第37話 弁当を作る理由
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『・・・ひどい』
名前は涙を流しながら真島の話を聞いていた。
柴田組組長である柴田に騙され、真島は冴島とともに上野誠和会の会長を襲撃することはできなかった。
最後まで真島は冴島のもとに行こうとしたが、柴田組員に拘束されてしまった。拘束した人物は真島を見下し、謝れば痛い思いはしないで済むと脅す。
しかしそんな脅しに屈する真島ではなかった。反抗し、お前には頭は下げないと言うと、憤慨した柴田組員がドスで目を刺したのだ。
冴島も真島もどちらも裏切った、裏切られたというわけではなかった。
柴田組の画策で、冴島は上野誠和会会長の襲撃を1人で行い死刑囚として25年の月日を、真島は左目と兄弟を25年も失った。
真「名前が泣くことやないやろ」
真島は自嘲気味の笑みを浮かべながら名前の頭に手を乗せる。
『蒼天堀の、とき・・・そんな、辛い時期だったなんて・・・』
そのせいで、真島は堂島組に逆らったと見なされ、嶋野に拷問を受け、代紋違いの兄弟である佐川に引き渡されて奴隷同然の扱いを受けていたのだ。
真「せやで。だから名前がおってくれて助かったわ」
真島は懐かしむように話した後、冴島に向き直る。
真「そういうことや。ほな、俺は今日はまだやらんといかんことがある。また連絡する」
冴「・・・ああ」
真「名前は・・・送ったるから、もう帰り」
『うん・・・冴島さん、今日はありがとう』
冴島といたことで自分のことも少し受け入れることができ、真島の過去も知ることができた。
冴島にお礼を言って真島とともにバッティングセンターを出た。
『ごめんね』
駅まで向かっている途中、突然謝る名前に一瞬戸惑うが、真島は少し考え左目のことかと理解した。言いにくい過去のことを聞いてしまったことに謝っているのではないかと。
真「気にせんでええ。名前やって聞きたかったんやろ?何で俺が左目を失ったか、蒼天堀(あんなトコ)にいたんかを」
『うん。やっぱり吾朗ちゃんは吾朗ちゃんだって思った』
真「何やそれ」
『真っ直ぐで、優しくて、義理堅くて凄いなぁって』
真「褒めてもな〜んも出んからの」
少し照れているのか、ちゃらけながら返事をしている真島を見てフフッと笑いが込み上げる。
『冴島さんにね、私のこと言ったんだ』
真「前世のヤツか?」
前世のことだけでなく、大阪でのことや施設に行ったこと、松崎のことも話したと教える。すると全て話したのかと真島は目を丸くした。
『やっぱり冴島さんは吾朗ちゃんの兄弟分なんだなって思った。受け入れてくれたから』
真「ま!俺が選んだ男やからのう!」
冴島だけでなく、自分も間接的に褒められているとわかると、照れたように大声で話す真島。
そう話していると駅に着いた。
真島と別れ、ホームに向かう。
『(でも、冴島さん脱獄囚だった・・・どうなっちゃうんだろ。もう2人にも辛い思いしてほしくないな)』
そう思いながら家路に着いた。
ーーーーーーー
数日後
『いらっしゃいませー』
いつものように弁当屋の店頭に立ち、客の対応をしている名前。変装して冴島と一緒にいるところは誰にもバレていなかったようで何も変わらない日々を過ごしていた。
花「なんか曇ってきたわね」
『ええ。夜には降るんですかね?』
外を見ると、太陽が雲で隠れてしまった。周りの雲も色が濃く雨が降りそうな天気だ。
今日は早めに店じまいにしようという話になり、それまでは何時も通り弁当を売ることに。
花「あれ、桐生さんじゃない?」
『ホントだ、なんか女の人と一緒にいる』
桐生は沖縄で児童養護施設を経営していると聞いたが、なぜ神室町にいるのだろうか。
花「・・・こっち来た」
桐生は2人をチラと見ると、客が少ないことに気がついたようで店に近づいてくる。女性はその場で待っているようだ。
桐「久しぶりだな」
『はい、帰省ですか?』
桐「まぁ、そんなところだ。今日はこの辺で何かあったのか?」
周りをキョロキョロ見ながら言う桐生。
特に何も気にならなかったため、一緒に辺りを見ながら何も無かったことを伝えた。
桐「いや、やけにざわついてて警官も多いと思ってよ」
そういえば何回か通りを警官が通ったのを見た。
冴島が神室町にいると情報が入ったのかもしれない。
『何でしょうね』
花「ま、この街じゃよくあることじゃない?」
花枝は深く考えていないようだった。
まぁ、何かあったとしても花枝には全く関係のないことだろう。
ポツ・・・
『あ、雨・・・』
ポツリポツリ雨が降り始めた。桐生は挨拶をして女性を連れ、神室町の街中に消えていった。