第21話 晴れる暗雲
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部室では作戦会議をしていた。
2回戦の相手は特別な戦略は必要としないということで、決勝を見据えた作戦を考えることに。
沖手河は、決勝の相手が2パターンの作戦のどちらかをとってくるだろうと推測し、なんと2種類の機体の同時並行開発を行うと言いきった。
「同時並行開発!?」
部員たちは目を丸くする。
1つの機体を開発するのにも莫大な時間がかかるのに、それを2つも作るのは不可能だと高森が反論する。
沖手河は、全てにおいて最適化すれば試合までに間に合うはずだと話す。
高「いやいや、だからってなぁ・・・
もうちょっとさぁ、検討できねぇの?現実的な案をよぉ・・・」
高森の困惑に沖手河は「これが最適解だ」と押し通す。
『・・・無理しないでね』
八「なんか大変なことになってきたな・・・」
八神と名前も眉間にシワを寄せながら部員たちを労うことしかできなかった。
夜遅くなってもまだまだ開発を続ける部員たち。
八「もういい時間だぞ、まだやるのか?」
桜「やらないと・・・間に合わないですから」
高「くそー!沖手河の野郎、無茶苦茶言いやがって!」
高森の長々とした愚痴に糸倉が皮肉を言う。
そこへ、沖手河が差し入れにとスタミナンXを持ってくる。いい笑顔で。
『(あの笑顔・・・悪気がないのが厄介だよ)』
食べ物を買ってきてくれると思っていた高森は文句を言う。
『八神さん、なにかしてあげよう?』
八「そうだな。
なぁみんな、ラーメンでも食いに行かないか?ご両親が夕飯、準備してなければだけど」
部員たちは喜び立ち上がる。
みんなで中華屋に行き、ラーメンを食べる。
桜「ぐすっ・・・うぅ」
八「桜くん?どうした?」
急に泣き始めた桜に驚く一同。
桜は中学時代ずっと1人でご飯を食べていたという。
今は一緒に食べる友だちがいて嬉しいようだ。
糸「・・・はぁ、やれやれ。ほら、ハンカチ。ラーメンしょっぱくなるよ」
そう言いながらハンカチを渡す糸倉。
『(おっと?)』
名前が甘くなりそうな雰囲気を感じた瞬間
桜「ブビィィイイ!」
ハンカチで鼻をかみ、桜は糸倉にドン引きされていた。
八「・・・みんな、また来ような」
『ふふっ、八神さんも楽しそうだね』
八「まあな」
八神は、自分が経験してこなかった青春を今感じているような表情をしていて、名前も嬉しくなった。
ーーー
数日後
プログラムが得意な糸倉も、いつも仕事が早い高森も手こずっているようだった。
『沖手河くん、顔色悪くない?』
八「ああ、すげぇやつれてるな」
八神が沖手河に声をかけると隈が濃く、頬もこけ、髪もボサボサの顔でこちらを向いた。
思いきり空元気で病は気からと言っている。
そんな追い込まれている様子の沖手河の後ろで車崎が楽しそうに作業しているのを見つけた八神。
しかし、沖手河が進捗の確認に行くと、険悪な雰囲気になっていた。
八「沖手河、どうしたんだ?」
沖「車崎がデザインに凝りすぎて、終わらせるべき作業が進んでないそうなんです」
『え、珍しいね』
桜が車崎を庇うようにロボットのデザインで盛り上がり、そのデザインを見たいと話したからいけない、と話す。
沖「とりあえず2人とも納期は守ってくれ。大切な時期に遊んでるみたいなことはやめてくれ」
車「・・・ち、違うんだ。遊んでたんじゃないんだよ」
車崎が絞り出して意見を話すと、沖手河は責めるように問い詰める。
名前は八神を見るが、今は八神は様子を見ているようだったので名前も口を出さずに見守った。