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触れてしまうと、消えてしまう呪いに掛かっている。
直接触れられないため、お互い手袋をしている。
不意に触れてしまったも、大丈夫なように普段から長袖長ズボンでいる。
抱きしめる時は、顔を胸に埋めるように。
顔と顔が触れてしまったら、消えてしまうから。

「ん……」
「ハァ……」

今にも触れそうな距離にいるのに、遠く感じる。
あと三センチが遠くて、愛おしくて、切なくて。
僕の吐息が君の唇を撫でる。
君の吐息が僕の唇を撫でる。
触れたい。
愛したい。
愛撫したい。
今すぐにでも、触れてしまいたい。

「ハァ、ハァ……」
「ん……、ハァ……」

息を飲む音すら聞こえる距離で、僕たちはキスをしない。








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