第22話
夢小説設定
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名前のピンチの30分前
狗巻は、峰と名前の気配が遠ざかっていくのを感じるとそっと部屋を抜け出した。
向かうところは例の地下。 地下へ繋がる道には見張りはいなかったため、慎重に階段を降りる。
階段を降りると広い空間に出た。
埃っぽく、じめじめしている。
広い空間の奥には扉があり、そこには見張りらしき男が2人いた。
棘「“眠れ”」
ドサドサッ
名前と作戦を立てていた時に、村人は峰の力を信じて従っている非術師であると話が出た。
そのためむやみやたらに怪我をさせたりはしたくないと、基本的に眠らせて対処しようと話していた。
「なんだ?」
扉の奥から声がする。倒れる物音が聞こえ不審に思ったようだ。
耳を澄ませていると、知っている声も響いてきた。
「馬鹿な村人たちがケンカしてんじゃない?」
釘崎の声だった。
いつも通り人を馬鹿にするような煽るような言葉を発する釘崎に、狗巻はため息をついた。
「ちょっと待ってろ、見てくる」
棘「!!」
中にいた村人がこちらへ向かってくる気配がし、焦る狗巻。
ガチャ
棘「“眠れ”」
扉を開く音がしたため咄嗟に呪言を出す。
すると
ドサ
ドサ
ドサ
棘「・・・・・・」
倒れる音が数人分聞こえ、やってしまったかとそーっと扉の奥を見ると
野「すーすー」
恵「・・・・すー・・・」
棘「・・・・」
やってしまっていた。
釘崎と伏黒も寝ていた。
2人はそれぞれ牢のような場所に入れられていた。
牢には呪印のようなものが施され、呪力が練れないようになっていたのだろう。
寝ている村人の誰かが鍵を持っているのかと服を漁っていく。
棘「・・・こんぶ」
あった。1人の村人が鍵をまとめて持っていた。
狗巻は様々な鍵を試し、釘崎と伏黒の牢を開けることに成功した。
棘「“起きろ”」
狗巻は、釘崎と伏黒にコソッと語りかけ起こしていく。
恵「ん・・・?狗巻先輩・・・?」
先に起きた伏黒に向かって静かに、というポーズをとる。釘崎にも同じように。
恵「先輩、ありがとうございます。1人ですか?」
棘「おかか、高菜」
恵「名前さんも来てるんですね」
狗巻はおにぎりの語彙とジェスチャーで、名前が今敵を引き付けているところだと伝えた。
野「あの厚化粧女、こんなところにうら若き乙女を閉じ込めて・・・赦さん!」
牢を出ると、呪力が使えるようになったため、早速伏黒は術式を出した。
恵「“玉犬”」
玉犬に名前の場所を突き止めるように伝えた。村人がいる場合にはそれも。
幸い家の中にはもう村人の影は見えず、とある部屋の前まで来て玉犬が止まった。
恵「ここですね」
棘「しゃけ」
伏黒は玉犬をワシャワシャ誉めながら次の指示を出した。
恵「名前さんが俺たちに気づけるよう吠えろ」
アオォオオオン!!
ーーー
峰「!?何?野犬?」
『(この鳴き方は恵くんの玉犬!近くには棘くんもいるかな)
残念、もうちょっとでイケナイことできたんですけどね』
峰は名前の雰囲気の違いに驚く。
『恵くん!!』
声を張り上げると、バンッと扉が開き見える複数の人影。
棘「“動くな”」
ガチッ
峰「!?」
峰の身体が固まる。
名前は呪言が来ると予想し、予め呪力で耳と頭を守っていた。
そこに入ってくる釘崎、伏黒、狗巻。
「「「!??」」」
3人もピシ・・・と固まった。
ソファには、峰に押し倒され、服を乱されている名前。
『ごめん、引っこ抜いてくれる?出れない』
峰が名前をホールドしたまま固まっているため、出られない。
野「男どもは見るんじゃない!!」
釘崎の剣幕に、狗巻も伏黒も咄嗟に後ろを向く。
釘崎は名前を引き抜き、無事ソファから脱出することができた。
そして動き出す峰。
峰からは呪力が立ち上っていた。
警戒しながら話す名前。
ネックレスを取り、玄武を出しておく。
峰「そう・・・名前ちゃんも棘くんもそっち側だったのね」
『騙してごめんなさい、でも、峰さんがしてきたことは見逃せません。高専で拘束させてもらいます』
峰「ふふ、そうね。良いわ、観念する。4人も相手なんてできる力じゃないしね」
峰はお手上げのポーズをして小さく笑った。
名前は、服のボタンを留めながら、峰がどんな術式を持っているのか聞いた。
峰「相手の血を取り込んで自分の力にするの。細胞単位で変わるから若返りとかもできる」
『・・・だから”血“を浴びるって・・・』
その話を聞き、釘崎ら3人は眉間にシワを寄せる。
峰「受け入れられたかったのよ。
だからこの辺鄙な山奥に来て、呪力で治癒をして神の力だと崇められたのが嬉しくてさ」
辛い人生を歩んできたのだろうか。
寂しそうに話をする峰の顔を見てそう思った。
峰「名前ちゃんが私に治癒されて喜んでたとき、とても嬉しかったのになー・・・。演技だったなんて」
『・・・残念です。
峰さんが使っていたのは反転術式って言って、普通だったらその力を持ってるだけで喜ばれます。
早く、出会ってたら良かったのに・・・』
こんなことをする前に高専関係者に出会っていたらきっともっと受け入れられ、人生が変わっていたかもしれない。
苦虫を噛み潰したような顔で見つめる名前。
峰「優しいのは素なのね」
『・・・結界を解いてください、高専に連絡させていただきます』
名前がそう言うと峰は結界を解いた。
釘崎に結界の外まで行ってもらい、伊地知に報告することにした。
『多分一時間もあれば車が到着すると思います』
峰「そう・・・。村の人には、私のしたこと全て教えてあげて」