祭り
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迎えを待っている間、USBの中身がわかった。詐欺に使用する個人情報の山だったようで、逮捕に向けて警官らが出動することになったとのことだった。
取引か何かのカモフラージュで、おもちゃの剣の中に入れたのだろう。祭りに来ている人はその剣を渡しているのを見ても疑わないだろうから。
そこに同じ剣を持った幸太郎が来てぶつかったことでお互いに剣を落とし、急いで幸太郎が取っていったのが取引に使われる用の剣だったようだ。
3人で話していると、幸太郎の父母らしき人が入ってきた。
母「探したのよ幸ちゃん!」
父「どこ行っていたんだ!」
父母は幸太郎を見つけるとすぐに抱きしめ泣いていた。
幸太郎が愛されていなかったわけではないとわかり安堵する名前。
男たちに追われていたことを父母に話すと身体を隅々まで見て怪我がないか確認していた。
母「今日は家庭教師の先生にはお母さんたちが謝罪して帰ってもらったわ。明日の塾の後に振り替えで来てもらうことにしておいたから大丈夫よ」
杉「随分教育熱心なんだね」
杉浦が嫌味っぽく言うが父母は誇らしく捉えたようだ。
父「そうですよ。幸太郎は人よりもIQが高くて。そろそろ中学生レベルの勉強も取り入れていこうかと思っていたところです!」
名前がチラッと幸太郎を見ると俯いているようだった。
母「さ、早く帰って明日の予習をしましょう」
母が幸太郎の手を取り歩き出そうとすると、手を振りほどく幸太郎。
母「どうしたの?」
幸「・・・いやだ」
父「ん?」
幸太郎が自分の思いをぶつけようとしているのに気づき、杉浦と名前は心の中で応援しながら見守った。
幸「勉強ばっかりイヤだよ!もっと遊びたい!」
母「前に剣買ってあげたじゃない、他にも欲しいのがあるの?」
幸「違うよ、お祭りに行ったり、友だちと遊んだりしたいんだ」
母「でも幸ちゃんは塾とか家庭教師とかで忙しいのよ。あなたは頭が良いんだから良い大学に入ったら将来安泰よ」
何を言っても取りつく島もない様子の母の様子を見て名前は眉間にシワを寄せる。
幸「・・・それに僕、勉強より運動したい」
父「なんだって?」
幸「このお兄ちゃんとお姉ちゃん凄いんだ!
走るの速くてヒョイヒョイって高いところ登って僕を助けてくれたんだ!
僕もそんな風になりたい。体育の授業でも少し走ったら疲れちゃうから皆にバカにされるんだ・・・」
父母は杉浦と名前を見る。嬉しそうに話す幸太郎とは対照的に、若干の怒りを孕んだ目だった。
父「そんな危険なことを幸太郎の目の前で!?
幸太郎が腕を怪我して勉強できなくなったらどうするんだ」
幸「お姉ちゃんたちを怒っちゃダメ!」
母「助けてもらったかもしれないけど、それでも限度があるのよ。
ほら、今日のことは忘れましょう。また新しい教材で楽しくお勉強しましょ!」
幸「勉強、勉強って、そればっかり、言うなら・・・毎日家出するから!!
うぅ・・・うぇええーん!」
泣き始めてしまった幸太郎にみんなが戸惑う。
そこで今まで口を出さずに話を聞いていた名前が幸太郎に話をする。
『幸太郎くん、聞いて?』
幸「うぅ・・・なに?」
泣きながらも返事してくれる幸太郎に、偉いねと褒め、続きを話す。
『私もたくさん運動したくてさ、運動がいっぱいできる学校に行くために頑張って勉強したんだよ』
幸「・・・そうなの?」
ズビズビ鼻水をすする幸太郎。
名前は笑いながら持っていたティッシュを差し出した。
『うん。色々あって勉強できない時があったけど、それでも頑張ったからその学校に入って運動できたの』
杉「・・・」
『運動は楽しいよ。でも勉強もほどほどに頑張ろう?』
幸「・・・・・」
杉「お父さんお母さんも、幸太郎くんがやりたいことをもうちょっと聞いてあげたらどう?
頭が良いのは凄いけど、他にも長所があったらもっと凄い人になれるんじゃない?」
いきなりため口で話す杉浦にビクビクする名前だが、意外と父母は話を聞いてくれているようだった。
母「・・・幸ちゃんは何がしたい?」
幸「・・・勉強が嫌いなわけじゃないんだ。ただ、もっとお友だちと遊びたいし、スポーツもしたい」
父「・・・・そうか」
幸太郎の父はまっすぐ幸太郎を見ていた。幸太郎も見つめ返すが内心ビクビクしているのか息が荒くなっていた。
父「話してくれてありがとう。幸太郎の気持ちに気づいてやれなくてすまなかった」
『!』
杉「物わかりいいんだね」
ゴスッ
杉「うっ」
上から目線で呟く杉浦を肘打ちして黙らせた。せっかく落ち着いて話していたのに煽ってどうするのだと。
幸「僕も、ちゃんと話さないで家出してごめんなさい」
母「私たちには対話が足りなかったわね」
『・・・・たくさん話し合って、喧嘩して、仲直りして、支え合って生きていきましょう。こんな小娘に言われたくないでしょうけど』
自嘲しながら言う名前の話を聞いて、幸太郎の父母は頭を下げた。
父「いえ、貴重な体験と意見、ありがとう。また幸太郎と遊んでくれると嬉しいです」
幸「あのピョンピョンジャンプするやつ、今度教えて!」
杉「お安い御用だよ」
全員で笑い合うと、もう夜も遅いということで解散することになった。
幸太郎とその父母は笑いながら帰っていく。
『きっともう大丈夫だね』
杉「うん」
『家族と、対話・・・か。』
対話したくてもいきなり命を奪われできなくなった父母、そして自分たちもちゃんと対話できないままもう会えなくなってしまった松金組長のことを想っていると
ぎゅ・・・
杉浦に優しく包まれた。
『な、なに?』
杉「いっぱい思い出作ってお墓に報告しに行こうね。今日のことも報告してあげなきゃ。
名前ちゃんはどんどん優しくて強くて素敵な人になってますよって」
『ふふっ、文也くんのことも褒めてあげる』
2人も笑い合い、手を固く繋いで家路についた。
またのんびり祭りにくる約束もして。
終
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