第3話 マキムラマコト
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ジリリリリン・・・・
『!』
名前は突然の音に驚き目を覚ます。
近くで寝ていたであろう山形が電話に出ると、真島からだったようだ。何か一言二言話して電話を切っていた。
時計を見ると6時過ぎ。
こんな朝早くに何があったのだろうか。
『どうしたの?』
山「ようわからんが、真島はんがオデッセイの倉庫貸して欲しいらしい。
ちょっと様子見てくるわ」
立ち上がる山形に、名前も立ち上がり一緒に行きたいと話す。
山形は、ここに1人残すわけにいかないと思い了承した。
山「ちぃと歩くで。ほとんど使わん物置やからな」
『うん、大丈夫』
2人でオデッセイの倉庫まで行くと丁度真島が出てきた。
真「名前も来たんか」
『吾朗ちゃん!』
名前は真島の所へ駆け寄る。
真島は名前を見て昨夜の出来事で張りつめていた心身が少し落ち着いた感覚がした。
真「山形・・・色々すまんかったな。
もう名前預かるで」
山形は貸しだと言って去っていった。
『何があったの?』
真「・・・色々あっての、こん中に目ぇ見えん女の子がおる。
名前もちょっとここにおってくれんか?」
『うん、いいよ』
ギィイ、と音を立てて倉庫の扉を開ける真島。
一番手前の大きなソファに若い女性が蹲っていた。
真「俺や、入るで」
女性は顔を上げた。視線は合っていない、やはり目が見えないようだ。
真「で、あともう1人おる。
訳有りで俺が預かっとる5歳の女の子や。
ええ子やから安心しぃ」
『こんにちは』
マ「・・・こんにちは」
真島は、2人でここで過ごしているよう話し、「李んとこ行ってくる」と言ってすぐに倉庫から出ていった。
名前はマコトの隣に座り話し始めた。
『私名前っていうの。
お姉さんのお名前は?』
マ「マコト・・・」
『マコトお姉ちゃんだね!』
マ「うん」
名前は、夜の間に何があったのかわからなかったが、マコトが不安そうな顔をしているため、世間話をして過ごすことにした。
仕事のことを話すマコトは少し嬉しそうで、心が落ち着いてきたのか笑顔も見られた。
マ「名前ちゃんは・・・何であの人といっしょにいるの?」
しかし突然真島の話になり、笑顔がなくなった。
『え?』
マ「あの人は・・・どんな人?」
『んー・・・優しいよ、とっても優しい人。
だって、娘でもない私に良くしてくれてるもん』
マコトはそっか・・・と複雑そうな相槌をうつ。
『何かあったの?』
マ「・・・あの人は・・・・・・私を、殺そうとしたんだって」
名前はやっぱり、と思った。
マコトは小さい子に話すことじゃないよね、と焦るが『大丈夫、きくよ』と言うと昨夜の出来事をポツポツ話し始めた。
自分が勤めているマッサージ店に真島が来たこと、ヤクザも来て襲われそうになったこと、真島に助けられてこの倉庫に逃げきたが真島に自分は殺し屋だと言われたこと。
話すときに、マコトはずっと真島を“あの人”と呼んでいた。もしかしたら名前をあえて言っていないのかもしれないと察し、名前も言わないようにした。
『やっぱり優しい人だね。』
そんな話をしていると、真島が帰って来た。
『あ、おかえり』
真島「おとなしくしとったか」
マコトはマッサージ店で撃たれた上司の李の心配をする。
真島が無事だと伝えると安心したように息を吐き出した。
マ「でもそれじゃ・・・“あの話”も、全部聞いたの?」
『?』
真「ああ」
真島の返事に俯くマコト。名前は何の話だと言うように真島を見た。
真「長いこと、えらい目に遭うたんやな、お前。
いや、今も似たようなもんか。
自分殺しに来た男と倉庫に缶詰だ。
けど、“蝙蝠の刺青”のことはたぶん、お前が狙われとる理由とちゃう。李もそう言うとった。」
それを聞くとマコトは静かに泣き始めた。
『マコトお姉ちゃん・・・・』
真「つらいこと思い出させたな」
名前はマコトの背中をさすり、真島は名前を挟んだ隣に座った。
そして自分の話、過去の話もした。
片目が見えないことや組長に監禁され拷問を受けていたことを。