第23話 目覚め、そして黒
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名前が眠り続けて3日が経った。
今日は花枝と西田が見舞いに来ていた。
花「じゃあ、今真島さんは・・・」
西田「犯人を探すために動いてます」
名前の病室で話をする花枝と西田。
西田は、東城会の若頭候補である植松が何者かに殺されたと話した。
植松の遺体の第一発見者が真島で、真島がやったのではないかと疑われたが、犯人を見つけてくると寺田に提示し納得してもらっていると。
未だに犯人は見つからずに難航しており、情報屋である賽の花屋の所へ向かっていると伝えた。
その時、真島から西田に電話が入る。
西田が携帯を耳に当て、何回か言葉を交わす。
西「え、ええ!?大阪!?」
花「どうしたの?」
急に大きな声を出す西田に驚く花枝。
西田は、真島が大阪に行くと言っていたことを話した。
真《店長はんか?》
西「ええ」
真島は花枝と話したいと言っていたため西田はスピーカーモードにする。
真《俺は今大阪に向かっとって、すぐには帰れん。
何かあったら真島組頼りい。》
花「ありがとうございます、何かあったら相談します。」
少し話をして電話を切った時
『ん・・・・・・』
名前のまつ毛がピクッと動き、目を開けた。
花「!名前ちゃん!?」
西「あ、ナースコール押しますね!」
天井を見ていた名前の目が、花枝と西田を捉える。
すると、一瞬にして顔が青ざめた。
『い、いやぁあああ!!!』
そして悲鳴を上げるとベッドの端に後退りし、花枝たちと距離を取ろうとする。
花「名前ちゃん!助かったのよ!大丈夫!落ち着いて」
『いやっ!!いや、来ないでぇ!!!』
枕を振り回し、自分の近くに誰も来ないようにする。
名前には今、どす黒い人影しか見えていなかった。
自分を睨んでいる赤い目がいくつもあるように見え怯えていた。
医「大丈夫ですか!?」
医師が何事だと焦って入ってくる。
『いやああ!!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!!』
花「目を覚ました瞬間からパニックになって・・・」
花枝は医師に状況を説明した。
医師もある程度想定していた事態だったのか落ち着いて応援を呼んだ。
頭を抱えながら泣き叫ぶ名前。
無理に身体を動かしたため、傷口から血が滲んできていた。
看護師もフォローで何人か入ってくる。
名前は何人も入ってきたことにまたガタガタと震える。自分を殺しに、陥れようとしている黒い影がゾロゾロやってきて取り囲んでいるように思えたからだ。
『来ないでっ!来ないでよぉ!!』
涙を流しながら枕を振り回す名前に、花枝と西田は心が痛んだ。
心こそ完全に開いてくれてはいなかったが、あんなに笑顔で生きていた名前がこんなに辛そうに恐怖で押し潰されそうになっているのだ。
医「・・・様子を見ましょう。何かに怖がっているようです」
医師は一度女性の看護師を2人、名前の病室に危険にならない程度の距離を保って見守ってもらい、花枝と西田を連れて外へ出た。
医「お二方は苗字さんと近しいんですか?」
西「いや、俺はあまり」
花「私は小さいときから一緒にいました」
医師は、小さいときから一緒にいる花枝も恐怖の対象になっていたことに驚いた。
誰も認識できないくらい恐怖が大きいのか。
花「・・・でも、私を見ても泣き叫ぶのは、わかる気がします」
翔と付き合うことを勧めた自分のせいでもあるし、名前は自分に完全に心を開いたわけではないからということを話す。
花「きっと名前ちゃんが一番心を許しているであろう人は、今遠くに行っていてすぐ来れなくて・・・」
医師もその話を聞き、未だに病室から聞こえる悲鳴に鎮静剤を打つことを提案した。
花「それで落ち着けるのであれば・・・」
医師は鎮静剤を取りに行き、再度病室に戻り入っていった。