第16話 桑名の目的
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九十九課
名前が九十九課事務所に着くと、まだ八神は到着していないようだった。
『ただいま』
杉「おかえり、大変だったね。海藤さんは?」
『命に別状はないって。また連絡来ると思う』
名前は簡単に起きたことを話す。
話しているうちに八神が帰ってくる。
海藤のことを八神にも聞かれたため、杉浦に言ったことと同様のことを伝えた。
八「あと、九十九に調べてほしいもんがある」
杉「なに?」
八神は桑名の事務所で見つけたUSBメモリを見せ、すぐに中身が見たいと言う。
バーのマスターにUSBのことを聞くと、その中を見れば桑名の正体と目的がわかるらしい。
九「今開いてみましたが、中身はデータファイルがひとつ入っているだけですな」
杉「えー、なんだろ?すごいドキドキするんだけど」
動画が再生される。
中身は、楠本充と呼ばれる高校生くらいの男の子が10人程の生徒にイジメられているものだった。
動画が終わるとしばらく4人は言葉を失っていた。
杉「・・・最悪だ、こいつら」
九「楠本充のストリップと・・・そう言ってましたね」
『うん。楠本充って・・・』
八「ああ。13年前の黒河学園、澤先生の同級生で校舎から飛び降りた子だ」
厚労省事務次官である楠本玲子の息子で、30歳になる今も昏睡状態が続いているらしい。
杉「この動画って、桑名さんが隠し持ってたんだよね?なんで桑名さんがこんなものを?」
バーのマスターはこれを見れば桑名の正体と目的がわかると言っていたため、詳しく調べてみることにした。
動画を良く見ると、川井信也や間宮由衣の姿が映っている。さらに、
『!八神さん見て、この男・・・』
名前は1人の男子生徒を指差す。
九十九課のふたりはわからないといった表情をしている。
『御子柴の殺害現場を見に来てた男だよ。』
八「あいつら全員黒河学園の卒業生って言ってたな」
動画を見て色々楠本充へのイジメのことはわかったが、肝心の桑名とのつながりがまだわからない。
なぜ桑名がこの動画を隠し持っていたのか。
杉「うーん・・・イジメの隠し撮りからわかる正体って、なに?」
『桑名さんが今40前半くらいだとして、13年前は30前後・・・』
八「もしかして、学校の先生だったりして?このイジメがあったクラスのさ」
そこで、澤先生の部屋から持ち出したアルバムを見ることにした。すでに九十九と杉浦は中身をチェックしていたようで、中に桑名の写真はないと教えてくれた。
杉「ここが楠本充くんがいたクラスのページ」
そのページには澤先生や間宮由衣が載っていた。
しかし川井信也の写真はない。
九「川井は充くんの飛び降り後、イジメ加害者として叩かれ自主的に退学したはずです」
『他にもイジメ加害者はいたのに川井以外は罪を免れたわけか・・・』
八神はじっと担任の写真を見つめて難しい顔をしていた。
杉「どうしたの八神さん?」
八「楠本充の飛び降りで当時の担任はえらく叩かれたんだ。その後教職を追われたって聞いてる」
『このアルバムの先生は、その後に来た先生ってこと?』
九「なるほど。それはあり得る話ですね。バッシングされた担任の名前を調べてみます」
そしてすぐに当時の担任がわかった。
“喜多方悠”
という名前だ。
杉「え?あ、それってもしかして」
八「相馬が口にしてた、桑名の本当の名前だ」
杉「じゃあ桑名さんは元は高校教師?」
九十九は写真も出てきたと言い、パソコンの画面を見せる。画面にはイジメの記事と当時の担任の顔写真が載っていて、若い時の桑名だとすぐにわかった。
『澤先生は桑名さんの教え子・・・それが2人の接点だったんだね』
九「桑名さんが全てをつなぐキーマンだったのですね」
楠本充の自殺で教職を追われた喜多方は、“桑名仁”として便利屋を始めた。
桑名の遠縁だというバーのマスターの話では、桑名は裏社会とも積極的に関わろうとして目的意識が強かったと話す。
杉「目的意識?それってどういう・・・?」
八「イジメ加害者への復讐だ・・・。
桑名はそもそも生徒たちがイジメなんてしなければ教職を追われずにすんだと思ったのかもな。
で、その怒りの矛先が川井信也に向けられたってのはどう?」
一同は、川井が知り合いらしき男女に拉致された時に、桑名も一緒だったのではないか、と推察する。
そして川井を追っていたRKは、桑名と川井の関係に気づき5年前の事情を聞きたくて異人町まで桑名を追ってきたのではないかと。
杉「待った。川井の知人らしき“男女”っていうくらいだから、桑名さんの他にも何人かいたんだよね?
それってもしかして・・・」
八神は、イジメ動画を見せながら川井以外のイジメの加害者たちではないかと話す。
杉「んーでも、なんでこの子たちが川井を拉致すんの?」
『桑名さんが協力させたとか。この動画使って脅して』
八「ああ。その可能性がある」
杉「うーん、いくら脅しのネタがあるからって、人殺しまでさせられるかな?川井って殺されたんでしょ?」
八神は、RKが川井が殺されたって言っているだけで死体は出てきていないと言う。
頭が追い付かなくなってきている一同。
今までの推察を裏付けてくれる可能性のある人物、間宮由衣。
川井を拉致した中に彼女もいたら面白い話が聞けるのではないかと考える。
九「そうですね、今八神氏が語ったのは、神室町と異人町の事件をつなぐ1つの仮説です。
ですが間宮由衣からその裏付けをとれたら更なる情報が引き出せるはずですよ。
桑名さんの居所もわかるかもしれません・・・!」
杉「桑名さんってどういう人なの?」
まとめると、御子柴殺しと江原のアリバイ偽装、澤先生の事件、5年前の川井信也の失踪、その全てに一枚噛んでいると思われる。
八「あいつの尻尾さえ掴めれば全部見えてくるはずだ」
杉「じゃあもしかして今、僕たちイイ線いってる?」
八「ふっ、多分な。
明日、さっそく間宮由衣を直撃しよう」
『うん』
九「では杉浦氏も八神氏たちに同行してくだされ。状況は次のステージに移ったように思います」
八「ありがとな、九十九。杉浦は無事に帰すから」
九「ヒヒ・・・僕の相棒はそんなにヤワじゃありません。存分にコキ使ってくだされ」
『ふふっ、信頼関係が厚いね』