第13話 桐生一馬とお話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ーーー
2日後
花「珍しいわね」
今日も一日の仕事が終わり、閉店作業をしているときに花枝が呟いた。
『何がですか?』
花「ほら、真島さんたち。ここ数日誰も来てないじゃない?」
そう言われれば、2日に一回は真島もしくは組員の誰かは店に来ていた。
しかし、ここ数日来ていなかった。
『忙しいんですかね』
花「かもね、ま、あの人たちなら心配ないでしょ」
帰る準備をし、店にシャッターを閉めると花枝が名前の方を向く。
花「名前ちゃん、今日セレナ行かない?」
『良いですね、行きましょう!』
花枝は名前が成人してから、行きつけのセレナに連れていった。
名前はセレナも見覚えがあり懐かしく思っていた。
ママの麗奈はあまり覚えていなかったようだが、話をしていくうちに仲良くなり、今では常連客だ。
カランカラン・・・
花「こんばんはー」
麗「あ、花枝ちゃん、名前ちゃんもいらっしゃい」
『こんばんはー』
2人はカウンターに座り、カクテルを頼む。
麗奈は手際よく2人の好みのお酒を出した。
花「麗奈、最近どうなの?例の男の人と」
年が近いからか、麗奈と花枝は仲良しだ。花枝はグイグイ麗奈に質問をぶつける。
麗「まだ来てくれなくてね・・・」
『・・・錦山さんのことですか?』
花「そうよ」
麗奈は桐生の幼馴染みである錦山のことが好きらしい。
しかし、桐生が逮捕されてしばらくしてから店に来なくなったと話す。
連絡手段はあるがなかなかできずにいるとも。
麗「私のことは良いでしょ。
花枝ちゃんと名前ちゃんはどうなの?そういう話ないの?」
花「私は結婚とか興味ないのよね。1人の方が楽だし。
名前ちゃんは?」
『えー・・・結婚は、してみたいなぁっては思いますけど、相手がいないし』
第一、彼氏なんていたことないからイメージも湧かないし何もわからないと話すと、驚く麗奈。
麗「え、そんなに可愛いのに彼氏作らなかったの?」
『出会いが無くてですね・・・』
そう濁しておいた。
今まで出会いがないのもあったが、きっと自分から人を好きになることは無かったし、男の人に迫られたとしても断っていただろう。
今なら違うかもと思ったが、色々突っ込まれそうでそれは言わないでおいた。
花「ま、一回いろんな経験してみるのも良いんじゃない?」
『そうですかね・・・』
人生経験、か・・・と呟く。
花枝の言うとおりかもしれない、自分の殻に閉じ籠ったままでは変わらないと。
それも悪くないのかもしれないと思い始めていた。
それからしばらくお酒を呑みながら話をして楽しんだ。
そろそろ帰ろうという話になり、麗奈に挨拶をして会計を済ませ店を後にする2人。
少し歩くと声をかけてくる人物がいた。
真「お、名前と店長はんやないの」
それは真島だった。
たかが数日前に会ったのに、なぜか久しぶりに会ったような気持ちになった。
真「珍しいのぅ、こんな時間まで神室町おるなんて」
『今花枝さんとクラブに行ってて。』
真「呑んでたんか?ええなぁ、俺も疲れたから酒呑みたなってきたわ」
遠回しに自分も呑みたいという雰囲気を醸し出している。
花「名前ちゃん付き合ってあげたら?」
『え?花枝さんは?』
花「帰って録画してたビデオ見なきゃ。よろしく!」
そう言って返事を待たずに花枝は走り去っていった。
真島は「なんや忙しいやっちゃのぅ」なんて言っている。
『・・・呑んじゃってるから私はもうソフトドリンクだけにするけど、それでも良い?』
真「かまへんかまへん。話し相手が欲しいだけや」
『・・・』
酒癖が悪かったらどうしようと思っている名前。
再会したときに呑んだのを見たきり、酔っている姿などを見たことがなかった。
真島は行きつけのお店に行こうと誘う。
別に他に行きたいところもなかったため了承する。
お店に入ると、数人客がいたがカウンターが空いていたためそこに座った。
ママ「いらっしゃい真島ちゃん。
あら、名前ちゃん、だったかしら?久しぶりね」
ママは3年前とほぼ変わらない。挨拶をすると一体幾つなんだ、とじっと見ていた。
ママ「ふふっ、穴が開いちゃうわ」
『わ、大人の余裕・・・素敵っ』
ズキュン、と胸を撃たれた人のような仕草をする名前。
真「名前もだんだんキャラ変わってきてるやないか。そんなおとぼけキャラやったか?
それか酔うと陽気になるんか?」
『きっと真島組のせいですね。お酒のせいじゃないです』
真「“せい”ってなんやねん、“せい”って。
“おかげ”やろ」
ママ「2人とも楽しそうね」
真島はお酒、名前はオレンジジュースを頼むと話し始める。
『そういえば、最近忙しかったの?誰もお弁当買いに来なかったから心配してたんだけど』
真「あー・・・・
東城会3代目んなった世良の葬式があったんや」
『え、世良さんて、あの・・・』
カラの一坪の時に関わった人物は皆覚えている。
もちろん世良も。真島と引き離して東京に連れていった張本人だが、それは真島と名前のことを考えてのことだった。
優しい雰囲気の人だったが、何があったのだろうか。
真「そこで色々あっての、今日はヘトヘトや」
葬式で色々、とは。
と思ったが極道だから色んな組が来て大変だったのだろうと自分なりに納得していると、
真「桐生チャンとも会場で喧嘩したしの」
『え?』
衝撃の言葉が。
その一言にいくつのツッコミを入れれば良いのか。
桐生は葬式に参列して良い人物だったのか、
なぜ喧嘩になったのか、
なぜ葬式の場で喧嘩なんてしようと思ったのか。
とりあえず
『大丈夫だった?』
色んな意味を含めてそれだけ聞くことにした。
真「ああ、楽しかったでぇ」
『楽しかったって・・・怒られないの?』
真島はみんなで桐生を叩きのめそうと向かっていったと話す。そして真島が以前までいた組の組長、嶋野もフルパワーで闘っていたらしい。
『・・・・変だね、東城会って』
真「やろ?面白いで」
心底楽しそうに話す真島にクスッと笑ってしまう。
極道にも色々いるんだと思った。
真「名前は何か面白い話ないんか?」
『え?ないかなぁ』
家と職場、時々セレナの往復しかしていない。
何も面白い、真島に言える話などなかった。
真「なんやつまらんのぅ。
名前も神室町に来て数年経ったやろ?
何か始めてみるのもええんちゃうか?」
『・・・それ、セレナのママとか花枝さんにも言われた。色んな経験してみたらって』
真「そうやで?世界が広がると楽しいことも増えるで」
『・・・まぁ、考えてみる』
夜も遅く、ずっと一緒にいるわけにもいかないと、少し呑んで話して解散することにした。
『あ、桐生さん追いかけ回してるってホント?』
真「桐生チャンから聞いたんか?
そやで。毎日どうやって喧嘩しよか考えとるんや」
『やりすぎは禁物だからね?』
真「わかったわかった、気を付けるわ」
そんな話をして別れた。
『人生経験、かぁ・・・』
周りを歩いている人を見ながら、そう独り言を呟いて家路についた。