットだ。
「何してるんですか?」
「それはこっちの台詞だよ。どうして君がここにいるんだい?」
そう、ここは2ボスの基地。3ボスのU字くんがいるなんておかしいじゃないか。
「まぁそこは気にせず・・・タイチョーともあろう方が尾行ですか。あまり関心しませんねぇ」
「・・・っ俺は・・・長男として・・・」
「余計なお世話だと思います」
U字くんはいつもそうだ。何もかも分かったような口ぶりで話す。
「あの2人にも誰にも知られたくないことくらいあります。その時が来れば自ら話してくれるでしょう。それなのに・・・」
「俺は長男として弟達の全てを知る必要があるんだ!」
そうだ、俺は長男として知る必要がある・・・。
「・・・言い訳じゃないですか。長男だから何です?長男なら弟達はタイチョーに全てを曝け出さなくちゃいけないんですか?」
・・・。何も言い返せない。
「・・・なにもうちの長男のように放任主義になれと言っている訳ではないんです。長男だからという理由で弟達を縛り上げるようなことをして欲しくないんです」
「U字くんの言う事はいつも正しいよ。それでも知りたいと思うのは長男として見守りたいからなんだ」
「何も全てを知ることが長男としてできる唯一の事と言う訳ではありませんよ。ただただ静かに見守ってあげる。これだけでも十分だと思います。兄が見守っていてくれる、それだけで弟は安心できるものなんですよ」
U字くんの言葉に涙が出そうになった。俺は「長男」という立場に縛られていた。U字くんは次男だ。兄と弟二つの立場がある。そんなU字くんだからこそ言える事なんだろう。
「・・・ありがとうU字くん」
「礼には及びません。タイチョーは頑張り過ぎなんです。たまには休んでくださいよ。なんなら隊長は私に任せてくれても構いませんよ?」
「君は・・・始めからそのつもりだっただろう!!」
「はっはー。さらばですタイチョー」
そう言い残しU字くんは帰っていった。
・・・U字くん・・・昔の君はあんな子じゃなかったのに・・・月日は人を変えてしまうんだね。人じゃないけど。
そうか、長男だからと意地を張らなくてもいいのか。ありがとうU字くん・・・。
クラッシュとフラッシュの問題は2人でなんとかなるんだろうな。あの2人ならどんな困難にだって立ち向かえるさ。だから俺が出る幕はないんだ。
・・・しかし・・・何故こうなる?
「なんでお前達そんなに距離が近い!?不純か!不純なのか!?兄ちゃん許さないぞ!」
あれ以来フラッシュはクラッシュの部屋に行くことが多くなった。
しかも長い時間だ!何かあると考えてしまうだろう!
「「いや別に?」」
「ハモった!兄ちゃんに隠し事しないで、悲しいから」
「「はぁー・・・メタル・・・うざい」」
「兄ちゃんショック!!」
・・・でも2人が笑ってるならそれでいいのかもしれないな。俺は兄として見守っていればいいんだからな。たとえそれが不純だとしても!!
・・・だたその後であんな悲劇になるなんて思いもしなかったがな・・・。
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ある日クラッシュが暴走した。
基地は壊滅状態。俺達は核を残し粉々にされた。数日後には博士が全て直してくれた。
俺達は再生した。
誰一人としてクラッシュを責めようと思わなかった。皆クラッシュが破壊衝動に苦しんでいるのを知っていたから。
だから何も言わなかった。何も言わず普段通りに接していた。
だがそれさえもクラッシュを苦しめる結果になるなんて誰も思っていなかった。
ただ一人を除いて。
クラッシュの1つ下の弟、フラッシュ。あいつだけは違った。思えばいつもあいつだけは俺達と違う行動をしていた。俺達がクラッシュを責めなかった事に対しあいつだけは違った。
あいつはクラッシュを責め立てた。俺達が止めるのも聞かず、ただただクラッシュを責め立て続けていた。
そんなことが続いたある日事件は起きた。クラッシュが自害しようとしたらしい。らしい というのは俺達はまったく気付かなかったからだ。それに気付き、さらにそれを阻止したのはフラッシュだった。
あの日何が起こったのか、2人の間に何があったのか、それは分からない。ただ、あの日からフラッシュがクラッシュを責めることはなくなったし、クラッシュも元のように笑うようになった。
だから真相は分からなくてもいいと思っている。これで全て元通りだと思ったからだ。弟達も同じ考えのようで誰もあの日について尋ねる奴はいなかった。
