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一ヶ月目

 彼は私が勧めるままにワインボトルを一本空け、調子を良くしたのかワイングラスを片手に持ったまま奥の棚にあるウイスキーを所持ってくるよう声を張り上げ、私が困った人だというふうに眉を下げて立ち上がると、彼は子供がふざけてそうするようにことさらお行儀悪く振る舞ってソファーに横になり肘掛けに足を乗せる始末で、私は一応咎めはしたが、彼がそれほどまでに酔っているのをみて笑みを浮かべずにはいられず、彼はそれを許しと受け取ったのか、酔いの回った人間特有の変なイントネーションで、私が勧めてばかりでちっとも飲んでいないことを非難し、それから大きなげっぷを一つしてみせ、私が明日も仕事だからと出任せを言っても、彼はもはやその言葉を検討する余地がないとみえ、ワーカー、ホリック!と呟いて笑い声を上げ私も調子に合わせて笑い、その笑い声が引いていくと彼の目はいよいよぼんやりとしてきて、ウイスキーのロックを持って行く頃には彼が大きな鼾をかいて眠っているのが見え、私はそのまま彼を起こすこと無く、片手に持ったままのウイスキーに口をつけつつその様子を眺め、彼の最後の言葉がワーカーホリックになったことについて考え、あまりぼんやりしている時間はないと思い直し、ソファーに置きっぱなしになっていたネクタイを手に取り、眠っている彼の横に立ち、彼がソファーの上で嘘偽りなく鼾をかき、涎を垂らしていることを確認すると、掌の中のネクタイを眺め、布地が手汗でべたつくのを不快に思い、一瞬、凶器を変えようかと思案したものの、彼を手にかける喜びに比べれば些細なことだと、彼の上へ慎重に跨がり、それを彼の首にひと巻きして、交差させ、そのまま思いっきり左右に引っ張って絞めた。
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