第2話 真島宅へ
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真「ボロくてビックリやろ」
『ううん、家とあんまり変わらない』
笑いながら言う名前にホッとする真島。
スーツのジャケットを脱いでドカッと座り込んだ。
少し離れたところに膝を抱えて座る名前。
真「もう眠くないんか?」
『うん、目、覚めちゃった』
真「ほな、聞かせてくれんか。
名前は何でそない頭良いんや?英才教育受けるような家庭やなかったんやろ?」
名前は、一緒にいるなら話すと言ったはいいが、どこまで話したら良いかと悩む。
『・・・私ね、前世の記憶があるんだ』
真「・・・・・・は?冗談はよしとき?」
『私だって冗談だったら良かったって思ってるよ』
5歳児とは思えない名前の憂いを帯びた表情に、真島は冗談ではないのかもしれないと思った。
真「じゃあ何や、名前はもっと昔に生きてた人っちゅうわけか?
それにしては若者みたいなしゃべり方やないか」
『・・・死んだのは27歳』
真「中身の年齢は俺より上なんやな」
名前はそれを聞き、口をポカンと開けて真島をじっと見つめる。
『・・・真島さん、何歳?』
真「今24や。ピチピチやでぇ?」
『・・・・・』
30代半ば位に見えていたという言葉は言わずに頭の奥にしまいこんだ。
真「それよりもあれやな、見た目5歳児に“真島さん”呼ばれるのは違和感がすごいなぁ」
名前は今度は真剣な顔で真島をじっと見て答える。
『・・・・じゃあ、吾朗ちゃん』
真「ごっ・・・・まぁええわ。好きに呼び。
で、名前がおったんは西暦何年だったんや?まさか江戸時代とかか?将軍とかの時代なんか?」
少し目を輝かせて話す真島。
名前は気まずそうに202X年だと答える。
真「は?」
『まぁ、そうなるよね』
真「未来から来たっちゅうことか?」
うん、と頷く名前に呆然とする真島。
真「そない不思議なことが起こるわけないやろ。」
『たぶん、世界線とか時間軸が違うんだと思う。
私が知ってる限り、前の世界には“蒼天堀”なんて地名は無かった。
見た目が似てるところで“道頓堀”っていうのはあったけど』
真「どういうことや・・・東京の新宿にある神室町は?」
『・・・東京にいたことあるけど、聞いたこと無い。
新宿・・・歌舞伎町かな?』
どこか似てるけど違う地名。
やはりパラレルワールド的な何かではないかと推察する。
真「アカン、ちんぷんかんぷんや。
まぁ、とりあえず名前は人生2週目っちゅうことやな」
『ふふっ、まぁそういうことにしといて。
ふぁあ・・・また眠くなってきたかも』
真島は布団を敷き、名前に寝るよう促す。
1人で使っていいと言って。
『吾朗ちゃんはどこで寝るの?』
真「あ?俺は床でええよ」
『・・・端で寝るから良かったら隣来て』
真「気が向いたらな」
もぞもぞと布団に入る名前。
布団の1/4位しか使わないつもりのようで、端で壁を見ながら蹲っている。
少しすると寝息が聞こえてきた。
真島が微笑みながらそっと名前の頭を撫でる。
そしてタバコを吸うべく窓を開けると表情は一変し、無表情になった。
外を見ると、向かいのビルに2人、川を通る船に1人、道端にホームレスを装いながら1人、真島を監視するようにジロリと見る男たちがいた。
真島は布団を壁際にして良かったと思った。ビルの屋上にいる監視の男からも名前は見えていないだろう。
一緒にいるとは言ったが、自分のためにも名前のためにも見つからないに越したことはない。
真「この街は牢獄や・・・。
俺が塀の外に出られんのはいつなんやろな。
兄弟・・・」
一服し終えると窓を閉め、名前が寝ている布団の横に寝転ぶ。
真「名前・・・何で俺なんかと一緒にいたいなんて思うんや。
思ってるほど良い人ちゃうで・・・?」
そう呟きながら目を閉じた。