第4話 素性
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外に出たときにはもう辺りは暗くなっていた。
真「寒うないか?」
『・・・大丈夫』
真島は名前に気遣いながらも、頭の中ではこれからのことを考えていた。
自分が東城会に戻るにはマコトを殺す、
それがイヤなら、リスクは負うが李の計画に乗るのが一番良い方法だ。
自分の流儀と言ってどちらもしなかったことに後悔はなかった。
しかし、何もできない自分を不甲斐なく思っていた。
帰り道公園を見つけると、ゴミ箱に持っていた紙袋を捨て帰路についた。
ーーー
アパートに着くと、真島と名前は静かに座り込んでいた。
その沈黙を破ったのは名前だった。
『・・・・・嫌いになった?』
真「あん?なんや急に」
真島は突然言われたことに驚くが、さっきの話のことだろうと思った。
『吾朗ちゃんが嫌がってる殺し・・・私、前世で散々やってきた。
しかも命令されたら老若男女問わず誰でも殺った』
真「殺し屋言うてたからな。
誰かに雇われてたんか?
あ、言いたなかったら言わんでもええで」
『・・・生まれたときから組織に買われて、殺し屋として育てられたんだ』
真「生まれた時から・・・」
『私はもう真っ黒で、手は血で汚れて・・・真っ当な人間じゃない・・・』
膝を抱えて座り、膝に顔を埋めながら話す名前。
真島は名前の手に自分の手を添え話し始める。
真「それは今のお前やない。
今のお前はこないにキレイな手、しとる。」
名前は自分の小さな手を見る。
そこには血を洗い流した後の手荒れも、傷もなかった。
真「嫌いになったかって話やったな。
なるわけないやろ。
そない不安そうな顔をしとる女の子嫌いになれっちゅう方が難しいわ。
それにきっと前世の名前に会うても嫌いにはならへんよ。名前は心もキレイやからな」
真島は自分で口説き文句を言っているように思えて苦笑いした。
『・・・まだ、一緒にいていい・・・?』
名前は涙を堪えながら真島を見、不安げに聞いた。
真島は、名前が怯えていた理由を察した。
名前は真島に見捨てられることに怯えていたのだ。
きっと前世でも愛される生活などしていなかったし、今だって母に虐待され捨てられた。
なによりも人の愛に飢え、存在を認めてもらいたいのだろう。
真「安心せぇ。一緒におってええ。
むしろ今はもう一緒におらんと危険や。離れたい言うても俺が許さへんで」
『っ・・・く・・・ありがと・・・』
名前は声を殺して泣く。
真島は落ち着くまで背中を擦ってくれた。
『・・・・すぅ・・・すぅ』
真「(寝てもうたか)」
泣き疲れ、真島に寄りかかって眠る名前を布団に寝かせる。
真島も名前の隣に横になる。
しかし、今日も真島は眠れない夜を過ごした。
マキムラマコト殺害の期限を過ぎてしまっていたからだ。
真島は夜通しこれからの立ち回りを考えていた。
夜寝るのが遅かったからか、お昼くらいまで寝てしまった名前。
起きてご飯を食べていると、真島が今日は倉庫に行かず仕事に向かうと話す。
『もう佐川にバレてるんでしょ?一緒にいること。
じゃあ私もグランドに行った方がいいかな』
真「そうやな。」
準備を終えると夕方に近い時間になっていた。
早速2人はグランドに向かうことにした。
グランドの開店前に着き、事務所に入る。
事務所には店長がいた。
店「あ、支配人!おはようございます。
今日は名前ちゃんも一緒だったんですね」
『こんにちは』
店長は、先ほど真島に李から“今すぐ店に来て欲しい”と電話があったと話す。
『どうするの?』
真「行くしかないやろ」
結局真島はグランドの仕事をする前に李の店である“ほぐし快館”に向かうことにした。
ほぐし快館に入ると、李はベッドに座って一服していた。
真島が来たのを見ると真島に歩み寄りながら話す。
李「おう真島、よう来た。待っとったで!」
真「おう、ちょう待て。なに興奮しとんのや」
真島は訝しげな顔で李を見る。
李はそんな真島を差し置いて話を続けた。
李「お前、水くさいやないか。たった1人で・・・・
せやけど、これで一件落着や。
ようやったで真島!」
真「何の話や」
李「何って・・・お前、殺ったんやろ?
あの写真の女」
名前はついていたテレビに目を向けると目を見開いた。
『吾朗ちゃん、テレビ見て』
真「あ?」
テレビではニュース速報をしていて、女性の遺体が蒼天堀で発見されたと言っていた。
遺体は激しく損傷していたが、着ていた衣服からマキムラマコトだと思われると。
真「なんや・・・これは?」
真島も開いた口が塞がらないという様子だった。
李「おい、お前が殺ったっちゃうんか?」
真「俺は・・・殺っとらん。
殺るわけないやろが!」
李は、真島が持っていった服を着ていたと話す。
朝警察が来て身元確認のために遺体の写真を見せられたと。
『どういうこと・・・?』