変態三銃士~お尻マイスター~
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真冬、さおりとは違う路線のため1人で電車に乗っていると、足の違和感に気づいた。
『(あれ、足痛い・・・靴擦れかな)』
3人でいる時には楽しく話しながらだったためあまり気にならなかったが、若干靴擦れをしていたようだ。
『(慣れないものは履いちゃいけないな)』
神室町に着くと、杉浦と待ち合わせしている劇場前広場に向かう。
『文也くん!』
名前は、広場脇の壁に寄りかかってスマホをいじっている杉浦を見つけて声をかける。
杉浦は名前に気づくと一瞬目を見開くが笑顔になり手を振る。
杉「ごめんね、楽しんでたとこ水差したみたいで」
『ううん、ホントに解散する予定だったから大丈夫だよ。帰りは急かされたけど』
杉「ははっ・・・ていうか、今日はワンピースだったんだね。ブーツなんて更に珍しい」
名前は杉浦とデートの時にごくたまにワンピースは着るものの、靴はいつもスニーカーだった。
『だって文也くんとの身長差には慣れたし諦めがついてるけど、真冬さんとさおりさんには追い付きたかったから』
まぁ、無理だったけど・・・と言うと杉浦に笑われ頭をくしゃくしゃ撫で回された。
『そして靴擦れして痛い』
杉「え、大丈夫?」
『ゆっくり歩けば大丈夫』
杉浦は薬局かどこかで絆創膏でも買ってこようと話し、ゆっくり手を繋いで八神探偵事務所に向かいながら薬局に向かう。
杉「あ、コンビニあるね、ちょっと絆創膏買いに行ってくるよ。ここで待ってて」
『え、いいよ!私行ってくるよ!』
そう言うが杉浦はすぐにコンビニに入っていってしまい、結局コンビニ前の歩道で待っていた。
すると
『!』
後ろに誰かの気配を感じた。
振り向こうとすると、お尻を撫でられる感触が。
『やっ・・・』
突然の出来事に咄嗟に手も足も出ずに固まる。
勇気を振り絞って振り返ると、ピンクの陸上選手のユニフォームを着た坊主頭で無精髭、黒縁眼鏡の男がこちらをニヤニヤしながら見ていた。
「小さくて筋肉で引き締まった良いお尻だ、何か運動してるのかい?君は幅跳び、高跳び・・・いや、七種競技も行けるな」
『はぁ!?』
痴漢だと悟り、咄嗟に現行犯で捕まえようとする。
お尻を触っている手を掴もうとすると、
『え?』
一瞬でしゃがみこみクラウチングスタートの姿勢になる変態。
「位置について、よーい・・・ドン!」
そして勢い良く走り出していた。
『はやっ!待って!・・・っ痛!!』
逃げる変態を追おうと走り出そうとした時、靴擦れをしている足を庇って動いてしまった結果、ヒールで足を挫いて転倒してしまった。
そこへコンビニから出てきた杉浦が駆け寄ってくる。
杉「名前ちゃん!どうしたの!?」
『変態・・・痴漢が!お願い、捕まえて!』
変態が走っていった方を指差す。
杉浦が見るともう背中が小さくなっていた。
杉「いやいや、僕でもあの速さはもう無理だし、こんな状態の名前ちゃんを置いていけないよ!」
『っ・・・』
実際座り込んだ名前は立ち上がろうとするが足が痛くてすぐには立ち上がれない。
杉浦はタクシーで八神の事務所に行こうと、タクシーを呼んでくれた。
タクシーを待っている間、1人の30代くらいのお姉さんが声をかけてきた。
そしてあの男は最近神室町を騒がせている変態三銃士の1人の“お尻マイスター”だと教えてくれた。
杉「『お尻マイスター・・・?』」
ーーー
八神探偵事務所にようやく到着した2人。
だいぶ足の痛みは引いたが、杉浦が補助してくれながら探偵事務所のドアを開けた。
杉「こんにちは」
『こんにちはー、あれ?陽介くんと月乃さん』
月「あ、名前さん」
事務所には以前のパンティ教授の依頼人である早乙女兄妹がいて、八神と話をしていた。
『席外した方がいい?』
陽「あ、いや大丈夫ですよ」
八「名前ちゃん今日休みだけどどうした?杉浦が急に来るのはいつもだけど。
てか名前ちゃん足引き摺ってない?」
杉「詳しくは後で話すよ。名前ちゃんちょっと怪我しちゃって、とりあえずここで手当てさせてくれない?
