第3話 マキムラマコト
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山「名前は?」
『・・・名前』
山「名前やな、とりあえずこの店でゆっくり過ごし」
『ありがとう』
山「ちゃんとお礼言えて偉いのう」
フッと微笑む山形。
話しながら事務所の方へ向かう。
名前は、周りを興味津々に見ながら歩く。
山「グランドには行ったことあるんか?」
『じむしょ?には行ったことあるよ、チョコもらった』
5歳児らしく話す名前。
事務所に入るとソファに座っていいと言われた。
山「夕方にならんと人も来ぉへんし、何か遊んで待っとき」
『えっと、おじさんは?』
山「おじ・・・山形や。ちなみにまだ兄ちゃんの年やと思っとったんやが」
『じゃあ山兄ちゃん』
山形は一瞬固まるが、子どもの言うことだと思い、了承した。
『山兄ちゃんはこれからなにするの?』
山形は、やることもないから掃除などをすると言っていた。
『おてつだいする!』
さすがにただここいるのも暇だし、預かってくれているお礼として手伝いをしようとする名前。
今までの落ち着いている名前の様子を見て物を壊したりするような子ではないとわかったようで、手伝いしても良いと言ってくれた。
『このキレイなカベ、拭けばいい?』
山「おおきに」
名前は壁を雑巾で拭いている。
掃除をしたりご飯を食べたり、お昼寝をしたりしているといつの間にか夕方になっていた。
ボーイ「おはようございます」
山「おう、おはようさん」
一番に出勤してきたのはボーイの男だった。
爽やかな挨拶をしたあと、山形の後ろにいる名前を見つけて不思議そうにしている。
ボーイ「支配人、お子さんいたんですか?」
山「俺の子やない、知り合いの子や。
1日預かって欲しい言われてな。みんなで世話してくれんか」
ボーイ「わかりました!他のスタッフが来たら言っておきますね」
ボーイはそう言って自分の仕事を始めた。
山形はもうすぐ女性スタッフが出勤する頃だから相手してもらうよう名前に話す。
話をしてすぐ、女性スタッフが出勤してくる。
山形に挨拶すると、名前を見つける。
「わぁ、可愛い!支配人のお子さんでっか?」
山形は、ボーイに説明したことをまた話した。
「お名前は?」
『名前』
「名前ちゃんやな!お姉さんたちの部屋に行って一緒にお話しよか」
『うん』
その女性に手を引かれ、控え室に行く名前。
「好きなイス座っとき!」
『う、うん・・・・・おねーちゃん、むり』
オデッセイのホステスの控え室のイスは高く、乗れなかった。
そんな名前に悶えるホステス。
「可愛いわぁ。抱っこしたるよ」
抱っこしてイスに座らせてくれるホステス。
それからたくさん女性スタッフがやってきて、名前を見るなりキャー!と黄色い声をあげた。
「お菓子食べ」
「何歳なん?」
「どこの子?」
『えーと・・・』
ホステスの勢いに押されながらも、誰かに感心を持たれた経験が浅かった名前は嬉しそうにひとつずつ答えていった。
開店したようで、ホステスたちが呼ばれていく。
控え室に誰もいなくなった時に、ふぅ、とため息をついて化粧台に突っ伏す。
『(吾朗ちゃん大丈夫かな・・・・・・・・・・)』
真島のことを考えていると、いつの間にか眠っていた。
「あれ、寝とるよ」
「寝顔も可愛いなぁ」
「癒されるわぁ」
ホステスの疲れを癒すマスコット的な名前だった。
途中、ホステスを呼びに来たボーイが座ったま寝かせるのも可哀想だと言って抱っこし、事務所のソファに寝かせに行く。
閉店時間になっても名前は起きなかった。
従業員は全員、名前の顔を見て疲れを吹き飛ばして家に帰っていく。
山形はさすがに家に名前を連れて帰るわけにもいかないと思い、オデッセイに泊まることにした。