第39話 沖縄旅行
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綾子「私からも、聞いていい?」
『どうしたの、そんなに改まって』
手巻き寿司を食べながら小学生の人生相談に乗るというのはだいぶシュールな光景だ。
綾子「名前お姉ちゃんは、大学は出た?」
『ううん、出てないよ』
綾子「そうなんだ」
綾子は大学を出ることを考えているのだろうか。頭の良い綾子のことだから、いくらでも入れる大学はあるだろう。
なぜそんなことを聞くのかと尋ねると、以前遥が芸能事務所の社長にスカウトされているのを見ていたという。
綾子「歌手になって大成すれば、アサガオも安泰だって話してて・・・」
『あー、大学はお金がかかるもんね』
遥が大学に行かずに仕事をして、アサガオにお金を入れるようになったら、自分たちもそうしなければならないと感じるのは当然だ。
大好きな、頼りになる遥がしていることの後を追いたいとそう思っているのかもしれない。
遥「そんなこと思ってたの?」
遥は、自分にスカウトが来たことで綾子を不安にさせていたと知り、困惑の顔を浮かべる。
『私が大学に行かなかったのは、施設生活でお金が無かったからじゃないよ。むしろ必死に高校生の時にバイトして結構貯金あったんだよ』
綾子「それなのに、なんで?」
『行きたいところがあったから』
桐「・・・・」
桐生は、そのお金で真島を探しに神室町に行ったのだろうと理解した。
『会いたい人がいたの』
大学を出て探してもよかったのだが、授業の時間も推しい。弁当屋で働きながら外の人込みを見て探す方が良いと思ったのだ。
『将来を決めるのは、お金の問題もある。けど、お金はいつかどうにかなるから、自分がどうしたいか、じゃないかな。
誰のために生きたいのか、何をしたいのか。まだ時間はあるからゆっくり考えな?』
綾子「・・・うん、わかった」
遥「名前お姉さん・・・」
『ま、そんなとこだよ。アサガオのみんなは素直だからきっと大丈夫だよ』
そう話すと、手巻き寿司を楽しもうと言ってそちらに集中した。
子どもたちも名前の話に耳を傾けており、少しスッキリしたような表情になっていた。
子どもたちは満足したようで、挨拶をした後順番にお風呂に入ったり遊んだりしている。
名前は桐生、遥とともに片付けをしていた。
遥「会いたい人って、真島さんのこと?」
『え?・・・うん、そうだよ』
遥は先ほどの話を振り返っていた。
遥「すごいなぁ、名前お姉さんは。度胸があるね」
『・・・』
それは遥も一緒ではないか、と思った。むしろ自分より度胸があるかもしれない。10歳にも満たない年齢の時に1人で母を探して神室町に来て、いろいろなことに巻き込まれていた。
名前は前世の記憶があったから、様々なことを理解しうまく立ち回れる部分もあった。
遥はきっと母に会いたいという気持ちだけで、他の情報も無く動いていたのだ。それを度胸があると言わずなんと言うのか。
『遥ちゃんも人生は一度きりだから、やりたいこととか大切にしたいことをゆっくり考えると良いよ』
遥「うん」
そうして夜は更けていった。
翌朝
『じゃあ、みんな元気でね』
子どもたちに挨拶をすると桐生の車に乗り込む。
空港に向かうまでの道のりは世間話をし、途中でお土産を買いながらのんびり進んだ。
『桐生さんも、ありがとうございました。』
桐「こちらこそ、子どもたちも良い刺激をもらったようだ」
『また来ますね』
桐「ああ」
軽く話をし、名前は空港に入っていく。
楽しかった沖縄も終わり。明日からはまた仕事を頑張ろうと思っていた。
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翌日
『おはようございます、お休みありがとうございました』
花枝「おはよう!沖縄どうだった?」
『楽しかったです』
花枝にお土産のちんすこうを渡しながら答える。
アサガオでは、子どもたちと色んな話をしてきたことを伝えた。
花枝「名前ちゃんもちっちゃい子たちに人生を説くようになってきたのね。月日が経つのは早いわね」
しみじみしている花枝にクスッと笑い、『ありがとうございます』とお礼を言った。
なぜ自分にお礼を言うのだという表情をしていた花枝、なんとなくだと答えると更に首を傾げていた。
『今日も頑張ってお弁当売りましょう!』
花枝「そうね。きっと名前ちゃんの帰りを待ってた男どもがいっぱい来るわよ」
『ふふっ、嬉しい限りです』
開店と同時に来た真島組の人にもお土産を渡して軽く土産話もしながら過ごした。
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