八神さんたちは話続けてていいよ」
名前は空いていた所長椅子に座らせてもらい、ブーツを脱いで患部を見せる。
杉浦は手早く靴擦れに絆創膏を貼り、捻ったところは八神探偵事務所にあった湿布を借りて貼った。
その時、八神たちの方から“お尻マイスター”という単語が聞こえ、反応する杉浦と名前。
陽「え、知ってます?」
杉「さっき会ったよ」
八「さっき会った!?」
全て説明した方が早いと思い、杉浦と名前は神室町に来てからの出来事を話した。
月「名前さんも被害にあったんですね」
『“も”ってことはやっぱり月乃さんも?』
月乃もお尻マイスターに2度も痴漢されたらしい。
お尻マイスターとは、女性のお尻に目がなく、触ってその人に合った陸上競技を教えてくれるという。
陽「ちなみに名前さんはなんの陸上競技が良いって言われました?」
八「やめてくれ陽介くん、それで前かなり怒られたから」
杉「・・・」
杉浦は八神を睨んでいる。
気を取り直してどうやってお尻マイスターを捕まえるかの話を進める八神たち。
最初は月乃そっくりな陽介がオトリになったら良いのではないかと八神が提案するが、陽介は激しく断り、結局月乃がオトリになることに。
『八神さん、ちゃんと月乃さん守ってよ』
八「わかってるよ。名前ちゃんは安静にしてなよ」
『はいはい』
八神、陽介、月乃はお尻マイスター捕獲に向け事務所を出ていった。
杉「はぁ・・・」
杉浦がため息をつく。不思議そうに名前が杉浦をみると、落ち込んだように話し始めた。
杉「僕としたことが、名前ちゃんへの痴漢を許すとはね・・・」
『私も危機管理がなってなかったよ。正直痴漢は初めてだったからさ、動揺してどうしたらいいか分からなくなっちゃった』
杉「でも僕男だし年上だし守らなきゃいけないのにさ」
珍しく凹む杉浦に名前は笑う。
『ふふっ、いつも十分すぎるくらい守ってもらってるよ。
神室町が予測不能なことが起こりすぎってだけだと思う』
杉「そうだね、神室町だからだ」
とりあえず全て神室町のせいにし、気持ちを落ち着かせた。
しばらくすると八神が帰ってきた。
無事お尻マイスターを逮捕できたらしい。オトリになった月乃ではなく陽介がお尻を触られたらしいが。
『陽介くん、災難だったね』
八「ま、しょうがない。
で?大丈夫なの、名前ちゃんは」
名前は大丈夫だと言って足をブラブラ動かして見せた。明日からの仕事にも支障はないと。
八「無理すんなよ?杉浦は何か用だったのか?」
杉「いや、何か手伝うことでもあるか聞こうとしたけど、今日は名前ちゃんと帰るね。
ただ邪魔しに来たみたいになってごめんね」
杉浦は名前の手を引きながら事務所の出口に向かっていく。
八神は気にすんな、またいつでも来いよ、と杉浦に声をかける。
ーーー
『変態三銃士、あと1人いるらしいよ』
杉「まじ?てか変態三銃士ってなに?」
『神室町を騒がせてる変態3人のこと。
例のパンティ教授と、さっきのお尻マイスター、それにもう1人』
杉「・・・頻繁に神室町行かなきゃ」
名前が最後の変態の餌食になってしまわないよう意気込む杉浦だった。
終