第12話 本心
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ーーー
翌日
『おはようございます』
花「おはよう・・・・あれ?」
朝、名前が出勤すると花枝は名前の雰囲気の違いに気づいた。
どうしたのか聞くと、名前は昨日の出来事を話した。
花「そう、良かったわね!
名前ちゃん、今まで見た中で一番嬉しそうな表情してる。なんか、心から喜んでるような」
『・・・ごめんなさい、花枝さんたちに失礼ですよね』
花枝は「そんなことないわ」と言って、名前が嬉しそうにしているのを一緒に喜んでくれた。
名前は、いつか花枝にも本当のことを言う時が来るのかもしれないと思った。
花「ほら、ボーッとしてないで仕事始めましょ」
『はーい』
お昼過ぎ、ピークの時間が過ぎた頃
真「おーう、早速来たでぇ!」
真島が西田と一緒に来てくれた。
『あ、吾朗ちゃんと西田さん、いらっしゃい!』
花「!!」
名前の嬉しそうな声に素早く反応した花枝は奥からドタドタと出てくる。
『は、花枝さん!?』
花「・・・・・・・」
花枝は真島と西田を見比べる。
そして、名前の肩をガシッと掴みブンブン揺さぶる。
花「名前ちゃん!どういうこと!?
まさかこんなチンピラのどっちかが探してた人、なんてこと無いわよね!?」
『あわわわわ』
西「(俺はともかく、親父をチンピラ扱いする店長・・・強い)」
目を回す名前に、戸惑っている真島と西田。
真「店長はん、名前が目ぇ回しとるで。
もうやめてあげぇ」
ピタッと止まる花枝。
花「・・・“名前”?」
真島が名前を呼び捨てしたことに気づき、真島が名前の探し人だったのだろうと確信を持つ。
花「名前ちゃん目を覚まして!
素肌にジャケットって・・・しかも刺青・・・変な髪型・・・ダメよ!」
花枝の真島への第一印象は最悪なものだったようだ。
再度ブンブン名前を揺さぶりながら話す。
真「目ぇ覚ますどころか、意識飛ばしてまうやろ・・・」
揺さぶる花枝を止め、呆れながら話す真島。
名前は平衡感覚を取り戻そうと目をパチパチさせている。
花「ホントにこの人なの?名前ちゃん」
未だにフワフワしている名前に問いかける。
『・・・うん、見た目より何倍も常識があって、優しい人だよ。
極道だけど』
花「ごっ・・・!
数々の失礼お詫びします!だから命までは・・・!」
花枝は真島が極道だと知り、頭を直角に下げながら今までのことを瞬時に謝った。真島はそれに吹き出す。
真「ぶっ、あない俺の見た目の特徴話しとって気づかんかったんかい。
ま、かまへんよ。頭上げぇ」
花「は、はい・・・え、名前ちゃん、ホントにどういう知り合い?」
困惑する花枝に、施設に入所する時に同行してくれた人だと話すと、花枝は納得したように相槌を打った。
花「そういえば、私が就職した後に聞いたことあるわ。
“伝説の隻眼イケメン”の話」
『・・・はい?』
隻眼のイケメンが、家族でもない虐待を受けた5歳児の名前と一緒に数日暮らしただけなのに、必死に名前を愛してくれと頼み込んだことが当時いた職員の心に刺さったようだった。
花「それが、この人・・・」
真「そんな顔で見んなや」
思っていたのと全く違うという思いが顔に出ていたようでまた真島にツッコミを入れられる。
真「ま、丁度ええ。店長はん」
畏まったように花枝に声をかける真島に、花枝はピシッと直立する。
真「名前はあの施設で仰山可愛がってもろたのに、まだまだ寂しい言うねん」
『ちょ、吾朗ちゃん!』
花「大丈夫よ」
真「名前は色々辛い思いをしとる子でのぉ、俺ら真島組が誠心誠意真心込めて寂しないようにしようと思とるんや。
せやから、頻繁に顔出させてもらうがええか?
他の客が困らんようにはするさかい。どや?」
花枝は、真島がそんなに名前のことを考えてくれていたのかと感心する。
花「ええ、もちろん。
私も常連さんができるのは嬉しいですから。
名前ちゃんのことも・・・やっぱり私じゃどうしようもないこともあるのは確かだと思います。
だから、よろしくお願いします」
『花枝さん・・・』
真「よっしゃ!決まりやな!
じゃあ早速唐揚げ弁当10個くれ!」
『ふふっ、はい!』
弁当屋“晴れ屋”と名前は、真島組に贔屓にしてもらい、神室町で平和に過ごしていた。