第19話 プロフェッサー
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ガラ・・・
八神と名前がドアを開けて入ると、一番奥にいた男子生徒が振り返る。
八「どうも。今日から外部指導員をすることになった八神だけど、部長はいる?」
『八神の補助で来た苗字です』
すると振り返った生徒が立ち上がった。
沖「私が部長の沖手河童夢です。理事長から話しは聞いています」
八「それなら話が早い。よろしくな」
八神がそう言うが、沖手河をはじめ周りの部員たちも見向きもせずに作業を進めている。
『こりゃ困ったね』
沖手河は、八神たちにロボットに関する知識はあるか聞く。当然ふたりとも無かったので正直に答えると部員からはため息が漏れる。
そして沖手河からは外部指導員など必要としていないときっぱり断られる。
とりあえず邪魔はしないから時々見に来る、という形でOKをもらうことに成功した。
八神は挨拶がてら部員に話しかけている。
名前も部員に話しかけたり周りのものを興味津々で見たりしている。
部員には、工作担当の高森、設計担当の車崎、プログラム担当の桜、あともう1人水崎という陸上部と兼部している生徒がいるらしい。
『?桜くんなんか困ってる?』
名前は桜の様子に気付き声をかける。
どうやらプログラムがうまくいかず困っているらしい。
八「プログラムは門外漢だからな・・・」
そのあと部員たちは練習試合に行くことになった。八神と名前も見学に行こうとする。
高森に舌打ちをされながら。
体育館につくと、高森のスマホが鳴り水崎が部活に来れなくなったと。
水崎はロボットを操縦する役割を頼んでいたが陸上部の練習で突き指してしまったらしい。
『八神さんなんてどう?ドローンの操縦は得意だよ』
沖「八神さんが?」
八「ああ、まぁ。操作には慣れてるな。かれこれ5年くらい使ってる」
沖「わかりました。八神さん、オペレーターをお願いします」
それに高森は食って掛かる。
『まぁまぁ。高森くんは自分の仕事に集中しよ?
工作担当だったよね、より良いロボットを作るために見とこ』
高「・・・わかりましたよ」
無事八神は練習試合に勝利。
沖手河から一目置かれることになった。
高森は何度も舌打ちをして嫌悪感を丸出しにしている。
『(ここまで大人の介入を嫌がるって、顧問の先生はなにをしたのよ)』
何はともあれ、ロボ部に潜入できることになったため、天沢に報告しに行くことにした。
部室へ戻ると、糸倉がものすごい勢いでキーボードを叩いていた。
そしてそれを後ろから称賛する天沢。
八「どうしたんだ?」
天「糸倉さんがミステリのトリックを検索できる事典を作ったんです」
『パソコンで?すごいね!』
糸「まぁね。暇だったから読んだ本のトリックをまとめてみたんだ」
糸倉は照れながらも自信満々に話をするを
しかもただまとめるだけではなくアプリにしてみたと。
八「糸倉、お前・・・プログラムとかできるんだ?」
『ねぇ八神さん。ロボ部の桜くん、プログラムのことで困ってたよね』
八神が糸倉にロボ部を助けてくれないか聞くと、興味ないと即答されてしまった。
天沢、八神、名前がプロフェッサーの話をしていると、糸倉が口を挟む。
糸「ねぇ、天沢先輩。そのプロフェッサーってのだけど、そもそも捕まえる必要ってあるのかな?」
天「え?」
糸「だって、どうせ騙されるのは不良ばっかなんでしょ?だったら放っておけばいいんじゃない?
馬鹿な連中が消えれば少しは学校も過ごしやすくなるかもしれないじゃん」
『・・・(なんか訳ありかな?)』
天沢と糸倉が言い合いになりかけていたところで八神がストップさせる。
八「ま、とりあえずロボ部にまた顔を出してみるか」
今日はそこで解散となった。
帰り道
『八神さん、糸倉さんって何かあったの?』
八「ああ。一時期不登校だったらしい文化祭の実行委員で揉めて文化祭がグダグダだったからとか」
『そっか・・・なんか表情が固いからさ』
八「まぁ、ちょっとひねくれてるからな」
『そんな言い方・・・』
ーーー
次の日の放課後
ロボ部部室に顔を出す八神と名前。
入るとなにやら不穏な空気が流れている。
桜がまだプログラムのことで困っており、沖手河に怒られているところだった。
八「よ、沖手河。なんか手伝うことある?」
『掃除とかでもいいよ』
八神はオペレーターとしてロボットのカスタマイズもお願いされていたようだった。
『(やることないなー)』
名前はというと、特にやることもなくその辺の整理整頓をしていた。
『ちょっとゴミ捨ててくるね』
名前が部室を出ると目の前から1人の女性教師が歩いてくる。
「まったく!あの生意気なロボットオタク!
勝手に外部指導員なんて雇って!しかも2人!」
『あの・・・あなたがロボ部の顧問の先生ですか?』
「あら?あなたは・・・」
名前は自分が外部指導員の補助として入っていることを話す。
芥「あら、そうなんですね。
私は芥ゆかりです。一応ロボ部の顧問です」
2人はロボ部について話をすることになり、食堂へ移動した。
『いきなりなんですけど、ロボ部の生徒と顧問の先生はあまり仲が良くないと聞きましたけど・・・』
芥「そうなんです。私がたまに部活に顔を出してもほぼ無視ですよ。腹が立つったらありゃしない」
『大変ですね。どうしてそんなことに?』
芥「私がコンテストに出るのを反対してるからでしょうね」
芥は、コンテストに出ても恥をかくだけだからと話す。
『(楽しんでやってることに恥とか無いと思うけど・・・)』
色々思うところはあっても、今は信頼を築き聞き取ることが大事だと胸の奥にしまった。
芥はさらに続ける。
沖手河が来てからスポンサーまでつけてそれで惨敗したら世間の笑いだ、コンテストに向けて夜遅くまで残ってるから顧問の自分も残るハメになる、それなのに部室に顔を出したら無視するし態度悪いしで腹が立つ
と捲し立てるように話す芥に、名前は圧倒されていた。
とりあえず話を変えようと沖手河について聞いた。
やはり沖手河はやり手のようだった。
芥「それに、沖手河くんは商店街から大きな予算を引っ張ってきたり・・・その予算だって100万円以上ですよ?」
沖手河の地元、東京の商店街が出してくれたとのこと。
『100万以上!?すごいですね』
芥「それよりも、どうですか?ロボ部の子たちとは馴染めそうですか?」
『・・・正直、まだ距離を感じます』
芥「そうでしょうね。あの子たち大人が嫌いだから。まぁあの年代の子たちによくあることですよ。大人はわかってくれないって思ってるようです」
『(あなたのせいじゃ・・・)まぁ、熱心で素直な子たちだと思いますよ。』
芥「はー、なんか色々吐き出したらスッキリした!それでは私はこれで・・・」
芥はスッキリした顔で去っていく。
『(先生もいろいろ溜め込んでるようだけど、一番は生徒なんだよなぁ)』
名前は部室へ戻る。
八神の手が空いていたため、廊下に呼んで今の話を伝える。
八「ロボ部の生徒と顧問の溝は深いな・・・」
『うん。』
沖「八神さん、今日も練習試合行きますよ」
八「了解」
『じゃあ、私は一回ミス研の部室行くね』
第19話 終