第40話 真島の死
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『たこ焼きでも食べて帰ろう』
たこ焼きを買って蒼天堀沿いのベンチに座って食べる。
あの頃と変わらない味、変わった景色、変わった自分。
『大人になったなぁ・・・』
そんなことをしみじみ思いながら食べ進めた。
若干涙が滲んできたが、たこ焼きの紅生姜が辛かったとでもしておこう。
『・・・・(見られてる?)』
名前はどこかから視線を感じた。
目だけで怪しい人物を探したが特に見つからない。
パパっとたこ焼きを食べて駅に向かうことにした。
『・・・ついてきては、ないかな・・・』
駅の方まで向かうと、もう視線は感じなくなっていた。
何だったのだろうかと不思議に思い、警戒しながらも電車に乗り、今日泊まるホテルのある駅に向かった。
遥に会う以外、何も考えていなかった。
ホテルのキャンセル料を取られるのも癪だから、と周りを散策したり買い物を楽しんだりしながら大阪での時間を過ごした。
2日後
『花枝さん、お土産です』
花枝「あら、ありがとう。遥ちゃんには会えたの?」
『はい、忙しいみたいで少ししか話せませんでしたけど。ほぼ一人旅でした』
出勤し、花枝と世間話をしながら開店の準備を始めた。
『・・・・・!(また・・・)』
また感じる視線。
蒼天堀から遠く離れている神室町で、何故と思っていた。
『花枝さん・・・』
花枝「なに?」
『私がいない間、変わったこととかありました?』
もしかして自分のいない間に来た知らない誰かが弁当屋を狙っているのではないかと思った。
花枝は特に何も無かったと言う。花枝はこの視線に気付いていないようだ。
『(私に向けられた視線か、それとも花枝さんか)』
とりあえずは様子を見ることにした。
仕事中ずっと視線を感じていたわけではない。ストーカーなどの線は低そうだ。
『花枝さん・・・』
花枝「何?」
『何か、今日少しだけ視線を感じてたんです。ずっとじゃないですけど』
花枝はげんなりした表情になった。
ストーカーか何かか、と思っていたようだ。
どちらに向けられた視線かわからないため、用心するに越したことはないと伝え、退勤した。
『はぁ・・・』
ため息をつきながら家路につく。
家に帰るまでにも視線が感じられたのだ。
コンビニに寄ったり、本屋に寄ったりして時間を稼ぎながら帰るも、ずっと見られている感覚がする。
『(誰も頼れないのに、何かあったら面倒だなぁ)』
家の場所が知られても嫌だが、ここから急にホテルに向かって尾行を撒こうとすれば相手を刺激しかねない。
マンションまで行き、何階の何号室かだけはバレないようにエレベーターの乗り方や部屋への行き方を配慮しながら向かうことにした。
そして一応西田にも連絡を入れておく。きっと忙しいだろうからメールなんて見てられないだろうと思いつつ。
しかし返事はすぐに来た。
忙しいから頻繁に顔を出すのは無理だけど、できるだけ弁当屋に様子を見に行くね、と。
忙しいのに気を遣わせて申し訳ないと伝え、携帯をしまうと身体を休めることに集中した。
ーーーーーー
数日同じような状況が続いていた。
何故何もしてこないのか、何が目的なのか全く掴めない。相手も名前が動き出すのを待っているのだろうか。
となると、何か試されているという可能性が浮かんでくる。
自分が何か特別な動きをするのを待っているのかと思った。例えば、遥と接触したことで、遥のストーカーに恨みを買ってしまった、とか。
真島が亡くなって怪しい動きをしていないか、とか。
考え出すとキリがない。
なにせ、神室町に来て10年、いろいろな人と関わり、いろいろな事件に巻き込まれていたのだ。
『もうわかんないや』
考えてもわからない。
とりあえず仕事に向かおう。
花枝「名前ちゃん、最近どう?まだ変な視線感じてるの?」
『ええ。何なんでしょ。気持ち悪いったらありゃしない』
小さい声で話しながら仕事を進めていく。
時々真島組の人が来てくれたが、気落ちした様子だったため、視線のことは深く言えずにいた。
『お疲れ様ですー』
今日も視線を感じつつ一日の仕事が終わった。
視線を感じることに慣れてきてしまったのもあるが、普通に家に帰るようになってしまっている。
今日も自宅の最寄り駅まで電車で来ると、マンションに向かって歩き出した。
マンションが大通りに面しているため、何かあったら誰かに見られるためここでは何もしてこないだろうと高を括っていたことを後悔することになる。
ガバッ!!
『むぐっ!?』
誰かに口元を押さえられ、身体を拘束される。
大通りなら手は出せないだろうと思っていたが、違ったようだ。周りの人が悲鳴をあげてもお構い無しに拘束した名前を車に押し込み勢い良く発進した。
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