第21話
夢小説設定
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『結界・・・』
少し歩くと、薄くて見えにくいが結界が張られていたのがわかった。
呪力のある者を拒むのであれば、弾かれるはず。
名前は結界に手を伸ばした。
バチッ
手が弾かれる。
名前と狗巻は目を合わせて頷いた後、作戦を開始した。
『誰か!誰かいませんか!?』
大きな声で村に向かって叫んだ。
時刻はもう17時。日が暮れかけていた。さすがに助けを求める声がしたら出てくるだろう。
『誰かっ、助けてくださいっ』
「こんな時間にどうしたんだい・・・って、怪我してるじゃないか!?」
想定通り、村人が出てきた。優しそうな印象の老人だった。
『迷子になっちゃって・・・歩いてたら滑って転んで・・・どうしたら良いかわかんなくて』
泣きそうな声を出しながら訴える名前。
「それは大変だ。君たちは兄妹かい?お父さんお母さんは?」
『お父さんも、お母さんも遠くにいるの・・・お兄ちゃんは昔から声出せないし・・・だから、助けてほしくて』
狗巻は、声を出せない設定にした。さすがにおにぎりの具だけの語彙は一般人としては特異すぎる。
『お家が見えたから、行こうとしたら、バチってなって・・・』
結界に阻まれたことを伝えた。
勿論結界だとはわからない振りをして、何故か入れなかったと話す。
老人は少し驚いた顔をした後2人に話しかけた。
「君たちは“神力”があるのかい?」
棘「?」
『・・・じんりょく?』
“呪力”ではなく“神力”。聞いたことがない。
不思議そうに首をかしげていると、老人は分かりやすく説明する。
「君たちは人ではないものは見える?」
『(呪霊のことかな?)
・・・はい、見えます』
狗巻も小さく頷いた。
老人は、ちょっと待っていてくれと言って村の奥まで戻っていった。
『・・・呪力のことを“神力”だって。信仰か何かかもしれないね』
棘「すじこ」
2人で待っていると、奥から先ほどの老人と着物を着たキレイな女性が現れる。
『・・・えっと・・・?』
女性「こんばんは。大丈夫?怪我したって聞いたわ」
物腰が柔らかい話し方、優しい笑みで名前に声をかける。
『転んじゃって・・・』
脚の怪我を見せると、顔を歪めて「痛かったわね」と名前の頭を撫でながら話す。
女性「私の家で治療してあげるわ、行きましょう?お兄ちゃんも良いかしら」
棘「(コクン)」
『でも、ここで、バチって・・・』
女性「ああ、私と手を繋いでたら大丈夫よ」
女性は名前の手を取り、脚の心配をしながら歩いていく。
『お兄ちゃん』
狗巻に手を伸ばし、手を繋ぐ。
すると名前も狗巻も結界の中に入ることができた。
キョロキョロと不安そうな顔をしながら、村の状況を見る。釘崎や伏黒はどこにいるのだろうか。
女性は“峰”と言うらしい。
「峰姫様、姫様のお屋敷で大丈夫なのですか?」
峰「ええ。何名か村の者を集めてちょうだい」
静かに話をする峰と老人の会話を不審に思いながらついていく。
着いた先は、大きな屋敷だった。
『わぁ、すごいです・・・』
目を輝かせながら見る。
まぁ、五条家の方が大きいのだが。
峰「じゃあ、儀式の部屋まで行くわよ」
『儀式?』
いきなり不穏なことを言われ、驚く。この驚きは演技ではなかった。
峰「ええ。今から特別な力で貴女の怪我を治すわ」
そういえば名前を聞いていなかったと言われ、自分の分と狗巻の分を名乗っておいた。
“狗巻”も“苗字”も呪術界で知られているかもしれないからと苗字は伏せ、聞かれたら“佐藤”とでも答えようと思っていた。
『特別な力って・・・?』
峰「ふふ、大丈夫よ安心して」
峰が連れてきた部屋は、広い空間の真ん中に台座が置かれていた。
いかにも“儀式”という感じだ。
近くには、老人に集められた数人の村人もいる。
「姫様、今から“神力”を見せていただけるのですね」
峰「ええ。名前ちゃん、この台座に座ってくれる?みんなに傷が見えるように」
『・・・お兄ちゃんも一緒に』
何があるかわからない。狗巻も自分の隣にいさせてほしいと峰に言うと快諾した。
これで何かあったときにすぐ行動に移せる。
峰「さて、今日は不運にも山に迷い込み、怪我をしてしまった少女を“神の力”で治癒してみせましょう」
ザワザワと騒ぎ出す村人たち。
その声は好奇や期待に溢れた声だった。