第12話 本心
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真「俺は名前が危険な目に遭ってほしない。
せやけどな、名前がまたこの世界を嫌いになるほうがもっとイヤや。
名前はどうや?」
『・・・』
真「素直に言い」
名前は真島から目を逸らし、うつむく。
真島が自分が話すのを待ってくれているとわかると、静かに深呼吸をし、話し始めた。
『自分を偽るのはもう嫌、虚しい、寂しい・・・』
真島は静かに名前の言葉を待つ。
『私をわかってくれる人と・・・
吾朗ちゃんと、また、一緒にいたい・・・』
震えている名前を見て泣いているとわかると、名前の頭に手を乗せる。
真「よっしゃ、じゃあ決まりやな。
俺は弁当屋の常連になるわ」
『・・・え?』
真「名前をヤクザと関わらせとうない、せやけど名前が寂しゅうて泣かんようにせなあかんからな。
西田に言われてホントは気になってたんや。美人店員のいる美味い弁当屋ってなぁ」
名前は、再度真島の顔を見る。昔見た頼りになる優しい表情だった。
また目頭が熱くなる。
『ううー・・・』
涙がボロボロ溢れ落ちる。真島は依然頭に手を乗せわしゃわしゃ撫でてくれている。
真「ホンマにまだまだガキやなぁ」
精神年齢が高いんだか低いんだか、と茶化すように話す真島。
そこでハッとする。
真「見た目は19やけど、あれやな。
19+27で46・・・」
『・・・最低』
ギロリと名前に睨まれると「冗談や」とヘラヘラしていた。
涙は一瞬で引っ込んだ。
『・・・吾朗ちゃん、キャラ変わった?』
そんなヘラヘラしながら冗談を言うタイプではなかったはずだ。
真「名前と別れた後も色々あったんや。
そこで決めたんや。
俺は神室町で誰よりも楽しく狂った生き方するっての」
遠い目をしながら話す真島に、名前はクスッと笑ってしまう。
真島に「なんやねん」と見られると『ごめんごめん』と謝った。
『そういえば、マコトお姉ちゃんの時計はあの後どうなったの?渡せた?』
真島は「あー、それな」とすぐに返事をしてきた。
いくら14年前とはいえ、やはり忘れられないで出来事のようだ。
真「直接は渡さんかったが、きっとマコトに届いたはずや」
真島は格好つけるかのようにウイスキーを呷った。
そこで名前はふと気がつく。
『告白してないの?』
真「ブフゥ!!!」
『うわぁ汚い!』
名前の一言に盛大に吹き出す真島。
ママも嫌そうな顔をし、おしぼりを渡していた。
『だってそんな雰囲気だったじゃん』
真「・・・そうやったか?」
口とテーブルを拭きながら誤魔化すように話す真島に、きっと何も言わずに去ったのだろうと想像した。
そこでママが口を挟む。
ママ「でも真島ちゃん、一回結婚してたわよね?」
『・・・・・・え!?』
真島をバッと見る名前。
本当なのか、という視線を送っていると「余計なこと言うなや」とママに文句を言っていた。
真「昔な。すぐ離婚してもうたけど」
『・・・・』
開いた口が塞がらないとはこのことだろう。
14年間で本当に色々あったようだ。
桐生さんは堂島組に戻り、堂島宗兵を殺した罪で服役中だとか、錦山は自分の組を立ち上げたとか。
桐生さんの件には驚いたが、きっと何か理由があったのだろう。堂島宗兵のことは名前もまだ覚えている。
正直たくさんの人に恨まれていても仕方がないと思えるような人物だった。
『そうなんだ・・・。
大変だね、極道も』
真「せやからあんま関わってほしないねん」
特にお前みたいな若い女はな、と言う真島はマコトのことを頭に浮かべているようにも思った。
『・・・うん、わかった。』
真「ま、頻繁に弁当屋に顔出すわ。
そのくらいなら大丈夫やろ」
『うん、ありがと』