第12話
夢小説設定
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夏油は倒れている真希をパンダが見た隙に名前を遠くに投げ飛ばした。
『ぅあっ』
パ「名前!!」
傑「またよそ見」
パキャッ、バゴンと蹴りとパンチを流れるようにパンダに食らわせる。
パ「棘!!」
パンダが狗巻を呼ぶと、夏油の死角から狗巻が跳んできて「堕ちろ」と呪言を唱える。
ズズン・・・
ボタタッ
渾身の一撃だったようで口から血を流す狗巻。
狗巻の前には大きな穴が空いていた。
『棘くん!!』
身体が動くようになった名前は狗巻とパンダの所へ向かう。
しかし、呪霊を出しながら穴から復帰した夏油の方が一足早く辿りつき、狗巻とパンダに攻撃をした。
ドゴンッ
『はぁっ、はぁ・・・』
狗巻とパンダの下にはクッションのような光が挟まれており、地面に強く叩きつけられることはなかったが、それでも勢いが強く2人とも気を失っていた。
傑「玄武か。やはり動かれると厄介だな」
『ぁっ・・・(また、身体が・・・)』
ピシ・・・と手を前に出したまま動かなくなる名前。
そこに夏油が近づいてきて、手を絡めとる。
『え、まさか・・・』
傑「術式を使えないように、もらうよ」
『っ・・・』
拒絶したいのにできない。呪力が自分の身体から抜け、夏油に移っていく感覚がする。
やられた、身体を操られるということは呪力を譲渡させられる可能性もあったのに、とギリと歯軋りをする。
傑「さすが名前の呪力だ。力が溢れてくる!」
『やだ、やだぁ・・・』
とそこへ
ドオン!
上から乙骨が夏油めがけて刀を振り下ろした。
夏油は名前の手を離し跳び退ける。
『はぁ・・・憂太、くん』
憂「名前ちゃん、大丈夫?」
『うん』
傑「素晴らしい!素晴らしいよ!!」
夏油は突然泣き出し感嘆の声を上げる。
傑「私は今!猛烈に感動している!!
乙骨と名前を助けに馳せ参じたのだろう!!?
呪術師が呪術師を、自己を犠牲にしてまで慈しみ!敬う!
私の望む世界が、今目の前にある!!!」
乙骨は、倒れているクラスメイトたちを見てキレる。
憂「来い!!!里香!!!
ぶっ殺してやる!」
乙骨と里香に、大量の呪霊が襲いかかる。
里香は、倒れていた3人と名前を高い建物の上に運んだ。
憂「死なせない!」
乙骨は反転術式で3人を治癒していく。
『憂太くんは傑さんと、戦えるから・・・行って。
私は・・・もう呪力が少ないから』
憂「わかった、よろしくね」
名前は玄武を出し、3人にバリアを貼った。
玄武を出したまま他の神獣もと思ったが、思った以上に呪力を譲渡してしまったのか難しかった。
『あれが里香ちゃん・・・すごい』
夏油を押している里香と乙骨。
しかし夏油も負けじと使役している呪霊4000体ほどを1つにした「うずまき」を出す。
乙骨はそれに対し、里香に命をあげるから力を貸してくれと頼む。里香はそれを受け入れ、呪力量が上がっていく。
本気と本気がぶつかる。
ズン!
ドドドドォ!!
傑「素晴らしい、本当に素晴らしいよ」
夏油は高専内の物陰に身体を預けていた。
身体の右側は抉れている。
乙骨と里香の攻撃を食らったようだ。
ザッ
傑「遅かったじゃないか、悟。
名前も無事でよかった」
座り込んだ夏油の目の前には五条と名前。
傑「君で詰むとはな。家族たちは無事かい?」
家族たちとは、一緒に百鬼夜行をした呪術師たちのことだろう。
全員逃げたと五条は伝えた。
傑「あの2人、私にやられる前提で乙骨の起爆剤として送り込んだな」
悟「そこは信用した。お前のような主義の人間は若い術師を理由もなく殺さないと」
傑「クックックッ
信用か、まだ私にそんなものを残していたのか」
『・・・・』
五条と夏油のやり取りに泣きそうな顔になる名前。
夏油は困ったように笑い、泣かないでくれと話す。
名前は夏油の目の前に来て座り込み、夏油と目線を合わせ傷口を刺激しないようにしながら服にしがみつく。
『傑さんは、優しいよ・・・』
傑「名前までそんなこと言うのか」
『だって、呪霊を使って私を操って、みんなを、非術師たちを襲えば良いのにしなかった・・・
そんなことしたら、私が悲しむとか思ったんでしょ?』
夏油は微笑んだままだが、きっと図星だろう。
『傑さんは、優しいから・・・だから、辛かったよね。美味しくもない呪霊を取り込んで・・・頑張ったね。
ゆっくり休んで・・・』
傑「名前にはいつも心が救われるな。ありがとう。
首、出してくれ。辛い思いをさせてすまなかった」
夏油は名前の首筋に手をかざすと、小さい虫のような呪霊が出てきた。それを握り潰すと名前の首筋の痣が消えた。
それを見届けると、夏油は手で名前を押し五条に渡す。五条は名前を抱きしめ、顔を胸に押し付ける。
これから起こることが見えないように。
『っ・・・う・・・』
ポロポロと涙が溢れてくる。何かにすがらないと大声を出してしまいそうで、耐えられなそうで、五条の服をギュっと掴む。
傑「悟、名前を頼んだよ」
悟「ああ。」
五条も覚悟を決めたようで、一息つくと傑に声をかける。
悟「傑、
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーー」
傑「はっ、
最期くらい呪いの言葉を吐けよ」
最期に照れ笑いをする夏油の顔は、五条の頭に焼き付けられただろう。
バシュッ
『ふっ、ぅう・・・傑、さん・・・ぅぇえ・・・』
音、気配で夏油が亡くなったことがわかると声を上げて泣き始める名前。
五条も名前を抱きしめながら悲しみに耐えていた。
少ししてお互いが落ち着くと、乙骨たちのところへ向かう。
乙骨は、無事里香の解呪に成功していた。
里香の姿は、今は怨霊ではなく可愛らしい女の子だった。
里香はしゃがみこむ乙骨を抱きしめる。
里「憂太、ありがとう。
時間もくれて、ずっと側においてくれて。
里香はこの6年が生きてるときよりも幸せだったよ。
バイバイ、元気でね。あんまり早くこっちに来ちゃダメだよ?」
憂「うん、またね」
泣いている乙骨を見て名前は再び涙を流す。
悟「今日の名前は泣き虫だね」
『だって、ぅうっ、だってぇ・・・』
抱きしめ、頭をポンポンしている五条。
一同「(もうくっつけよ・・・)」