第24話
夢小説設定
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ショーが終わると、持っていたハンドタオルで服と髪を拭きながら歩いていた。
『お腹すいた』
ご飯はどうするか、と五条に問われる。
水族館の中のレストランは、水槽が真横にあり魚を見ながら食べられるらしいから行ってみたいと答えた。
レストランに着くと、平日ということもあり空いていた。
『ここがいいな』
魚がよく見える席を取り、メニューを見る。
食べるものを決めて店員に伝えると、水槽を眺める。
『ふふっ、可愛い。ハリセンボンかな?フグかな?』
幼いときのように目を輝かせ、近くに来た魚とにらめっこしている名前。
五条はそんな名前を優しい眼差しで見ていた。
『悟は魚にも嫌われるの?』
よく見ると五条の方には全く魚がおらず、名前の方に集まっていた。
悟「名前を餌だと思ってるんじゃないの?」
『えー、違うよねー』
指で水槽を叩くとそちらに寄っていく魚。
悟「(え、僕、魚に嫉妬してる?)」
『おいでー、ふふっ』
悟「・・・・」
「お待たせしましたー」
五条が嫉妬から名前にちょっかいをかけようとした瞬間、タイミング良く料理が運ばれてきた。
『わぁ、美味しそう!』
名前の視線が魚から料理に向いたことで五条の気持ちも落ち着いた。
名前の目の前にはビーフシチューオムライス、五条の前にはカレー。
『んー、美味しい!悟、お肉1つ食べて、美味しいから!オムライスも良いよ』
悟「ん?いいの?」
名前は笑顔で答え、スプーンにオムライスと肉を乗せる。そして五条の口元へ。
『はい』
悟「・・・無意識?」
『え?』
悟「ううん、いただきます」
五条に食べさせてあげる名前。所謂「あーん」状態だ。
悟「(きっと魚は名前に“あーん”なんてしてもらえないだろうね)」
『お魚さんもどうぞー』
近くにいた魚に食べさせる真似をして遊んでいる名前を見て落ち込む。
悟「名前、はい、カレーあげる」
『ん?ありがと!』
五条が名前同様「あーん」でカレーを渡すと、名前は何の意識もせずパクリと食べた。
名前の横にいた魚には睨みをきかせておいた。目は全く合っていないが。
『あー、お腹いっぱい』
食事を終え、水族館を出た。
午後は、次の任務の場所に向かいながら歩くことにした。
商店街を歩いていると、
「すみません」
優しそうな初老の女性が声をかけてきた。
『はい?』
「そこの綺麗なおふた方、少し時間ありますか?」
五条と名前は顔を見合わせたあと、任務まで時間があるから大丈夫だと答えた。
女性は、商店街にある写真屋を営んでいて、店頭に飾る写真のモデルになってくれる人を探しているということだった。
「あなたたちのような綺麗な方たちの写真を店の前に飾らせていただけませんか?
もちろんお代は頂きませんし、写真もたくさん差し上げます」
『どうする?あまり目立っちゃだめだよね、悟』
呪詛師に狙われやすい五条や名前が手配書のように顔を出してしまうのはどうなのかと考えた。
悟「うーん、まぁ、良いんじゃない?高専とか家から遠いし」
特に気にしていない様子の五条。
写真屋の女性は前向きに考えてくれていそうな2人を目を輝かせて見ていた。
『じゃあ、良いですよ』
「良いんですか!?ありがとうございます!」
早速店に行きましょう、と先陣を切られ苦笑いしながらついていく。
写真屋に着くと、中に通されソファに座って少し聞き取りがあった。
「お二人は兄妹か何か?」
悟「恋人です」
「あらそうなの?こちらの女の子がお若いから兄妹なのかと・・・素敵な恋かしら?」
急にフランクな感じに話し始める女性。嫌味な感じではなく、ワクワク恋バナをするかのように聞いてくると少し照れくさくなってくる。
『私が小さいときから一緒なんです』
「あら、良いじゃない。近所のお兄さんみたいな感じ?」
『・・・それよりもっと、濃いかもしれないです』
「そうなのね、じゃあ後は撮影しながら聞いていこうかしら。照れ笑いの写真も可愛らしくなるからね」
そう話すと、撮影のための部屋に通される。
綺麗な白い壁に囲まれていた。
「じゃあ、まずは無難に横並びで撮りましょうか。あ、彼氏さんサングラスは取ってね」
肩を並べ、2人でカメラを見る。
悟「変顔したら?」
『やだよ』
「良いわねぇ、仲良しね」
写真をパシャパシャ撮られる。しかし、やはり面白みに欠けるということで他のポーズを取ることに。
「身長差凄いわよね。じゃあ、彼氏さんが彼女さんの後ろに立ってお互いに見つめ合えるかしら」
『わぁ、恥ずかしい』
悟「僕はいくらでも見てられるよ」
「彼氏さんは彼女さんにゾッコンなのね」
悟「こんな可愛い彼女、ゾッコンにならないわけないでしょ」
ストレートに話す五条に顔を赤くする。
その顔素敵よ、と女性に言われるとさらに恥ずかしくなってくる。
「じゃあその照れた顔のまま向き合っちゃいましょうか」
『待って、待って』
悟「待たない。可愛い顔もっと見せて」
「イチャイチャしちゃってまぁ」
五条は女性にうまく乗せられている。
女性はキュンキュンしながら写真を撮っている。
「彼女さんは彼氏さんのどこが好き?」
『えー、えぇ?』
「ほらー、彼氏さんは愛を伝えてくれたでしょ?」
戸惑う名前に、女性は楽しそうに言う。
五条も期待した顔で見ていたため恥ずかしく思いながらも小さく答えた。
『・・・・・優しくて、強くて・・・』
今日はなぜこんなに恋人感が強めなんだ、と思うが、普通の人の恋愛はきっとこうなのだろうなと感じた。
『そっか・・・』
悟「?」
呪術師が特別。
さらにその特別な呪術師の中でも、より特別として生まれた五条悟と、生きる中で特別になってしまった苗字名前。
いつどうなるかわからない。普通じゃないから。
だから、今、一瞬を大切にしなきゃ。
『全部、全部大好きっ』
とびきりの笑顔で五条に向け話す。
五条は一瞬目を見開くが、フッと笑い返す。
悟「僕も全部大好きさ」
2人でギュッと抱き合う。
写真に撮られていることも忘れるほど幸せな時間だった。