2.葛藤


あいつはいつでも笑っている。
周りの奴もあいつといるといつも笑っている。
俺はあまり笑わない。だってあいつがあまりにも無理に笑うから。
他の奴は気付いているのだろうか。あいつの無理な笑顔に。
あ、また部屋にこもるのか。またあの症状がでたのか。
またひとりであの苦しみを味わうのか。俺との誓いを破らないために、自分が壊れてしまわないように。
他のやつは俺とあいつとの誓いを知らない。でも、あいつの苦しむ理由がわかっているからなにも言わないし、それ以上あいつとの距離を縮めようとはしない。
俺はどうすればいい。このまま放っておくのか、それとも行ってやるべきなのか。
俺にはどうすることもできないかもしれない。でも・・・俺はあいつを放っておけない。
「何しに来たハゲ」
「俺様の無様な姿でも見に来たか」
「笑えば良いだろう」
こいつはなんで俺だとわかるんだ。普段なら俺様なんて言ったりしねぇしよ。
「俺がここにいたほうがお前が壊れたら殺しやすいだろ?」
「なんなら今すぐ殺せ、俺様ははやく死にたいんだ」
「馬鹿が・・・。心にもないことばっか言ってんじゃねぇよ」
「俺様は本音を語ったまでだ」
だったらなんでそんな顔すんだよ。無理に笑うな、強がるな、俺の前では本当の姿を見せろ。お前をわかってやれるのは俺だけだと実感させてくれ。俺をもっと必要としてくれ。

俺様の本当の姿?俺様は俺様だ、ほかの何者でもない。無理に笑うように見えるのはお前だけだ、俺様はちゃんと笑っているじゃないか。お前こそ俺様の前で無理をするな。
俺様にはお前が必要だ、お前がいてくれたら俺様は他に何も要らない、お前だけがいればいいんだ。でも無様な姿だけはお前にも見せたくないんだ。
お前がそんな顔をするから。
俺様の心はそれだけで崩れてしまうんだ。頼むから近づかないでくれ、どこかへ消えてくれ・・・。

俺がお前を守るから、絶対死なせないから、そばにいさせてくれ。

俺様はお前が何よりも大切だから、だから消えてくれ。

愛してるから・・・


補足
お互いの心の中もわかる2人だけどそれがお互いを突き放してしまっている、
フラッシュはクラッシュが壊れてしまわないようにそばにいたい。もう二度とあんな兄は見たくない、愛してるなんて言葉じゃ足りないほど愛してるから、もう壊れないで、俺の前から消えないで・・・。
クラッシュはフラッシュに自分の無様な姿を見せたくない、だから突き放す。それでも愛してるからホントはそばにいてほしい。離れないでほしい、抱きしめて、二度と離さないで・・・。
という気持ちがあるのです。

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