第17話 告白
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『なんかソワソワしちゃいますね』
翔はクスクス笑いながら「なんで」と言っていた。
名前が『いろいろな理由があるんです』と言うと声を出して笑われた。
翔「出身はどこなの?」
『え、ああ・・・出身は、東京?です』
出身と聞かれるとわからなくなる。
生まれたところなのか、育ったところなのか。
翔「なんでそんな自信なさげなの」
『小さい頃に引っ越しして、大阪にいたこともあるし東北にいたこともあって』
翔「転勤族だったとか?」
名前は口ごもる。何と話したらいいか戸惑っていた。正直に話すべきか、秘密にするべきか。
翔「・・・言いにくいことだった?」
『え!いや・・・』
申し訳なさそうな翔を見て、名前まで申し訳なくなってくる。
えーっと、と何回か言った後覚悟を決めて話す。
『私、5歳から施設に入所してたんです』
翔「・・・・」
翔は無言だが続けて話していいという雰囲気を出していた。
『大阪の時に虐待を受けて、東北まで逃げて・・・』
翔「そうなんだ、ごめんね。言いにくいこと教えてくれてありがとう。
ま、かくいう俺も天涯孤独だけどね」
『え、ごめんなさい!』
とっさに謝ってしまった。翔は謝んないでよと笑いながら話す。
翔「俺は事故で失くしたんだけどね」
『そっか・・・』
沈黙が訪れる。
雰囲気を変えようと翔が笑いかける。
翔「なんか親近感湧くね」
『そうですね』
その時、頼んだ料理が運ばれてきた。
名前はオムライス、翔はハンバーグセットだった。
『わぁ、美味しそう』
2人でいただきますを言い食べ始める。
『美味しい!』
翔「嬉しそうでなにより」
名前が食べているのを肩肘を付いてジーっと見つめる翔。
名前も気付き、オムライスを食べながら見る。
『・・・食べにくいんですけど』
翔「ん?あー、可愛いなって」
『いやいや、更に食べにくくなったじゃないですか!』
自分のご飯に集中して、と言うと笑いながら返事をしてハンバーグを切り始めていた。
翔「こっちのハンバーグも美味いよ。食べてみる?」
『え、良いんですか?食べたいです!』
目を輝かせながら話すと、翔はハンバーグを切り分けフォークで刺して名前の目の前へ。
いわゆる“あーん”の体勢に固まる名前。
『・・・ハンバーグ置いてくれれば食べるんで』
翔「バレたか。」
翔は渋々ハンバーグのみを名前の皿の上に置く。
その後も楽しく食べ、店員に挨拶をして店を出た。
『美味しかったです、ありがとうございました。お会計までしてもらっちゃって』
翔「俺が行きたいって急に誘ったんだからいいよ」
腹ごなしに少し街を散策することに。
神室町とは違い、ライトが煌々としているが大人な雰囲気が漂っていた。
翔「あっちに公園あるから行こっか」
名前も了承し、向かうことに。
公園は、新宿のど真ん中とは思えないほど広い空間だった。
自販機で温かい飲み物を買ってベンチに座り、ふぅと一息ついた。
翔「あのさ、名前さん」
『?』
翔「俺たち付き合わない?」
『・・・』
やはりこの時が来たか、と思った。
花枝にいつか告白されるかもと言われてから少し身構えていた。
そして自分の気持ちをポツポツ話す。
『私、お恥ずかしながら今までお付き合いした男性がいないし、色々わからないことが多いですけど、
それでも良いですか?』
家族がいなかった名前には、恋人、夫婦がどのような距離感でどのような会話をして過ごすのかわからなかった。
自分をさらけ出せないため負い目を感じて過ごすことも多く、それが不安でもあった。
翔「ふふっ、大丈夫だよ。一緒に色々知っていこう?」
優しく話す翔に安心し、頑張ってみようかと思えた。
『・・・はい、よろしくお願いします』
翔「うん。じゃあ、まず翔って呼んでみよっか」
『うぇえ・・・いきなりだと恥ずかしいんですけど。
翔、さん・・・?』
アワアワしている名前を見て翔はクスクス笑い、「それでいいよ」と言う。
翔「じゃ、これからよろしくね、名前」
急に呼び捨てになり再度アワアワする名前。
翔は名前の手を取って立ち上がると、明日もあるから帰ろうと話す。
名前は繋がれた手を見てフッと小さく笑う。
『昨日も手繋いでくれましたね』
翔「え?ああ。なんかほっとけなくて」
『ありがとうございます』
恥ずかしそうに下を向く名前を、翔は微笑んで見ていた。