第1話
夢小説設定
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禪院家、加茂家は呪術界の御三家のうちの2つ。
以前から、呪力が強い苗字家とその親族らが住む集落には良い顔をしていなかった。
周りを巻き込む危険な力として。
昔は東京に住んでいたが、御三家や周辺の一般市民に迷惑をかけないようにと青森の山奥に移住したのだ。
そして現在、苗字家当主の家族4人は全員、偶然にも苗字家に古来より伝承されている四神の力を継いでいる。
父は白虎、母は朱雀、兄は青龍、そして名前は玄武。
四神の力が全て同時代に存在しているのは数百年ぶりだとして目をつけられていた。
父「・・・例の力を使う時が来るかもしれないな。
今日の夜集会を開く。」
母「・・・名前・・・」
兄「・・・」
3人は無邪気にタンポポを摘んでいる名前を見つめながら、名前に最大の呪いをかけてしまうかもしれないと心苦しく思った。
『あ、兄様!帰っていたのですね!
私タンポポの指輪を作ったのです!』
兄が帰ってきていることに気づき、またパタパタと向かってくる。
兄に指輪を渡している名前を見て、母は名前を呼んで抱き締める。
『母様?』
母「私たちの宝物の名前。大好きよ、愛してる」
『ふふっ、私も大好きです!』
名前も短い腕を母の細い腰に回し笑顔で答えた。
父も兄も寄り添ってくる。
『くぅ・・・くぅ・・・』
兄「・・・行ってきます」
母「ええ・・・」
夜、名前が寝た後、父兄は家を出て集会所へ向かった。
母は名前が起きてしまった時のために家に待機している。
集会所には集落に住む、苗字家の親族と従者が集まっていた。
父「今日集まっていただいたのは、私たち苗字家に危険が迫っているかもしれないと噂を聞いたからだ」
「まさか、御三家に・・・」
兄「ええ。俺が聞いたのは禪院家と加茂家でした。五条家は噛んでいるのかわかりませんが・・・」
「山奥で静かに暮らしてたのに・・・」
「ということは、ついに“あの禁術”を?」
父「その可能性もある。皆、覚悟していてくれるか?」
父の言葉に、全員息を飲むが、静かにゆっくり頷く者が殆どであった。
「で、“禁術”の話ですが・・・集落で一番呪力が強いのは・・・」
父「名前だ」
一同「!!」
「それは、名前様に酷では・・・」
父「・・・ああ。だが、未来の力を信じるしかない。
名前は父親の俺が言うのもなんだが愛される性格だ。きっと大丈夫なはず」
集会所にいた人たちは固く決意した。
禁術とは何か、禁術を使う時が来るのか・・・
ーーー
事件当日
夕方
母「・・・・・・できた」
母は、何か紙に書いていた。
そこへ兄が入ってくる。
兄「母様、ここでしたか。
今回の噂の件ですが、五条家は噛んでいない、むしろ反対していたそうです」
母「そう・・・わかったわ。それ、御堂にいるお父さんにも伝えておいた方がいいわね」
兄は外にいた父のもとへ行き、先ほどの話をしていた。
その時、母の所へ、今まで自分の部屋で本を読んでいた名前が俯きながら来た。
『母様、母様。
何か気持ちが悪いです、眼も痛くて・・・』
母「っ・・・もう・・・」
名前は強すぎる自分の呪力を抑えきれていない。
右眼が灰色に染まっていた。
それは近くまで強い呪力が来ていることを意味していた。呪力に当てられ、それを跳ね返そうと名前の中の玄武が呪力を出しているのだろう。
そのため身体に負担がかかり不快感となって現れた。
『っ・・・うぅ・・・』
口元を押さえ、名前が座り込んだ瞬間・・・
ドガァアアン!!
近くで大きな破壊音がする。
地響きがして地面が揺れる。
『きゃあ!!』
母「名前!!」
よろける名前を支える母。
『なに?何が起きてるんです?』
母「・・・村が呪霊に襲われてるわ。しかもかなりの数と呪力量のね」
名前は青ざめる。呪術、呪霊等については話を聞いており知っていた。
いつもは集落の周りに結界が貼ってあるため呪霊が入ってくることはない。
しかし、今は入ってきている。どういうことなのだろう。
父「無事か!?」
兄「俺たちが足止めします!早く、母様と名前は御堂の方へ!皆向かってます!」
父と兄が息を切らしながら合流した。
父は眼を薄水色にし、兄は青くしていた。
母「名前、走るわよ!」
『え!?わっ!!』
母に手を引かれ、外へ出る。外は呪霊がひしめき合っていた。村の建物は壊され、ボロボロになっている。
そして呪霊にやられた人が何人も血塗れで倒れていた。
『ひっ・・・』
母「見ちゃダメ!」
恐くて名前が母を見ると、母も眼を赤く染めていた。
周りの呪霊を呪力で作った剣で薙ぎ倒しながら進む。
御堂は少し移動した場所にあった。
『はあっ、はあっ』
母「中に入って!早く!」
息を切らしている名前に、御堂の中に入るよう促す母。後ろからも呪霊が寄ってきていた。
『母様!後ろ!』
母が振り向こうとした瞬間、呪霊は消えてなくなった。