第22話
夢小説設定
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ーーー
高専の迎えの車が来る。
全員で帰れるようにということなのか、ワゴン車で来ていた。
呪力を練れないよう拘束した峰を囲み、静かに車に揺られていた。
『じゃあ、伊地知さん、お願いね』
高専の敷地内に入ると、峰を伊地知に託し、学生たちは各担任に無事を伝えに行くことにした。
『日下部せんせー、寝てます?』
ソファのある部屋で寝そべっていた日下部。
声をかけると、ゆっくり目を開け名前と狗巻を見る。
日「おぉ、大丈夫だったか?」
『はい、なんとか。戦闘もありませんでしたし』
日下部は、報告書は明日で良いから今日は休めと言っていた。
校舎を出ると、ばったり釘崎、伏黒と会った。
野「あ!名前さん!!狗巻先輩!!これからご飯行きません?
お腹が空いて仕方ないです!」
釘崎たちはあまりご飯を食べられていなかったようだ。
こんな遅くに寮に食事は用意されていない。
『良いよ、ファミレスでも行こっか』
4人は高専の敷地を出、ファミレスへ向かった。
ファミレスに到着すると、釘崎と伏黒は食事系のメニューを、名前と狗巻はデザートを頼んで待っていた。
野「お腹空いたー」
『いっぱい食べな、私たちは食べたからさ』
恵「名前さんたちどうやってあの女の懐に入ったんですか?」
釘崎と伏黒が、前の席に座る名前と狗巻を不思議そうに見ながら話す。
わざと怪我をしたことや中学生くらいの少し可哀想な兄妹を装ったこと、そして
『なにより、愛想良く“ヨイショ”したね』
棘「高菜」
と伝えると、釘崎に衝撃が走った。
野「それだ、私たちに無かったのは」
恵「まぁ、無理だな」
2人はいきなり峰にケンカを売ったらしい。
そして村人全員に取り押さえられたと。
『・・・君たちは術式とか戦闘以外の作戦もしっかり考えられるようになると良いね』
恵「っす」
野「それにしても、名前さんのモテ体質もヤバくないですか?」
『?』
棘「しゃけしゃけ」
狗巻はその話は釘崎に同意している。
峰に襲われている時のことを話しているのだろう。
『いやあれは、峰にあんな趣味があるなんて流石に考えてなかったからだもん』
恵「年上からの好かれ具合、昔から凄いですもんね」
伏黒と名前は高専入学前からの知り合いで、13、14歳くらいの時には一緒に五条の任務についていったりもしていた。
その時にはすでにモテ体質は顕在だった。
老若男女問わず、まずは名前に話しかける。
特に年上の男。
ぶっきらぼうな伏黒、見た目が胡散臭い五条、そして名前だったら圧倒的に名前が話しかけやすいだろう。
そして話しているうちに知らぬ間に言い寄られ、五条と伏黒が睨みを利かせるというのがルーティンと化していた。
野「だとしてもですよ」
そんな話をしていると、料理が運ばれてきた。
釘崎はとても空腹だったのか、スパゲッティやピザに勢い良く食いついていた。
『よく食べるんだね、野薔薇ちゃん。
美味しそうに食べる人素敵だよね』
野「!!?」
頬杖をつき、にこやかに釘崎に話しかける名前。
釘崎は衝撃でスパゲッティを喉に詰まらせそうになっていた。
恵「だから、そういう所なんですって」
『?』
ただ思ったことを話しただけなのに、と首をかしげる名前に、3人はため息をついた。
「お待たせしました、チョコバナナパフェとイチゴのケーキです」
そこへ狗巻と名前が頼んだデザートが届いた。
『わぁ、美味しそー!ねぇ棘くん、ちょっと頂戴。できれば半分こ!』
棘「しゃけ、ツナマヨ」
2人で仲良く分け合っているのを見て、釘崎と伏黒は自分たちの料理と相手の顔とを交互に見た。
野「・・・・・・あんたとはできないわ。たとえ来年になっても」
釘崎の一言でカチンと頭に青筋を浮かべる伏黒だった。
そうして楽しい夜は更けていった。
ーーー
『やっぱり死刑、ですか』
夜「ああ・・・何人も自分のために一般人を手にかけていたって言ってたからな」
翌日、夜蛾に呼び出され峰がどのような罰を受けるのか聞いた。
非術師を騙し、殺人を繰り返してきたのだ。仕方ないとは思っていた。
『・・・生き難さを感じてる呪力や術式を持った人も、救ってあげたいですね』
夜「そうだな、あの、峰とか言ったか?
ヤツは最期に“名前にありがとうと言っておいて欲しい”と言ったそうだ」
『心は、救えたんでしょうかね』
呪術師は現在進行形で辛いこともあるし、昔辛い経験をした人も多い。ただ、高専にいれば辛さを共有できる仲間がいる。
呪詛師になる、呪術を自分の私利私欲のために使ってしまう人は、誰にも辛さを共有できず何か心にやむを得ない事情があると思っていた。
夜「その優しすぎる性格に付け込まれないようにな」
『大丈夫ですよ。私の信念は、昔から変わらず“五条を信じる”です。
悟がおかしいことを仕出かさない限りそれは心配いらないと思います』
夜「ふっ、お前らしいな」
おわり