第38話 ホルモン
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『このバッティングセンター、何回も来てるね』
吾「せや。兄弟とも来とるし桐生チャンとも何回も来とる。思い出の場所や」
『吾朗ちゃん上手なの?』
吾「俺の豪快スイングを見る前に名前がやってみぃ」
『ええー・・・』
名前は乗り気ではなかったが真島の押しに負け、バッターボックスに入った。
『ねぇ、怖いって!』
吾「野球は初めてなんか?」
『小学生以来っわぁ!』
ピッチングマシンから繰り出される球に驚いてしまい、バットを振ることも叶わなかった。
ボールを見送ったり空振りするたびに大笑いされる。
『もう!吾朗ちゃんがやって!こんな細い棒に当てる方がおかしいって』
半分キレながら真島に言う。
真島は笑いながらバッターボックスに入っていく。
その時、バッティングセンターの入り口が開き、冴島がやってくる。
ちょうどピッチングマシンから球が投げられた。
ブン!
スカッ
コロコロコロ・・・・
それはフルスイングの空振りだった。
冴「どないしたんや、調子悪いやないか」
『(あ、吾朗ちゃんが下手なわけじゃないのね)』
大口を叩いて実は下手でした、というわけではなかったらしい。冴島の口ぶりからは、結構打てるのだろうと推測できる。
吾「さっきお前にマズい肉食わされたせいや。
っちゅうのは冗談で、最近前は打てた球が打てへんねや」
冴「目、悪なったんちゃうか?」
さすがにもう40代半ば。身体に衰えを感じているのだろう。真島は、3年間刑務所で生活するのは身体に堪えるのではないかと心配していた。
しかし冴島は、それを25年続けてきたから心配いらないと答える。
それを聞くと真島はニヤリと笑ってバットを高く振り上げる。するとそれが合図かのように奥から男たちがやってきた。
『え、なに、聞いてないんだけど』
冴島も、サシでのケンカをするかもしれないとは思って来たようだが、そうではなかった。
真島は今回は戦わないらしい。冴島が刑務所で暮らしていけるかその目で見ておくという。
『いいの?吾朗ちゃん・・・』
冴「兄弟、お前ホンマに後悔せえへんな?」
もしかしたら、今日でもう今生の別れになるかもしれない、そんな世界を生きているのに悠長に見物などしてて良いのかという。
真島は冴島と目を合わせず「わかったわ」と呟いた。
『吾朗ちゃん・・・?』
始まる冴島と真島組との喧嘩。
冴島は圧倒的な力で、真島組の構成員を倒していった。
真島は既に冴島の強さを知っていた。
しかし、構成員に喧嘩をさせたのには理由があったのだ。
自分はもう冴島の相手は出来ないほど老いてしまったと。
吾「東城会支える仕事ばっかりしとったら、いつの間にか牙抜けてしもうた。
もう、俺の時代は終わったんや!」
バットを振りながら言う。きっとそのスイングも全盛期に比べたら全く威力がないのだろう。
冴「何弱気なこと言っとんねん。兄弟らしないで」
『うん・・・吾朗ちゃんらしくないよ』
しかし、真島は自分のことは自分が一番わかっていると言う。
自分は弱くなってしまったから、冴島には強いままでいてほしかったと、今日はその強い冴島が見られてホッとしたと話す。
吾「力失うた人間は、力ある人間にその道譲らなアカン。
冴島、お前は東城会の力や。絶対に強いまま神室町に戻ってくるんやで」
冴「・・・ああ」
冴島は真島の意志を汲み、強く頷いた。
その時、サイレンの音が近づいてくる。パトカーがこちらに向かってきているようだ。
吾「名前は裏口から出させてもらい。きっと入口は目立つやろから」
東城会の幹部、そして冤罪ではあったが脱獄囚が再び収監されるのだ。マスコミもきっと来ているだろうと、名前を裏口から外に出るように促した。
『冴島さん、待ってますからね。吾朗ちゃんと冴島さんの絡み、私好きなんですから』
そう言うと裏口の方へ歩いていった。
冴「名前も、弁当屋潰すんやないで」
『3年後にはホルモン弁当もメニューに入れてもらいますから!』
遠くから声を張り上げ、冴島に伝える。
冴島は「焦げるまで焼くんやで」と返事をし、入り口の方へ向かった。
ーーーーーーーー
数日後
〜♪〜♪
仕事を終え、家でゆっくりしていると携帯が鳴る。
画面を見ると“桐生さん”の文字。
珍しいな、と思いつつ電話に出る。
すると桐生の声ではなく、可愛らしい女の子の声が聞こえた。
『えっと、遥ちゃん?』
遥「うん、私。名前お姉さんだよね」
相槌を打ち何か用か聞くと、沖縄に遊びに来ないかということだった。
児童養護施設の子どもたちに名前の話をしたら、会いたいと言っていたため一緒に話をしてほしいと。
すぐに休みはもらえないから少し先になるからいいかという話をし、数分世間話をした後電話を切った。
『児童養護施設、か・・・』
自分も真島に拾われた後に東北の施設に行ったこともあり、親近感は湧いていた。
しかし、自分が行って何になるというのだろうか。
世話になった桐生の娘同然の遥に頼まれたのだ、断りはしなかったがあまり気乗りはしていなかった。
とりあえず明日花枝に相談してみようと思った。
翌日
出勤して開店の準備をしている時に、休みをもらえないかの話をしていた。
花枝「いいわよ!1週間くらい行ってらっしゃい」
『え、そんなに、いいですよ』
快諾し、思った以上に休ませてくれそうな花枝に、手をブンブン振って遠慮する。
『3日とかで大丈夫ですっ』
花枝「遠慮しないの。名前ちゃん全然お休みしないから、こういう時くらいゆっくりしてきな」
『でも・・・』
花枝「名前ちゃん狙いの客にはちゃんと言っとくから」
『それは別に心配してないんですけど』
やはり、2人でやってきた店だ。自分の都合で1週間も休むのは気が引ける。
しかし、花枝の押しに負け、言葉に甘えさせてもらうことにした。
最近押しに負けることが多いなと思った。
飛行機の都合や店の都合などを考慮し、1か月後くらいに行くことに。
家に帰り、沖縄に行けることやその日にちを連絡した。
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