第3話 マキムラマコト
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『ん・・・・』
朝名前が起きると、真島は窓を開けて一服していた。
名前が起きたことに気づくと、タバコを消し窓を閉め挨拶する。
『早いね』
真島はいつ寝ていつ起きているのだろうか、むしろ寝ているのだろうかと心配していると、真島が真剣な顔で見てくる。
真「名前・・・・あと数日、俺はここに帰ってこれるかわかれへん。」
『?』
真「ちょっと頼みがあるんやけど、今日1日俺の知り合いの所に行っててくれんか?
ちゃんと連絡はとるさかい、安心せぇ」
真島は、佐川からマキムラマコトという人物の殺害を依頼されたことでほとんど眠れない夜を過ごした。
起きている間に今後のことを考えているとなおさら目が冴えてきてしまっていた。
その時に、情報収集や移動、自分の仕事のことなどをこなしつつも名前が一日中1人になってしまわないようにする方法を思い付いた。
キャバレーグランドのライバル店、オデッセイの支配人である山形に交渉してみようと。
『知り合い?』
真「ああ。顔は怖いがまぁまぁ話がわかる奴や」
『吾朗ちゃんが言うなら・・・』
真島はポケベルを出し、何か入力していた。
入力を終えるとポケベルをポケットにしまい、名前に向き直った。
真「とりあえず飯食べよか」
ご飯を食べている間にポケベルが鳴る。
真「アポはオッケーや。食べ終わったら出掛けるで」
『うん』
真「急がんでええよ」
おにぎりを頬張っていると、真島が微笑んで見てくる。
食べ終えるとグランドの従業員が買ってきてくれた服に着替えた。
真「ほな行こか、ちゃんとついて来ぃや」
『うん』
アパートを出ると、真島は名前の前を歩いていく。
向かった先は、キャバレーオデッセイ。
『ここは?』
真「その知り合いがやっとるキャバレーや。
ここで1日お世話んなっとき」
『え、それは相手には言ってるの?』
真「あ?言ってへんよ、これから話そ思うての」
名前は開いた口が塞がらなかった。
まぁ、この時代は固定電話か公衆電話、ポケベル位しか連絡手段がないから仕方がないのだけれど。
真島は名前の手を引いてオデッセイに入っていった。
まだ朝だからか、シーンと静まり返っていた。
「いきなり連絡してきたと思ったら子連れでっか?」
奥から現れたのは目付きの悪いオールバックのお兄さん。
5歳児らしく名前はちょっとオドオドしながら真島の後ろに隠れる。
真「(何やけったいな演技して・・・)
実は山形に頼みたいことがあんねん」
山形と呼ばれた男は訝しげな顔で真島を見る。
きっと嫌な予感でもしているのだろう。
山「とりあえず聞いてみましょか」
真「この子を明日まで預かってもらいたいんや、手はかからんええ子やで」
山「・・・・・・はぁ?」
山形は眉をピクッと動かした。動揺しているようだ。
『(まぁ、そうなるよね)』
真「知り合いから預かっとる子でな、今日俺は色々あって家に帰れるかわからん。
せやから山形に1日預かってもらお思うてのぉ。
別に妻子がおるっちゅうわけでもないやろ?」
山「そりゃそうやけど、頼み事にも限度っちゅうもんがあるやろ・・・」
山形は渋りながらも真島がお願いしてくるとはよほどのことではないかと思っていた。
真「この通りや!」
真島は両手をパン、と合わせてお願いする。
少し考えたあと、山形は話し出した。
山「・・・ホンマに手ぇかからへんのやろうな」
真「そこは保障するで。これ食費と謝礼金や」
山「・・・金なんかいらへん。
しゃあないな。1日だけやで?」
真島が言った通り、山形は顔は怖いが義理堅い人間らしい。真島はお礼を言い、名前を預けて足早にオデッセイを後にした。