第16話 桑名の目的
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翌日、夜
八神、名前は、杉浦の運転するバンで東池袋にある間宮由衣のマンションへ向かった。
ピンポーン
八神がインターホンを押すと間宮由衣の返事が聞こえる。
八「どうも、先日お邪魔した源田法律事務所の八神です。また間宮さんにお話を伺いたいんですが」
間宮は嫌悪感丸出しで断ろうとする。
八「実をいうと、今日は弁護士じゃなくて探偵として来たんです」
間《・・・は?》
『(凄い不審がられてるじゃん。前回どんな話したの・・・)』
八「俺の他にもう2人います、俺の助手の苗字という女性と、横浜九十九課の杉浦と言いまして」
それでも突っぱねようとする間宮に、八神は澤先生の殺人事件を追っている話を出す。
そして少しの沈黙の後、間宮が話し出す。
間《どういうご用件ですか?陽子ちゃんとは卒業以来会ってません。私がお話しできるようなことなんて無いですけど》
八「事件の前、俺はたまたま彼女の自宅に来てた喜多方先生と出くわしてます。喜多方先生は覚えてますか?
黒河学園であなた方を担任していましたが、楠本充くんの件があって学校をお辞めになった。
彼も澤さんの事件に関係してるようなんです」
間《他の人をあたってください。なんで私なんです?》
八神は拒否しようとする間宮にへこたれず、うまく丸め込むことに成功した。
間《もうすぐ主人が帰ってくる時間なんです。手短にお願いできますか?》
八「そのように努力します」
杉「ご協力ありがとうございまーす!」
間宮は待っているよう伝え、少しの間沈黙する。
杉「どうしたんだろ?間宮さん全然出てこないけど?」
『そうだね』
しばらく経っても玄関が開く気配がなく、杉浦が不思議がり、またドアホンを鳴らそうかという話になったところでドアが開く。
間「すみません、お待たせしました。部屋が散らかっていたものですから」
中から間宮が出てきて3人を中に通してくれた。
八神と名前はソファに座らせてもらい、杉浦は後ろに立っていた。
八「今日はお子さんは?」
間「今は英会話教室です。もうすぐお迎えに行かないといけません」
杉「それは旦那さんに代わってもらったら?もうすぐ帰ってくるんだよね?」
『・・・』
名前が斜め後ろにいる杉浦を軽く睨むと、案の定間宮からも“あなた方に言われる筋合いはない”と怒られた。
杉「そうだね、出過ぎたことを言っちゃった」
『(文也くん、ちゃんと聞き込みとか出来てるのかな)』
杉浦の軽口に心配になる名前だった。
間「それで?何を聞きたいんです?」
間宮は眉間にシワを寄せたまま聞いてくる。
名前はその表情、仕草を注意深く見ていた。
『(文也くんにイライラしただけではない程“不快”って顔してる・・・やっぱり何か後ろ暗いことがあるのかな)』
八神は、急に核心に触れて追い出されては困るため、当たり障りのなさそうな質問からしていく。
桑名、喜多方についていくつか質問すると、落ち着いた様子で返事が返ってくる。
喜多方が異人町にいたこと、偽名を使っていたことを聞いても全く驚いていなかった。
『(・・・すでにわかっているから驚かないのかもね)』
名前が八神をチラッと見ると、八神もこちらを見ていた。どうやら同じことを考えていたようだった。
次はもう少し踏み込み、楠本充のことを聞くことに。楠本充のイジメの話をしていると、間宮は“陽子ちゃんのことだったのでは?”と話を遮る。
八「どうも事件の周辺には黒河学園の出身者が異常に多いようで・・・。みんな間宮さんと同じクラスにいました」
喜多方や赤池などの話を出しつつ少しずつ切り込んでいく。
そして
八「痴漢被害は、でっち上げですよね?」
間「はい・・・?」
痴漢事件は江原とグルになり、でっち上げたのではないかと核心に迫る質問をする。
間「お帰りください!今すぐに!」
『(怒り方がトラウマを抱えた人の言い方じゃない・・・探りを入れられたくないって感じ)』
杉「ちょっと・・・八神さん!?」
杉浦は間宮を怒らせてしまったことで困惑するが、八神は続ける。
痴漢事件をでっち上げることで御子柴殺人のアリバイ工作ができると。
間宮は八神の言葉にさらに緊迫した表情で、出ていかないと警察を呼ぶと訴える。
しかし八神は怯まない。
この一連の事件と黒河学園の同級生たちのつながり、澤先生を殺した半グレが喜多方を狙っていることをまっすぐ落ち着いて伝えていく。
もう自分達は全て知っていると、隠しても無駄だと言うかのように。
それでも間宮は喜多方のことなんて覚えていないと話す。
そこで八神は切り札を切った。
八「喜多方先生はあなたのことを忘れてないと思います。その証拠がこれですよ」
八神はスマホに入っている楠本充のイジメ動画を見せた。
『・・・』
スマホを見た瞬間、顔色を変え俯く間宮に確信を持った3人。八神は駄目押しでこの動画を喜多方は事務所で大事に隠し持っていたと話す。
そして、動画の日付は楠本充が飛び降りた日で、間宮もこの動画内でイジメを笑って囃し立てていたことを。
杉「旦那さんとお子さんがいないときでよかったね。
こんなの見られたら驚いちゃうよ」
『この動画の件で、喜多方先生から何か言われたことはありませんか?』
間「・・・ぅぁあ!」
間宮は一瞬目を見開き、八神からスマホを奪い取ろうとする。八神はすぐに手を引き、間宮の手が届くことはなかったが。
間「お願い・・・それを消して!」
懇願する間宮に冷静に話していくと、観念したのかソファにもたれ掛かり天井を仰ぎ見る間宮。