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HQ!!



雲一つない星が輝く夜空。
部活動を終えたバレー部のメンバーは、着替えを済ませ、散り散りになっていた。
そんな中、校門の前で谷地が立ち止まって、空を見上げていた。

「谷地さーん!」
「あ、日向、影山くん!」
「ウッス」
「何してるの? 帰らないの?」
「今ね、流れ星が見えたの! だから、お願い事しようかなーって」
「3回唱えるといいんだよな!」
「そうなのか!?」
「そんなことも、知らないのかよ、影山くんはー」
「うっせ、日向ボケェ!」
「け、喧嘩しないでー……、あ! 流れたよ!」
「え、どこどこ!?」
「もう見えないや……、あ、また! あそこ!」

谷地が指差す方を日向、影山、そして近くを通った山口、月島も立ち止まって見上げた。
流星群の予報は出ていないが、今日はよく流れ星が見える空だった。

「谷地さんは、なんてお願い事するの?」
「わ、私!?」
「おう!」
「……私は……。いつかまた宮城県代表を決める決勝の試合にみんなが出て、そこでみんなとハイタッチすることであります!」
「ハイタッチ?」
「うん! 試合前にスターティングメンバーが名前を呼ばれてコートに入るでしょ? その時、マネージャーの清水先輩と烏養コーチと武田先生とハイタッチしてたのを、2階の観客席から見た時、『私もみんなとハイタッチしたいな』って思って」

照れながら、しかしとても羨ましそうに自分の両手を見る谷地。

「あ、でも、それはたくさんある中の一つで、まずは全国優勝出来ますように! だよ!」
「来年」
「え?」
「来年は清水先輩も卒業しちゃう。そしたら、谷地さんがマネージャーで、あの場所に立つんだ」
「あ……。で、でも、私なんかが、マネージャーとしてあそこに立っていいのか」
「いいんだよ! 俺らのマネージャーは谷地さんなんだから!」
「日向……」
「俺らが連れて行きます。谷地さんを、決勝のコートに」
「影山くん……」
「うん!」

飛び切りの花が、谷地の顔に咲く。

「一つ目標出来ちゃったね」
「え、あぁ、そうだね、ツッキー!」
「全く。あんなこと聞かなきゃ良かった」
「ツッキーは優しいなぁ」
「黙れ山口」
「えぇー、酷いよー」


──2年後、宮城県代表決定戦。
今、一つの願いが叶う時。
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