第14話 邂逅
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ーーー
花「へぇ、そんなことがね。
やっぱり前から思ってるけど、真島組って変わってるわよね」
『ふふっ、極道だって忘れちゃいますよね』
花「その桐生って人もまた変わってるし、変な人ばっかりね。
まぁ怖い人が寄り付いても嫌だけどね」
昨夜の話をしていると、花枝がクスクス笑いながら話している。
真島の第一印象は最悪なものだったが、今ではお互いに毒を吐きあいながら話す仲になっていた。
開店時間になり店頭に立つ。
開店前から並んでいた人たちに挨拶をしてお弁当を売り始めた。
列がなくなった頃、1人の男がやってきた。
短髪の所謂イケメンという部類に入る若者だった。
長身で細身、白い服を着ているため優男というイメージだ。
『いらっしゃいませ』
?「これください」
『はい、唐揚げ弁当ですね。少々お待ちください』
手際良く袋に詰めて渡し、お金をもらう。
お釣りが出たので、トレイに置いて渡そうとすると
パシッ
?「・・・」
『(っ・・あれ・・・?)』
小銭をトレイに乗せようとした手を無言で掴まれ、見つめられる。
一瞬、ドクンと心臓が脈打つが急に手を掴まれたせいだろうと納得させた。
なかなか離してくれない男に、名前はどうしたのかと困惑し首をかしげていた。
『えっと・・・』
翔「あの、俺、松崎翔(マツザキ ショウ)って言います」
『は、はぁ・・・』
翔「えっと、良かったら、これ見てください」
『え、え?』
困惑している名前の手から小銭を受けとると、恥ずかしそうに小さい紙切れを代わりに手の中に入れてギュッと握らせた。
翔「それじゃ」
そう言って走って行く翔。
名前はポカンと口を開けてその背中を見ていた。
『花枝さん』
花「んー、何?」
奥で料理をしている花枝に声をかけると、手を止めて返事をしてくれた。
『何か、もらいました』
花「何?」
名前は、先程の男に渡された紙を見せた。
中は名前もまだ見ていないため、紙は折り畳まれている状態だ。
花「開けてみる?」
『・・・』
コクンと頷き、そっと紙を開いてみる。
すると中には
“良かったら連絡ください”
のメッセージの後にメールアドレスが書いてあった。
花「・・・好かれちゃったのね」
『うええ、どうしたら?』
初めての経験に戸惑っていると、花枝は気にしなくていいんじゃない?と話す。
花「ナンパと一緒よ、気にしない気にしない。
こういう仕事ではあるあるよ」
『大丈夫ですかね?』
花「大丈夫じゃない?ま、心配なら真島さんに言ってみてもいいかもね」
ちなみにどんな男の人に渡されたの?と聞かれたため、若くてイケメンの・・・と答えたところで
花「イケメンなら話は違ってくるわね」
と食いぎみに話す花枝に苦笑いをする。
とりあえず素性がわからないので連絡はせずそのままにすることにした。
もしなにか起きた時にはすぐ対応できるよう真島には声をかけておくことにした。
そんな話をしていると丁度真島組の人が店に来た。
花「丁度良かったわね」
組員「何がっすか?あ、ハンバーグ弁当ください」
花「真島さんに、近いうちに店に顔出してほしいって言っておいてくれる?」
組員は了承し、ハンバーグ弁当を受け取って帰っていった。
花「さ、仕事しましょ」
『は、はい!』
少しだけ引っ掛かるものがあったが、名前は気持ちを切り替えて仕事に集中することにした。