第11話 会いたい、会いたくない、会いたい
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『・・・ごめんなさい、花枝さん・・・お店・・・』
名前は落ち着いてくると店の心配をしていた。
しかし花枝は気づいていた。
名前の目は光を失っていたことに。
花「(落ち着いた・・・っていうより、諦めた、閉じ籠った・・・って感じね)
大丈夫よ。名前ちゃんが自分の思ってること話してくれて嬉しかったわ」
花枝は、片付けをしてくるから温かいお茶でも飲みな、とお茶を淹れてくれた。
『ありがとう、ございます・・・』
しばらくして花枝が片付けを終える。
花枝は名前を心配し、駅まで一緒に帰ってくれると言い、一緒に帰ることにした。
帰り道は無言だった。
花枝が何か気を紛らわせようと話しかけていたが、真っ当な返事をした記憶がなかった。
家につくと、ぼんやりしながら身の回りのことを進めていた。
後は寝るだけになり、ソファに座る。
『バカみたい。
吾朗ちゃんに会うって1人で張り切って。
吾朗ちゃんは私なんかに会いたくなかったのに』
自嘲しながら膝を抱え込む。
『罰、まだ続いてるのかな。
いつまでこの罰を受け続けなきゃいけないの・・・』
前世で散々人を殺めた罰だと考えてしまう。
そう考えないようにしようとしても一度頭に浮かんだらどす黒いもので頭が埋め尽くされる。
『誰か・・・助けて・・・』
この暗闇から出してくれる人はもういない。
暗闇から出してくれるかもと期待をしていた人はもうこちらを見てくれなかった。
『誰か・・・』
『消えたい』
ーーー
翌日
まだ、気持ちは安定していないものの名前は仕事に集中することで何も考えないようにしていた。
『いらっしゃいませ!』
客がいなくなると花枝の手伝いをし、忙しく動いていた。
それから数日、休憩も取らずひたすら働き、家に帰っても空虚な生活をしていた名前は精神的にも身体的にも限界を迎えてきていた。
花「お疲れさま、今日は用があるから一緒に返れないの。ごめんね」
『大丈夫ですよ、子どもじゃないですから』
花枝はここ数日、名前を心配して一緒に帰っていたが今日は用事があると言って急いで帰っていった。
名前は花枝を見送ると、自分も帰ろうとゆっくり歩き始めた。
『あ、れ・・・?』
ボーッと歩いていたようで気がつくと駅までの道から大分逸れていた。
そして目の前には
『ミレニアムタワー・・・』
昔、このタワーの一角である“カラの一坪”を巡った争いがあった。
その争いに、真島は大きく関わっていた。
名前は無意識に真島を求めていたのかもしれない。
フッと自嘲して踵を返す。
すると
ドン
ギュ
『わっ、すみません・・・』
男「おっと、どこ見てんだよ」
振り返りざまにきっと後ろを歩いていたのであろう人にぶつかってしまった。
そして靴を踏んでしまう。
見た目はチンピラ。仲間らしき人も後ろに何人かいる。
『ごめんなさい、道間違えちゃって・・・』
男「あ?これお気に入りの新しい靴だったんだけどなぁ・・・踏まれて汚れちまったよ」
『すみません・・・』
男2「謝っただけじゃこいつの靴の汚れは取れねぇよなぁ」
男3「弁償か?」
回りの人は見て見ぬふり。
これからお金をせびられるか、暴行されるか・・・そんなところだろう。
ちょうど良かった、なんて思ってしまった。
男「てかめっちゃ美人じゃん。」
男2「ちょっとあっち行こうよ」
『わっ・・・』
手を無理矢理引かれ、路地裏の方へ連れていかれる。
『(・・・・・もう、どうでもいいか。
抵抗するのも面倒くさい)』
名前は抵抗を弛める。
男「・・・・・」
ひとけの無い暗い路地裏。
そこの奥に連れていかれた。
男「おい、親父呼んどけ。上玉捕まえたってな」
男2「うす」
『・・・死なせて、くれるの?』
男「!!!」
男に聞こえるか聞こえないくらいかの声で話す名前。男は聞こえていたようで眉間にシワを寄せる。
誰かに連絡していた男は笑いながら戻ってくる。
男2「親父すぐ来るって言ってやした!」
男「お、おう」
数分後、なにやらご機嫌そうな鼻歌が聞こえてくる。
「♪~♪~」
男「親父が来たぜ」
『・・・・・』
名前は顔を伏せた。
もう、終わりかな、と。
「えぇ女捕まえたらしいやないか!今日は一緒に呑める女やったらええなぁ!」
『!!』
聞き覚えのある声に名前は目を見開いた。
男2「見てくださいよ!この女!どうっすか?」
グイッ
『きゃあっ』
勢い良く腕を引っ張られ、地面に倒れ込みそうになる。
「!!」
親父と呼ばれた男も目を見開く。
男「おら、ちゃんと立てよ!」
男がグイッと名前を立ち上がらせる。
名前と目の前の男の目が合った。
眼帯にテクノカット、派手なジャケット
『吾、朗・・・ちゃん』
目の前にいたのは真島だった。