第36話 真島と冴島
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冴「それがわかっとんのやったら、何でこんなことしてんねん!?
俺は25年前の裏が知りたいんじゃ!何でお前があの日来えへんかったんかを知りたいんじゃ!」
必死に真島を見つめながら語りかける冴島。
反対に真島は、冴島を見ずにバッティングを続けようとする。
真島にピッチングマシンから出たボールが剛速球で向かう。
真島がバットを振りボールに当たるその瞬間、
バシッ
真「!」
真島のバットからインパクト音はしなかった。
空振ったわけではない。ボールは真島のバットに当たる前に冴島に掴まれたのだ。
冴「答えろや、兄弟」
真島は冴島を一瞥すると鼻で笑った後バットを落とし、打席とピッチングマシンの間、広い空間に向かう。
『もしかして・・・喧嘩?』
真「何してんねや?早よこっち来いや。忘れたんか?俺らの約束。
一度この世界に足を踏み入れた以上、義理は貫き通す。絶対に口は割らん。
それをもし裏切ることがあったら、そん時はたとえ兄弟であっても、殺す」
真島と冴島が兄弟の盃を交わした時の約束だという。名前は、極道の世界はやはり甘くないのだと悟った。そんなに簡単に盃を交わせるものではないのだと。
真「どんな理由があろうと、俺はお前を裏切った。笹井の親父を助け出せんかった」
真島は本気で冴島と戦う気なのだろう。
ジャケットを脱ぎ、背中の般若を曝け出した。
そして冴島にも脱ぐよう要求する。
真「昔みたいに殴り合うて決着付けて、俺に言い訳させてくれや。お前が俺に勝てたらの話やけどな」
真島はドスを出しながら冴島を睨みつける。
『吾朗ちゃん・・・』
冴「ナメられたもんやな」
冴島も上着を脱ぎ、背中に虎を背負う。
2人は数秒睨み合った後、距離を詰め拳を向けた。
真島はドスを振り回すが、どれも冴島にいなされ躱される。冴島はガタイが良く、身体が重そうだが俊敏に動いていた。
『・・・・』
名前は2人から目を離せずにいた。
兄弟との大事な喧嘩。贖罪のための喧嘩。
真島を応援したい気持ちもある。しかし、今回は真島と冴島の和解のために冴島に勝ってもらいたかった。
その方が、きっと2人のためになるから。
その喧嘩は冴島の勝利で終わった。
冴「どうしたんや、兄弟?もう終わりなんか?もう終わりやっちゅうのか!?」
膝をつき、肩で息をする真島に冴島は叫び拳を振り下ろした。しかしその拳は真島の目の前で止まる。
冴「はぁ・・・」
冴島は疲れ切ったようにバタッと床に倒れ込んだ。それを見た真島も隣に倒れ込む。
冴「なぁ、兄弟・・・」
真「何や?」
冴「お前も俺も、変わったなぁ」
昔は2人ともギラギラしていたが、いつの間にかいい親父になってしまったという。
『吾朗ちゃん・・・冴島さん・・・』
冴「娘みたいな子もおるしな」
冴島は、打席側にそっと入ってきた名前を見ながら話す。名前は自分のことを言っているのかと首を傾げた。
真「名前がおるから弱なった言うんか?」
真島はまだ冴島と名前との関係がいまいちよくわかっていない。名前のことを馬鹿にされたと青筋を立てた。
冴「そうやない。だいたいその眼帯は何や?そんなもんしとるから・・・」
真「これは関係ないわ。もうこの目とも25年の付き合いやからなぁ」
25年。冴島が真島に裏切られた例の日に、真島は左目も失ったと言う。
『吾朗ちゃん、私・・・』
真「・・・聞きたくなかったら聞かなくてええで。ごっつグロテスクで痛い話や」
『・・・聞く』
名前は真島のことをもっと知りたかった。だから、冴島と真島が座っている対面にちょこんと座る。
名前が座ると、真島は眼帯を外した。それを見て言葉を失う冴島と名前。
拷問を受けたであろう傷跡とともに、目が潰れていた。
真「ま、両目があった頃よりも実際弱くなってしもたのかもしれへんけどなぁ。
ま、元が強かったから丁度ええわ」
明るく振る舞いながら冴島に言う。しかし冴島は笑っていられなかった。
真島の潰れた左目は、あの事件と関わりがあるのではないかと思っていたからだ。
冴「お前があの日来んかったんは、その目に関係してんのか!?教えてくれや、兄弟。
あの日、あの時、何でお前は来られへんかったんや?」
『・・・・わっ』
名前が眉間にシワを寄せ話を聞いていると、真島に腕を引かれ立たされた。
真「あの上野誠和会の襲撃計画、あれは多分、仕組まれたことやったんや」
冴島は“多分”という言い方に不審感を覚え聞き返す。
しかし真島は、自分たちをハメたかもしれない人物が殺されたから本当のところはわからないと言う。
冴「誰なんや、そいつは?」
真「柴田や」
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