第1話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
兄「大丈夫ですか、母様!?」
父と兄も御堂に到着した。
父「ここで術を行う、近くの呪霊は祓った。
皆入ってくれ!」
『え?え?』
1人だけ状況を掴めていない名前。
御堂の中には呪符や呪文が張り巡らされていた。
『な、に、するの?・・・・!!父様!呪霊が!!』
「「「!!?」」」
誰も気づいていなかった。
気配が無い呪霊が数十匹、いやもっといるだろうか。
御堂を囲んでいるのが窓から見えた。
そして呪霊たちはもう攻撃を仕掛ける瞬間だった。
もうダメだ、と村の大人たちが皆思ったその時
『だめぇぇえ!!!!』
ブワァアアアア!!!
突然名前の身体から白い光が勢い良く広がり、呪霊たちがボロボロと崩れ落ちていく。
集落の周りからは呪霊が一匹残らず消え失せていた。
『はぁ・・・・はっ・・・』
父「名前・・・その力、これからもっと多くの人を救うために使うんだ」
『どういう、こと?』
母「よく聞いて?これから私たち皆の呪力を貴女に全て注ぐわ。苗字家に伝わる禁術で、本当に全て」
『え、そんなことしたら・・・・』
兄「俺たちは消滅する」
『待って!!ダメだよ!!何で!!!?』
父「苗字家を守るためだ。これは苗字家の一番呪力が高い人間に全てを吸収させる禁術。
滅ぼされないために1人に全てを吸収させ、より強い呪力、術式で身を守らせる。
いざというときのために数百年保存されていた術だ」
御堂にある呪符を触りながら言う父。
父「建前は苗字家のためだが、今の俺たちはそうじゃない」
母「名前、貴女に生きてもらうためよ」
生きて欲しい、家族なら誰でも願う希望のはずだった。しかし、この状況でその言葉は名前にとって呪いでしかなかった。
『でも!!でもみんなは!!?独りにしないで!!!』
泣き叫ぶ名前を母も涙を流しながらきつく抱き締める。
母「独りじゃない、貴女の中に皆いる!」
『やだっ!やです!!!私も皆と・・・』
兄「名前・・・」
今まで静かだった兄が名前の頭に大きな手を優しく乗せた。
兄「お前は俺の可愛い自慢の妹だ。
誰にでも愛される存在だ。生きていればまたたくさんの人に囲まれて幸せに暮らせる」
『ひぐっ、でも、みんなとっ・・・うっ、一緒じゃなきゃやだよぉ・・・』
母や兄と話しているうちに、父が準備を完了したようだ。呪符が赤黒く光っている。
父「鍵は“五条”だ。五条を信じろ」
『え、五条を、信じろ・・・?』
素直に父の言葉を反芻する名前に微笑み、頭に手を乗せる。
父「生きろよ、名前」
兄「お前は独りじゃないからな」
母「愛してるわ、名前」
村の皆からも声がかかる。
眼から溢れ出る涙が止まることはなかった。
『いや・・・』
父が手で何かの印を結ぶ。
すると御堂内が眩い光に包まれる。
名前は母にぎゅっとしがみつき、いなくならないでと強く願った。
『いやぁああ!!』
キン・・・・
一瞬にして御堂が静まり返る。
御堂には、大きな水晶が1つ残されていた。
他には人影も何もない。
その水晶には名前が蹲って眠っていた。
これが事件の全容だった。
五条、夏油は無事到着するのだろうか。
こうして名前は、家族から“生きろ”と呪いをかけられた。
これが呪いではなく、希望になる日が来るのだろうか。
第1話 終