恋人の日
恋人の日2020
「恋人ごっこしようぜ!相手お前な!!」
「・・・は?」
この兄(兼恋人)はまた唐突な事を言い出したものだ。
って言うかごっこってなんだよ恋人だろうが!
あとドアを壊さないで。いつものことだから別にいいけど。いやよくはない。
「言い方を間違えた、つまりは恋人らしいことがしたい」
どう間違えたら恋人ごっこなんて言葉が出てくるんだ。
「あー、またデートがしたいってことか?」
数年前にしたデートの事を思い出す。この言い方だとまるでそれから一度もデートみていないみたいに聞こえるがあながち間違いでもない。
一緒に出かけることはあってもそれは恋人としてではなく兄弟として、或いは相棒としてだ。これはずっと変わっていない。
周りからそれデートじゃん!!って何度か言われたことがあるが自分たちで納得していないのだからデートじゃない。と言うかクラッシュが頑なに否定する。ちょっとへこむ。
「それもあるけどもう少し違うことがしてみたい」
「違うこと?」
「デートは俺様が考えた。だから今度はお前の番な!」
提案してきたわりにはこっちに丸投げじゃねーか。いや、これは惚れ直させるチャンスか?そういうことなのお兄様。それは好都合というものだ。丁度試したいことがある。
「じゃあ恋人らしいデートしようかお兄様」
「結局デートなのか?」
「恋人らしいデートだ」
ならお兄様はやめろと蹴りを入れられてしまった。
「いやいつも通りじゃねーか!!!」
賑やかな街並みにクラッシュの声が響き渡った。だが振り返る人間は少数だ。皆自分のことにしか興味がないのだろう。有難いことだ。
確かにやってることはいつもと同じなのだ。いつものように出かけていつものように立ち並ぶ店を眺めている。たまに気になる店があれば入って気に入ったものがあれば買う。
そうしてそろそろ帰ろうかという時にこの叫びである。もう少し早く気付こうか?
「十分デートでは?」
「だって・・・」
何かが違う、そう言いたげな顔をしている。
これではただ一緒に出かけて買い物をしているだけ、デートではないのだというのがクラッシュの持論だ。いや、デートだよな?これデートだよな??
どうしてクラッシュが否定したがるのかがわからない。互いのことなのにわからないことがあるなんて。
「まぁまぁ、ここからだって。な?」
そう宥めながら家路に着く。
「むぅ・・・」
むうってなんだ可愛いなちくしょう。
どうも納得していないようだ。はぐらかされているのだから納得できないのはわかる。経験済みだ。
「じゃあこういうのはどうだ?」
言いながらあるものを差し出す。薔薇だ。
正直、こういうのはガラではないと思っている。けど、こういうのは恋人っぽいのではないだろうか。
「・・・薔薇の数には意味があるって知ってるか?」
ああ、やっぱりこういうのもはクラッシュの方が詳しいんだろうな。
「まぁ調べてみたんだけどな。どの本数でも当てはまってしまって選べなかったんだ」
「ネガティブな意味でもか?」
あ、知ってらっしゃった。さすが。
兄の番号である13本も、俺の番号である14本も、2人合わせた27本もしっくりこなかった。そもそも俺が調べた中に27本の意味はなかったのだが。
「どんな意味でも当てはまるくらいの存在ってことだよ」
「これで少しは恋人らしいデートになったか?」
「・・・そーだな」
今度は納得してくれたようだ。
「まぁ。花貰っても枯らしちゃうけどな」
そう言いながらも嬉しそうにしてるのが丸分かりで本当にこの人は可愛いなと思う。
ちなみに本数はご想像にお任せするぜ。
「そういうえば、なんで頑なにデートじゃないって言うんだ?」
「・・・デートだって思うと舞い上がるだろ」
意外な答えが返ってきた。
「隣にいるのが弟じゃなくて恋人なんだって思ったら、絶対顔に出るからダメなんだ」
「結構顔に出てると思うけどな」
「!?」
気付いてないのはいつだって本人だけなんだろうな。可愛いが過ぎるな。
「ハァ・・・抱き潰そう」
「台無しだ」
思わず口に出してしまった。そしてスンって顔をされてしまった。その顔も嫌いではないんだけどな。
「そもそも恋人とは何ぞや」
「は!!!??」
なんて今更なことを言い出すのか。
「いや、定義はわかるんだ。わかるんだけど、それってつまり人間の話だろ?俺様たちとは違うんじゃないかと」
「あー・・・悩んじゃったわけか」
「だから恋人らしいことがしたいんだ」
なるほど?恋人らしいことをして恋人とは何か知りたいと?
「それは・・・来年の課題だな」
「フラグ立て乙」
.
