第28話 初・賽の河原
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真「ほな、行こか」
真島は口角を上げ、楽しそうに闘技場のある部屋に向かっていく。
真「名前は俺とこっち、桐生チャンはあっちや」
真島と名前はVIP席の方へ、桐生は控え室に向かっていく。
『トーナメントって、こういうことね』
地下闘技場、これもきっと違法な賭け試合が行われているのだろう。
真島と客席で待っていると、司会の人が楽しげに観客に語りかけ始めた。
「レディースエンドジェントルマン
遂にあの“堂島の龍”がこのリングに帰ってきました!」
『?』
首を傾げる名前に、1年前にも桐生はトーナメントに出て優勝していると話す。
「前年度地下闘技場名誉王者、桐生〜一馬!!」
ワァアアーー!!
と湧き上がる歓声。名前はその人気ぶりに驚いていた。
1回戦は、ブラジルの超新星シウバだった。
『え、武器持ってるよ?斧』
真「何でもありの決闘やでぇ?」
『うげー。』
そんな話をしているうちにゴングの銅鑼が鳴る。
柄の長い斧を素早く避け、懐に入りながら拳を入れていく桐生。
『(あの人長物をちゃんと扱えてないなぁ、いや、桐生さんが体格の割に素早いのかな)』
真「前世出とるで」
『はっ』
戦いを眼の前で見るのが久しぶりだったため、動きなどを分析し集中して見てしまっていた。
そしてすぐに決着がついた。
桐生の圧勝。
真島は桐生によく見えるようにわざと大きく腕を伸ばし拍手をする。
『すごい煽るじゃん・・・』
2回戦は、ここに来る時に話したゲイリーだった。
『ゲイリーさん強いの?』
真「桐生チャンが来る前は王者だったんやで?」
『ほぇー』
リングではゲイリーと桐生が話している。
“即死”と“安楽死”どっちが良いかと。
『??』
真「くくっ、真面目に見とると疲れんでぇ」
『うん、真面目に見るのやめる』
リングには、トゲトゲの鉄球のような手袋を付けたゲイリーがいた。
ゴングが鳴り、お互いに近距離の殴り合い蹴り合いをしていく。
そして数分後、桐生はゲイリーをノックアウトさせた。
「桐生強い・・・!強すぎる!
進化した元王者に完全勝利です!」
『桐生さん強いなぁ・・・』
目を輝かせて見ている名前を一瞥すると、真島は立ち上がる。
『吾朗ちゃん?』
真「行ってくるでぇ!俺も格好ええとこ見せたる!!」
『え、まさか』
真島はルンルンスキップしながらVIP席を出て行く。
1人残された名前はため息をついた。
「さぁ、いよいよ決勝戦・・・そろそろ“あの男”がやってくるはずです」
歓声はさらに高まり、会場のボルテージは最高潮になる。
「現 地下闘技場チャンピオン!
真島〜吾朗!!」
派手な音楽、花火とともに踊りながら入場してくる真島。
ジャケットは脱ぎ、手にはドスを持っている。もちろん真島建設のヘルメットも被って。
名前はふと桐生の顔を見た。
『笑ってる・・・』
なんだかんだ桐生も真島が好きで闘えることが楽しいのだろう。真島のパフォーマンスを見る桐生はワクワクした表情だった。
真「どや桐生チャーン、カッコええやろ?」
リングに上がった真島はドヤ顔で桐生に話しかける。
桐「ったく、アンタだけは読めねぇな」
『・・・いいなぁ』
どこか絆も感じさせるやりとり。
少し寂しさを感じていると2人が名前の方を見てきた。
『な、なに?』
真「俺と桐生チャンのカッコええとこ、目ぇかっぽじってよぉく見とき」
桐生も無言で頷く。
『ふふっ、変なの』
名前が笑ったことに気づくと満足そうに再び向き合う2人。
真「さぁ、今度は正々堂々・・・勝負しようやないか!」
『(ドス対素手・・・正々堂々?)』
ゴングが鳴る。
真島は先手必勝と言わんばかりに勢いよく桐生に向かって行った。それを蹴りで対抗しようとする桐生。
2人の闘いが始まった。
パワーで圧倒する桐生とスピードで向かう真島。
『2人とも頑張れ・・・』
大きな声では無かったものの、2人の耳には入ったのかチラッと名前の方を向く。
そして、決着がついた。
真島のドスをキィンと足で弾き、桐生が腹部に強烈な拳を入れた。
ドサッ
動けなくなる真島。
そこで試合終了のアナウンスが流れた。
勝者、桐生一馬と。
真「さっすが桐生チャンや。
相変わらずゴッツイのぅ・・・」
桐生が真島に向かって手を差し伸べると、会場からは歓声と拍手が湧き上がった。
桐「約束だ、東城会に戻ってくれ」
真「まぁ、祝いの酒でも呑みながらゆっくり話そうや」