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第二章


「じゃあ、鬼ごっこにしてやるよ」
「マジで!? よっしゃー!!」


綾部、想像以上に喜んでる…何か鬼ごっこに思い入れでもあるんだろうか。
俺の決定を受けて、各々が口を開く。


「鬼ごっこですか。それならあまり準備もいらなさそうですね」
「オリジナルルールとか決めなきゃだろうけどね~」
「鬼は希望制かつ風紀がそこから選ぶから。竜二派じゃない危ないヤツとかに鬼はやらせられないしさ。鬼と逃げる生徒の区別は腕にバンド巻かせるとかが良いと思う。で、捕まえられたらそのバンドを鬼に渡して、時間が来たらその数を集計。それからそれからー…」
「何か随分と具体的ですね。わざわざ考えてきたんですか? 生徒会でもないクセに」
「俺が考えたわけじゃねーのよ、これが。いやぁ、でもまさかリアルで男子校での鬼ごっこが経験出来るなんて…うはー、マジでキ、タ、コ、レ!!」
「だと思ったぜ…。お前がまともな案出すとは思ってなかったからな」
「ソッチ系の話ですか、成る程」
「へぇ~、そんなお話もあるんだねぇ」
「副委員長の思惑通り、ということになりますね」
「……の、ようだな」


ヤバい。
さっきから話に付いて行けてないぞ。
俺だけか。
俺だけなのか。
ちくしょう、皆俺をハブりやがって…!
別に疎外感とかないけどさ!!
もうちゃっちゃと企画書完成させてやる!!
智也に貰ったプリントの企画内容の欄に、『鬼ごっこ』と記入する。


「企画書は明日までに完成させる。それから風紀に回して警備関係を…」
「俺、ユーリ会長が書く時一緒にいるよ。俺の方が新歓の鬼ごっこに詳しいだろうしさ。ついでに警備関係も決めちゃおうよ。な、竜二」
「テメェは日頃不真面目なクセに、こういうことだけには積極的になりやがって。この下半身バカが」
「俺は欲に忠実なだけだってばー。何、竜二やらないわけ? 俺が配置とか決めちゃって良いんだ?」
「チッ。副委員長だけにやらせられるわけねぇだろーが」
「はい決定ー。風紀には残念ながら授業免除の権利はないから、授業中には来れない…こともないけど」
「サボんじゃねーぞ。クソ風紀の分際で」
「うん、だから放課後にまた来るから、俺がさっき言ったことまとめといてよ、ユーリ会長。バンドとかお願いとかさ」


さっきから綾部にばっかり頼ってる気がする。
でも何かプロっぽい雰囲気醸し出してんだもん。
御子柴だって口出しあんまりしてないし。
若干呆れというか諦めみたいな表情浮かべてるけど。

キーンコーン
カーンコーン…


「あっヤベ、予鈴だ。じゃあまた放課後にねー、生徒会の皆さん」
「ちゃんとやれよ、バ会長」
「黙れクソ風紀一号」


御子柴は中指を立て、俺は親指を下に向けてお見送り。
いやもう下品っつーか、ガラ悪いのは分かってるんだけど、御子柴と俺はこーゆー感じになっちゃったんだもん、仕方ない。
でもさ、アイツいっつも『バ会長』って呼んでくるんだぞ?
俊太も時々そう呼ぶけど、通常は松村会長、だし。
だから『俺様』な俺も御子柴の名前は呼んでやんねーの。
中学の時でさえお互い、オイだのテメェだのだったからな。
今更呼ぶとか、何か…恥ずかしいし。


「小学生じゃないんですから、そういうの止めて下さいよ。俺らも同類とか思われるじゃないですか」
「うっせぇ黙れ。アイツが突っかかってくんだから、しょうがねぇだろうが」
「悠里、企画書の続きしますよね。紅茶淹れましょうか?」
「あぁ」
「智ちゃん僕も~」
「はい。俊太と桃矢はどうします?」
「飲みます」
「……頼む」
「はい、分かりました」


智也の淹れる紅茶は、スッゴく美味しいから好きなんだ。
素に戻りそうなくらい、ホッとする。
よし、回復アイテムもゲットしたし、新歓企画を進めましょうか!!

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