「恋人ごっこしようぜ!相手お前な!!」
「・・・は?」
この兄(兼恋人)はまた唐突な事を言い出したものだ。
って言うかごっこってなんだよ恋人だろうが!
あとドアを壊さないで。いつものことだから別にいいけど。いやよくはない。
「言い方を間違えた、つまりは恋人らしいことがしたい」
どう間違えたら恋人ごっこなんて言葉が出てくるんだ。
「あー、またデートがしたいってことか?」
数年前にしたデートの事を思い出す。この言い方だとまるでそれから一度もデートみていないみたいに聞こえるがあながち間違いでもない。
一緒に出かけることはあってもそれは恋人としてではなく兄弟として、或いは相棒としてだ。これはずっと変わっていない。
周りからそれデートじゃん!!って何度か言われたことがあるが自分たちで納得していないのだからデートじゃない。と言うかクラッシュが頑なに否定する。ちょっとへこむ。
「それもあるけどもう少し違うことがしてみたい」
「違うこと?」
「デートは俺様が考えた。だから今度はお前の番な!」
提案してきたわりにはこっちに丸投げじゃねーか。いや、これは惚れ直させるチャンスか?そういうことなのお兄様。それは好都合というものだ。丁度試したいことがある。
「じゃあ恋人らしいデートしようかお兄様」
「結局デートなのか?」
「恋人らしいデートだ」
ならお兄様はやめろと蹴りを入れられてしまった。
「いやいつも通りじゃねーか!!!」
賑やかな街並みにクラッシュの声が響き渡った。だが振り返る人間は少数だ。皆自分のことにしか興味がないのだろう。有難いことだ。
確かにやってることはいつもと同じなのだ。いつものように出かけていつものように立ち並ぶ店を眺めている。たまに気になる店があれば入って気に入ったものがあれば買う。
そうしてそろそろ帰ろうかという時にこの叫びである。もう少し早く気付こうか?
「十分デートでは?」
「だって・・・」
何かが違う、そう言いたげな顔をしている。
これではただ一緒に出かけて買い物をしているだけ、デートではないのだというのがクラッシュの持論だ。いや、デートだよな?これデートだよな??
どうしてクラッシュが否定したがるのかがわからない。互いのことなのにわからないことがあるなんて。
「まぁまぁ、ここからだって。な?」
そう宥めながら家路に着く。
「むぅ・・・」
むうってなんだ可愛いなちくしょう。
どうも納得していないようだ。はぐらかされているのだから納得できないのはわかる。経験済みだ。
「じゃあこういうのはどうだ?」
言いながらあるものを差し出す。薔薇だ。
正直、こういうのはガラではないと思っている。けど、こういうのは恋人っぽいのではないだろうか。
「・・・薔薇の数には意味があるって知ってるか?」
ああ、やっぱりこういうのもはクラッシュの方が詳しいんだろうな。
「まぁ調べてみたんだけどな。どの本数でも当てはまってしまって選べなかったんだ」
「ネガティブな意味でもか?」
あ、知ってらっしゃった。さすが。
兄の番号である13本も、俺の番号である14本も、2人合わせた27本もしっくりこなかった。そもそも俺が調べた中に27本の意味はなかったのだが。
「どんな意味でも当てはまるくらいの存在ってことだよ」
「これで少しは恋人らしいデートになったか?」
「・・・そーだな」
今度は納得してくれたようだ。
「まぁ。花貰っても枯らしちゃうけどな」
そう言いながらも嬉しそうにしてるのが丸分かりで本当にこの人は可愛いなと思う。
ちなみに本数はご想像にお任せするぜ。
「そういうえば、なんで頑なにデートじゃないって言うんだ?」
「・・・デートだって思うと舞い上がるだろ」
意外な答えが返ってきた。
「隣にいるのが弟じゃなくて恋人なんだって思ったら、絶対顔に出るからダメなんだ」
「結構顔に出てると思うけどな」
「!?」
気付いてないのはいつだって本人だけなんだろうな。可愛いが過ぎるな。
「ハァ・・・抱き潰そう」
「台無しだ」
思わず口に出してしまった。そしてスンって顔をされてしまった。その顔も嫌いではないんだけどな。
「そもそも恋人とは何ぞや」
「は!!!??」
なんて今更なことを言い出すのか。
「いや、定義はわかるんだ。わかるんだけど、それってつまり人間の話だろ?俺様たちとは違うんじゃないかと」
「あー・・・悩んじゃったわけか」
「だから恋人らしいことがしたいんだ」
なるほど?恋人らしいことをして恋人とは何か知りたいと?
「それは・・・来年の課題だな」
「フラグ立て乙」
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