でも・・・長男としてはやはり事の真相を知りたくてたまらなかった。長男として弟達の全てを知っておく必要があると思ったからだ。
それが長男として生まれた俺の役目だと信じていたから。
あの日から2人の様子がどこか違うということには気付いた。クラッシュは普段俺達と笑いあっているのに対し、フラッシュが笑わなくなった。いつもなら一緒になって大笑いしていたのに。
そしてクラッシュも突然自室にこもる事が増えた。皆は例の破壊衝動のせいだろうと特に何も言わなかった。俺もそう思っていたから何も言わなかった。
しかし、次の瞬間フラッシュがいなくなっていた。辺りを見回してみるとクラッシュの部屋に向かうフラッシュの姿が見えた。
俺は「小さきマスクの戦士たち」の集まりがあると嘘をつきその場を後にした。そしてフラッシュの後をつけた。
兄として、長男として2人の関係をどうしても知りたかったからだ。
「タイチョー?」
「ぷぎっ!!?」
後ろから声が聞こえ振り返ると誰もいなく、気のせいかと思っていたらいきなり上から現れた影にビックリし思わず変な声を上げてしまった。しかも思わずリアメタル化してしまったじゃないか・・・。
フラッシュは・・・気付いてないらしくそのままクラッシュの部屋に入って行った。
俺はいきなり現れた影に話かける。
「ゆ・・・U字くん・・・?」
「そんなに驚くとは・・・私ビックリですよ」
「俺の方がビックリしたよ!」
影の正体はU字くん。3ボスのマグネットだ。
「何してるんですか?」
「それはこっちの台詞だよ。どうして君がここにいるんだい?」
そう、ここは2ボスの基地。3ボスのU字くんがいるなんておかしいじゃないか。
「まぁそこは気にせず・・・タイチョーともあろう方が尾行ですか。あまり関心しませんねぇ」
「・・・っ俺は・・・長男として・・・」
「余計なお世話だと思います」
U字くんはいつもそうだ。何もかも分かったような口ぶりで話す。
「あの2人にも誰にも知られたくないことくらいあります。その時が来れば自ら話してくれるでしょう。それなのに・・・」
「俺は長男として弟達の全てを知る必要があるんだ!」
そうだ、俺は長男として知る必要がある・・・。
「・・・言い訳じゃないですか。長男だから何です?長男なら弟達はタイチョーに全てを曝け出さなくちゃいけないんですか?」
・・・。何も言い返せない。
「・・・なにもうちの長男のように放任主義になれと言っている訳ではないんです。長男だからという理由で弟達を縛り上げるようなことをして欲しくないんです」
「U字くんの言う事はいつも正しいよ。それでも知りたいと思うのは長男として見守りたいからなんだ」
「何も全てを知ることが長男としてできる唯一の事と言う訳ではありませんよ。ただただ静かに見守ってあげる。これだけでも十分だと思います。兄が見守っていてくれる、それだけで弟は安心できるものなんですよ」
U字くんの言葉に涙が出そうになった。俺は「長男」という立場に縛られていた。U字くんは次男だ。兄と弟二つの立場がある。そんなU字くんだからこそ言える事なんだろう。
「・・・ありがとうU字くん」
「礼には及びません。タイチョーは頑張り過ぎなんです。たまには休んでくださいよ。なんなら隊長は私に任せてくれても構いませんよ?」
「君は・・・始めからそのつもりだっただろう!!」
「はっはー。さらばですタイチョー」
そう言い残しU字くんは帰っていった。
・・・U字くん・・・昔の君はあんな子じゃなかったのに・・・月日は人を変えてしまうんだね。人じゃないけど。
そうか、長男だからと意地を張らなくてもいいのか。ありがとうU字くん・・・。
クラッシュとフラッシュの問題は2人でなんとかなるんだろうな。あの2人ならどんな困難にだって立ち向かえるさ。だから俺が出る幕はないんだ。
・・・しかし・・・何故こうなる?
「なんでお前達そんなに距離が近い!?不純か!不純なのか!?兄ちゃん許さないぞ!」
あれ以来フラッシュはクラッシュの部屋に行くことが多くなった。
しかも長い時間だ!何かあると考えてしまうだろう!
「「いや別に?」」
「ハモった!兄ちゃんに隠し事しないで、悲しいから」
「「はぁー・・・メタル・・・うざい」」
「兄ちゃんショック!!」
・・・でも2人が笑ってるならそれでいいのかもしれないな。俺は兄として見守っていればいいんだからな。たとえそれが不純だとしても!!
・・・だたその後であんな悲劇になるなんて思いもしなかったがな・・・。
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