第一章
柳原学園、中等部。
柳原学園は中高一貫全寮制の男子校で、家が金持ちな人間が通うお坊ちゃま学校。
様々な期待や目標を持って、生徒たちは入学式を迎えていた。
大手企業の御曹司、容姿端麗というだけで黄色い声を上げられる新入生もいれば。
それに噛み付く新入生もいる。
それを上品な雰囲気で困惑した表情を浮かべる新入生もいれば。
横目でそれを眺め、お菓子を食べながら横を通り抜ける新入生もいる。
そんな喧騒そっちのけで剣道部部活紹介の貼り紙を無表情で眺める新入生もいれば。
それら全てを馬鹿にしたように眺め、遠回りして校舎に入って行く新入生もいる。
そして。
ある新入生は誰にも気にされず、ただの新入生としてクラスに溶け込み。
しかし空気のように気配を消し。
良くも悪くも目立たず、寮に戻り。
同室者が寝静まった頃。
その新入生は、入学式前日に購入した、"黒髪のカツラ"を脱ぎ捨て。
その下から現れた金色を隠すように黒のパーカーを着込んだ。
そして公然の秘密となっている抜け穴から外へ繰り出し、街へ飛び出て。
「ぃってーなぁ、どこ見てんだテメェ!」
肩がぶつかった青年は、盛大に顔を歪めながら威圧する。
その新入生は一拍止まった後。
目にも留まらぬ速さで、青年を蹴り飛ばした。
その青年の取り巻きである他の不良たちは呆然とした後、怒号を飛び交わせる。
彼は、文武両道、秀才であり。
"この方面"においても、才能があった。
「…なぁ頼むから、俺の発散に付き合ってくれ」
その声がかき消される怒号の中。
彼は軽やかに舞い、次々と不良たちを殲滅していった。
この夜から、街の族が次々と潰されることとなる。
彼を目撃した者達が、まことしやかに囁き出した。
黒のパーカー、そこから見える、金色の髪。
その舞う姿は、まるで。
黒アゲハ蝶のようであると。
◇◆◇第一章<羽化>完◇◆◇
柳原学園は中高一貫全寮制の男子校で、家が金持ちな人間が通うお坊ちゃま学校。
様々な期待や目標を持って、生徒たちは入学式を迎えていた。
大手企業の御曹司、容姿端麗というだけで黄色い声を上げられる新入生もいれば。
それに噛み付く新入生もいる。
それを上品な雰囲気で困惑した表情を浮かべる新入生もいれば。
横目でそれを眺め、お菓子を食べながら横を通り抜ける新入生もいる。
そんな喧騒そっちのけで剣道部部活紹介の貼り紙を無表情で眺める新入生もいれば。
それら全てを馬鹿にしたように眺め、遠回りして校舎に入って行く新入生もいる。
そして。
ある新入生は誰にも気にされず、ただの新入生としてクラスに溶け込み。
しかし空気のように気配を消し。
良くも悪くも目立たず、寮に戻り。
同室者が寝静まった頃。
その新入生は、入学式前日に購入した、"黒髪のカツラ"を脱ぎ捨て。
その下から現れた金色を隠すように黒のパーカーを着込んだ。
そして公然の秘密となっている抜け穴から外へ繰り出し、街へ飛び出て。
「ぃってーなぁ、どこ見てんだテメェ!」
肩がぶつかった青年は、盛大に顔を歪めながら威圧する。
その新入生は一拍止まった後。
目にも留まらぬ速さで、青年を蹴り飛ばした。
その青年の取り巻きである他の不良たちは呆然とした後、怒号を飛び交わせる。
彼は、文武両道、秀才であり。
"この方面"においても、才能があった。
「…なぁ頼むから、俺の発散に付き合ってくれ」
その声がかき消される怒号の中。
彼は軽やかに舞い、次々と不良たちを殲滅していった。
この夜から、街の族が次々と潰されることとなる。
彼を目撃した者達が、まことしやかに囁き出した。
黒のパーカー、そこから見える、金色の髪。
その舞う姿は、まるで。
黒アゲハ蝶のようであると。
◇◆◇第一章<羽化>完◇◆◇