黄薔薇!
禁ヴァンは黒と黄が主人公ちゃんの姿を想像しやすい!
↓漫画用にネタだししたものを小説っぽくしました♪ 絵が描けなくて……
「私、次の名前はフレデリカがいいと思うの」
「却下だ。お前は俺と双子にでもなりたいのか?」
目の前の吸血鬼に血を吸われて永遠の命を得た彼女は、至って無邪気に声を弾ませる。速攻でアイデアを無下にされたというのになんとも気丈らしい。呆れ顔を作る彼だって、その明るさを買っている節があった。
「それって素敵ね。双子のダンサーなんて、まるで御伽噺みたいじゃない!」
「そうでもないぞ。いつだったか昔、双子にダンスを一度教えたことがある。でも上の方は良かったんだが下は物覚えが悪くてな。最後は仲違いしていたよ」
説明を受けた少女は今度は不満げにむっとした顔を作った。
「また別の人の話だわ」
「なんだ、前に俺が教えたダンサーの話をしたら、きらきらした目付きで興味深そうに聞いていただろう」
「あの時とは違うもの。気が付いていないのかもしれないけれど、私は貴方のことを好きなのよ? 生徒の話をされるのなんて、浮気自慢を聞いているようなものだわ」
気が付いていないかもしれないけど、ともう一度。釘を刺すように付け加えた。フリードリヒは「生意気を」と言い、皮肉顔が似合う顔の口角を歪め、おまけに鼻まで鳴らしてから言葉を続ける。
「今はお前だけだ……とでも言えば満足するのか?」
「でも、未来のプリンシパルが失われるのは惜しいのよね」
「我儘なお姫様だ。ああ、そういえば最近はお前に構ってばかりで、アカデミーに送る生徒を育てることも忘れていた」
「ふふ、最近って、もう30年にもなるわよ?」
「別にいいさ。俺は最高の、俺だけのプリマドンナを手に入れたからな。と、断言したいところだが……また他所で踊ってきただろう」
ぎくり。フリードリヒは、しまったというように目を逸らす彼女の前に出て、自慢にするには賞賛を聞き飽いたオッド・アイを細めた。
「吸血鬼を、この俺を騙せると思っているのか」
少女は、街に降りて最近出来た劇団に混ざってソワレに出ていた。もちろん小さな劇場で。あまり伝統のあるところで踊ってしまっては、古手の人間に騒がれるかもしれない。なんせ何十年も姿が変わっていないのだ。メイクで誤魔化すのもいいが、もうどこでどんな姿を見せていたか忘れてしまった。
「で、でも、パ・パ・ドゥを踊るのは貴方とだけだよ」
「当たり前だ。他の男に腰に手を添えられでもしてみろ。そいつの腕を切り落とす」
そう言って男は人差し指で自分の首を切るような仕草をする。初めて会った時の恐ろしさを、たまに忘れそうになる。実際、その眼光を気にも留めない様子で少女は笑顔を見せた。
「大丈夫よ。そんなお転婆な真似はしない」
「……トゥシューズを投げつけてきたこと、俺は忘れていないからな」
そう言われた途端、過去のことを恥じるように顔を赤らめた。
「悪かったわよ! これでも、淑やかでありなさいと言われて育ったのよ?」
「お前はなかなか気が強い。それにその踊りへの熱情は「ポルカよりボレロが好きだし」おい、褒めてやろうとしているのに言葉を被せてくるな」
↓漫画用にネタだししたものを小説っぽくしました♪ 絵が描けなくて……
「私、次の名前はフレデリカがいいと思うの」
「却下だ。お前は俺と双子にでもなりたいのか?」
目の前の吸血鬼に血を吸われて永遠の命を得た彼女は、至って無邪気に声を弾ませる。速攻でアイデアを無下にされたというのになんとも気丈らしい。呆れ顔を作る彼だって、その明るさを買っている節があった。
「それって素敵ね。双子のダンサーなんて、まるで御伽噺みたいじゃない!」
「そうでもないぞ。いつだったか昔、双子にダンスを一度教えたことがある。でも上の方は良かったんだが下は物覚えが悪くてな。最後は仲違いしていたよ」
説明を受けた少女は今度は不満げにむっとした顔を作った。
「また別の人の話だわ」
「なんだ、前に俺が教えたダンサーの話をしたら、きらきらした目付きで興味深そうに聞いていただろう」
「あの時とは違うもの。気が付いていないのかもしれないけれど、私は貴方のことを好きなのよ? 生徒の話をされるのなんて、浮気自慢を聞いているようなものだわ」
気が付いていないかもしれないけど、ともう一度。釘を刺すように付け加えた。フリードリヒは「生意気を」と言い、皮肉顔が似合う顔の口角を歪め、おまけに鼻まで鳴らしてから言葉を続ける。
「今はお前だけだ……とでも言えば満足するのか?」
「でも、未来のプリンシパルが失われるのは惜しいのよね」
「我儘なお姫様だ。ああ、そういえば最近はお前に構ってばかりで、アカデミーに送る生徒を育てることも忘れていた」
「ふふ、最近って、もう30年にもなるわよ?」
「別にいいさ。俺は最高の、俺だけのプリマドンナを手に入れたからな。と、断言したいところだが……また他所で踊ってきただろう」
ぎくり。フリードリヒは、しまったというように目を逸らす彼女の前に出て、自慢にするには賞賛を聞き飽いたオッド・アイを細めた。
「吸血鬼を、この俺を騙せると思っているのか」
少女は、街に降りて最近出来た劇団に混ざってソワレに出ていた。もちろん小さな劇場で。あまり伝統のあるところで踊ってしまっては、古手の人間に騒がれるかもしれない。なんせ何十年も姿が変わっていないのだ。メイクで誤魔化すのもいいが、もうどこでどんな姿を見せていたか忘れてしまった。
「で、でも、パ・パ・ドゥを踊るのは貴方とだけだよ」
「当たり前だ。他の男に腰に手を添えられでもしてみろ。そいつの腕を切り落とす」
そう言って男は人差し指で自分の首を切るような仕草をする。初めて会った時の恐ろしさを、たまに忘れそうになる。実際、その眼光を気にも留めない様子で少女は笑顔を見せた。
「大丈夫よ。そんなお転婆な真似はしない」
「……トゥシューズを投げつけてきたこと、俺は忘れていないからな」
そう言われた途端、過去のことを恥じるように顔を赤らめた。
「悪かったわよ! これでも、淑やかでありなさいと言われて育ったのよ?」
「お前はなかなか気が強い。それにその踊りへの熱情は「ポルカよりボレロが好きだし」おい、褒めてやろうとしているのに言葉を被せてくるな」