第6話 尾田の真実
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工事中のビル
今は誰もおらず、静まり返っていた。
タクシーの運転手とはここで別れ、ビルの中に入り落ち着くまで隠れることにした。
周りが見渡せる場所まで来ると、桐生はマコトを座らせる。
桐「お前も座っとけ、怖かったろ」
『うん』
桐生は名前に声をかけ、マコトの隣に座るように促した。
尾田は落ち着かない様子だ。
先程から近くを右往左往している。
桐「落ち着け尾田。彼女たちが不安がる」
尾「うるせぇ!それがなんだ!?」
『!』
急な大声に驚く名前。
しかしマコトは平然としている。尾田が大声を張り上げることをわかっていたかのように。
マ「私は大丈夫です」
尾「こっちは大丈夫じゃねんだよ!!!」
怒鳴りながらマコトの方へ向かい、拳を振り上げる尾田。
『やめて!』
名前が立ち上がるよりも早く、桐生が尾田の腕をつかんで止めた。
睨む桐生の手を振りほどくと、下の様子を見てくると言って階段を下りていった。
尾田が去ると、桐生がマコトと名前に謝罪し、怪我はないかなど心配そうに聞いてきた。
マ「桐生さん、でしたよね?」
桐「ああ」
マコトは、尾田のことで聞いてもらいたいことがあると話す。
マ「私はたぶん・・・あの人を知っています」
桐「え?」
『?』
尾「やっぱ・・・気づいてたんだ」
その時、下に行っていたはずの尾田の声が響いた。
戻ってきた尾田の手には拳銃が握られていた。
桐「尾田・・・!」
尾「動くな桐生」
尾田は拳銃を桐生に向けたまま近づく。
名前はマコトを守るように前に立つ。
桐「ダメだ名前」
桐生はさらに名前の前に立った。
尾「動くなっつってんだ!」
尾田は桐生のすぐ近くまで来ると、マコトの腕を引き肩を掴んだまま頭に銃を突きつける。
マ「きゃあ!」
『マコトお姉ちゃん!』
尾「何してんだ、お前・・・!」
桐生は裏切られた悔しさに拳を握りしめる。
尾「悪いけど、俺はこの女を立華社長に会わせるわけにはいかねんだ」
桐「なんだと?」
名前はマコトが世良からもらった白杖を握る手に力を入れたことに気づいた。
尾「だから・・・お前らには死んでもらうしかねえ」
尾田が桐生に銃を向けると同時に、マコトは白杖に仕込んであった刃を尾田の太ももに突き立てた。
尾「ぐおぉ!」
尾田がよろけた隙に桐生が勢いよく詰め寄り、尾田の拳銃を取り上げた。
そして今度は桐生が尾田に銃口を向ける。
名前は倒れたマコトに近づき、立たせていた。
桐「大丈夫か、マキムラさん」
マ「うん・・・」
マコトは桐生に白杖のことを聞かれると、世良から護身用にもらったということを伝えていた。
次に桐生が尾田になぜ裏切ったのか尋問する。
尾田は、マコトを監禁して中国マフィアに売り、ショックから失明させた張本人だった。
そして立華不動産の社長である立華鉄は、マコトの生き別れの兄だったと。
立華を絶対に裏切らないと心に誓った尾田は、立華にマコトを売ったことを知られないために、マコトの存在をなかったことにしたかったと話す。
尾「俺の他に誰も、俺がその女を殺す動機を知らない。渋澤組か近江連合に殺されたと言や、俺が疑われることはねぇ。
けど、それももう終わりだ」
尾田がそう言うと、下の階から男たちの声が響く。
「おい、こっちだ!こっから上に上がれるぞ」
『さっきの人たち?』
尾「ああ」
どうやら来たのは渋澤組、マコトたちを追ってここまで来たらしい。
マ「尾田さん・・・立てますか!?」
マコトは憎むべき尾田を気遣い、尾田も困惑していた。
そんな尾田に構わず急かすマコトに、尾田はため息をつく。
尾「まだ俺と一緒に逃げる気か?
ったく、どこまでおめでたいんだよ・・・」
呆れたように言うが、どこか晴れやかな顔をしているように見える。
尾「桐生、銃くれねぇか?俺が奴らを足止めする」
桐「なに?」
尾田は、足を怪我しているため逃げられないと話す。
そしてどうせ死ぬなら立華の役に立って死にたいと。
桐「無茶はするな、そうすりゃ命までは取られねぇはずだ」
そう言って桐生は尾田に銃を渡すとマコトを支えて尾田に背を向け歩きだした。